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寝落ち転移~寝落ちして起きたらマイキャラで異世界にいたんだが!~  作者: 水菜
第1章 異世界へ、そして運命の出会い
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第15話 聞き込み調査

 朝食を食べた後、俺は少し村を見て回ることにした。

 宿を出る時におっちゃんに声をかけられた。


「エリアちゃん、どこに行くんだ?」

「少し村の中を見て回ろうと思ってます。せっかくのいい天気ですし、部屋に籠ってるのはもったいないですからね」


 おっちゃんに行先を聞かれた俺はそう答えた。

 すると、おっちゃんは心配するような表情を向ける。


「それなら構わねぇが、村の外には出るなよ? 魔物がいて危険だからな」

「分かっていますよ。それでは行ってきますね」

 

 おっちゃんの言葉に頷いて返事をすると、宿屋を出た。

 

 宿の外に出るといい天気だった。

 日差しもなかなか強い。

 宿の傍の畑を見ると農家の人がくわで畑仕事をしていた。

 俺はのんびりとそれを眺めた後、村の入り口の方に向かってみることにした。

 

 村の入り口付近は広場のようになっていてすごく広い。

 ただし、ほとんど何もないので殺風景だ。

 あるのは入り口と分かるような木製の門と門から少し離れた場所にある掲示板くらいだ。

 他には何もなく、広い広場を村の子供達が元気に走り回っていた。

 

(掲示板か……、少し見てみるか。何か書いてあるかもしれないしな)


 そう思った俺は、掲示板の方に歩いて行った。

 掲示板はスターゲートオンラインではクエストを受けられる場所の一つだったからだ。

 傍まで来た俺は掲示板を見てみる。

 そこには何か書かれた紙が三枚貼ってあるだけだった。

 俺はその紙を読んでみる。

 

「野菜の収穫のお手伝い募集に、木材の切り出し運搬のお手伝い募集ですか……」


 俺は貼ってあった紙を見ながら、ふむふむと頷いていた。

 どうやら二つは依頼クエストのようだ。

 そして、三枚目に書かれていたのが……。


「周辺に盗賊団の残党、潜伏している可能性有。要注意……」


 最後の紙は依頼クエストではなく、注意喚起の紙だった。


(盗賊団の残党のことは村には知れ渡ってるってことなのか? ……少し聞き込みしてみるか。これくらいならユリカも怒らないよな)


 俺は、村の人に怪しい人影を見なかったか聞いてみることにした。


 とりあえず、俺は広場にいる人に話を聞いてみることにした。

 そう思って辺りを見回しても、遊んでいる村の子供達しか見当たらない。


(大人の姿が見えないな。ここは農村って話だから、今は畑で仕事中かな。とりあえず、子供達に聞いてみようか)


 俺は広場で遊んでいた子供達の方へ歩いて行く。

 子供達の方も近づいてくる俺に気づいたのか、こちらに顔を向けてきた。

 そこにいたのは三人の少年だった。

 こちらを向いた少年達に俺は話しかける。

 

「あの、少しお話いいですか?」

 

 俺は少しだけ膝を曲げて屈み、少年達に声をかけた。

 少年達は顔を見合わせてから俺の方を向いて頷く。

 

「うん、別にいいよ。お姉さん、お話って何?」

 

 少年の一人がそう聞いてきた。

 俺は怖がらせないように優しい表情を作る。


「皆はいつもこの広場で遊んでいるのですか?」


 俺がそう尋ねると、少年達は頷いた。

 それを確認した俺はさらに質問を続ける。


「最近、この辺りにとうぞ……怪しい人達がいるらしいのですけど、そういう人を見たことないですか?」

 

 俺はなるだけ優しい表情を作りながら、少年達に尋ねる。

 俺が尋ねると少年達はなにやら話していたが、話し終わると首を横に振った。


「ううん、俺達は知らないよ」

「そうですか……、ありがとうございます」

 

 少年達は見ていないということだった。

 質問に答えてくれた礼を述べると、俺は屈んでいた体勢から立ち上がる。

 

(この子達はいつもここで遊んでるらしいから聞いてみたけど、やっぱり見てないか……。さすがに残党が村の近くまで来ることはないのかな?)


 俺は少年達の答えを聞いて、考え込んでいた。

 そして、考え込んでいた俺は少年達の表情に気づかなかった。

 少年達がいたずらを思いついた顔をしていたことに。

 先程返事をしてくれた少年は考え込んでいた俺の前に来ると、俺のスカートを思い切りめくり上げた。

 

「え……? ……きゃあっ!?」


 俺は一瞬何が起きたのか分からなかった。

 だが頭が理解すると、俺は顔を赤くしながら悲鳴を上げて慌てて手で押さえる。

 そしてスカートをめくられ下着を見られたこと、何よりそれに対して少女のような悲鳴を上げてしまったことが恥ずかしくなり頬が熱くなった。

 見れば少年達は笑いながら、俺から走って逃げていく。

 何やら水色水色言っているのがわずかに聞こえた。

 はっきりと見られたらしい。

 俺はしばらくスカートを押さえながら、その場に止まっていた。

 

 スカートめくりからしばらくして落ち着いた俺は広場を後にして、村を散策しながら他の村人達に盗賊の残党らしき人影を見なかったか聞いて回っていた。

 しかし、有力な情報は得られなかった。

 

(これだけ聞いて回ったのに誰も見てないなんてな。こりゃ本当に村の周辺には近寄らずにコルナの森にいるのかもな……)


 そう思った俺はこの後どうするかを考える。

 

(どうしようか……、森に行ってみようかな? でも、おっちゃんには村は出るなって言われたしユリカは知ったら怒るだろうしな~……)


 しばらく考え込んでいたが、俺はふとあることを思いつく。


(もし……、もし俺が盗賊の残党を倒したら、ユリカは認めてくれるかな? 俺の事……)


 俺はユリカに認めてもらいたかった。

 そうしなければ、一緒にいられないと思ったから……。

 一度そう思ったら、もう止められなかった。


「行きましょうか、コルナの森へ!」

 

 俺はそう決めたのだった。


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