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1ノ⑤

今回は比較的早く投稿、次話も明日投稿します。

ピーター村長の家、その応接室にて向かい合うように座っている男女。


一人はこの村村長にして家の主人であるピーター。横にはキャプテンハットを外し頭にサングラスをかけてくつろいでいるケンジ、隣にはいつも通りの無表情で座っているキョウがおり、だいぶ懐かれたのか彼の上にはルプレが座ってケンジが被っていたキャプテンハットを被っている。


そんな二人に向かい合うように座ってるのは三人のビースティアン。


一人は猿のような耳と尾を持つ三十代後半から四十代前半、白髪混じりの茶髪をオールバックにしたリーダーらしき男にリスの耳と尾に民族衣装の様なものを纏った十代前半の気弱そうな少女。そしてその隣にいるのは針金の様に鋭く、くすんだ金髪を背中まで伸ばし、髪と同じ色をした毛に覆われた長い尾を持つ十代後半に見える仏頂面の青年の三人。

口火を切って話しかけたのはリーダー格の男だった。


「アンタ達が噂の“人間”さん達かい。俺はクーゴ、この村に滞在させてもらって自警団の真似事をしてる傭兵さ。こっちはモミジで、そっちの仏頂面は……」


「エッジだ。後、誰が仏頂面だって?猿オヤジ。」


「はっはっはっ、俺はまだ29だ。そんなにさっきの模擬戦で負けたのが悔しいのか?まだまだ子供だな、お前は」


「上等だっ!表出やがれクソオヤジぃ!!」


「お、お客さんの前なんだからやめなさいよ!?」


煽るようなクーゴの物言いに針金のような髪を逆立たせる勢いで機嫌の悪くなるエッジ、それを慌てて止めに入るモミジの姿にピーターやルプレは何も言わない。つまりはこれが彼らの“いつも通り”なのだろう。もっとも、それを見てるのが反応の薄いキョウと、それを見て楽しそうにしているケンジもいつも通りなのだが。


「いやぁ、悪いね。こっちから話があるって呼び出して。ちょいと仲間からこの村に厄介ごとがやって来そうって事なんで、こうして集まって貰ったのさ。」


「厄介ごと、ですか?」


「そう、俺達がこの村で来る途中、魔物だっけ?アレについて聞きたいんだが……ほいっと。」


「っ!?」


「きゃっ!?」


「なんと!」


「これは……」



頭にかけていたサングラスを外してテーブルに置くとサングラスの真上から映像が現れる。

映し出された映像には、ちょうどキョウが魔物へ向かって光剣を振り下ろしている画面で停止され、全員……特にエッジは食い入るように画面を見つめている。

そんな沈黙を破ったのは一番驚きの少なかったクーゴであった。



「驚いたな、まさか魔道具を持っているとは」


「魔道具?……ああ、それは後でいいや。で、こいつってよくここらで出没するのか?」


「ふむ……こいつはジャイアントゴブリンだな。ここらでは見ない変異種だ。そして、変異種は元になった魔物より強さや凶暴性は段違いだ。それを一人で倒すとはな」


「やっぱり、お兄ちゃんはすごかったのね!!」


感嘆するクーゴの言葉にルプレがキョウに満面の笑みを見せてキョウもその笑顔に答えるかのように優しく微笑み返す。仲の良い兄妹のような図が生まれていた隣でクーゴの発言に顎に手を当てて考え始めるケンジ。

さっきまで浮かんでた笑みが消え、真顔になった…と思いきや、表情がすぐに戻ると苦笑いを浮かべる。


「いやぁ、思ったより厄い事になって来たなぁ……ってさ。」


「あの、それってどういう……?」


「こういうこった。」


「地図に、点滅する光?」


「こいつは、まさか……!?」


モミジの疑問に答えるかのように、サングラスを操作するケンジ、すると画面が切り替わり、先ほど見せてもらった地図…ラビ族の村からちょうど北にある山のような所から、沢山の赤い光点がゆっくりとだが村に向かって来ているのだ。モミジやピーターは首を傾げ、エッジは興味の無さそうにしている。だが、クーゴだけは気づいたのか、顔色が悪くなって行く


「ご察しの通りだと思うぜ。この光の点はジャイアントゴブリンって奴らを意味してる。んで、三日後にはこの村とかち合う計算だ。」


「そ、そんな!?」


「だけどよ、それが本当ならの話だろ。もしかしたら、コイツラが俺達を騙すための嘘かもしれねぇじゃねぇか」


「エッジ、なんでそんな事を言うのよ!ルプレちゃんを助けてくれた人達を疑うの?」


「モミジの言う通りだ、もしも彼らが嘘をついていたならそもそもルプレを助ける事はしない筈だぞ。」


「それが罠かもしれねぇじゃねぇか!」




その言葉を聞いたピーターは思わず悲鳴をあげるかのように口を出す。この事が真実ならば三日後には自分達の住むこの村が、ジャイアントゴブリンに蹂躙される所を想像したのか、顔色は青を通り越して白くなってよろけてしまう。ケンジはピーターを支えて椅子に座らせると、口喧嘩を始めるクーゴ達に向かって言葉を続ける。


「いやぁ、そっちの兄ちゃんの言う通りだわ。まだ会ってから1日も経って無い奴の言う事は俺だって信用出来んしな。」


そこまで言うとケンジは今までの真顔から一転、満面の笑みを浮かべてこう言い放った。


「だから、今から見に行こうぜ!」


「「「「……えっ?」」」」


今日はこれまで

お読みいただきありがとうございます。

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