無題
疲れた。その言葉に背中を押されて上京して20年はじめて故郷に帰えることにした。実家に帰ってもなかが微妙な弟が家を次いでいるのでゆっくりできないだろうからと実家が経営している旅館に“客”として宿泊することとした。長居はしたくないと移動日初日に一泊するだけで観光と本命の宿泊するホテルは最近人気のコテージ風の宿泊施設にした。
少し遅いチェックインであったが、到着した実家はなんだこれはといいたいくらい寂れていた。技術とお客様を思って作られていた父の料理はなく何となく作っていますという美味しくも不味くもない料理。心暖まるお迎えをしていた母も出てこなく、やりたくないのにとありありとわかるような若い人が対応している。昔は塵1つなく清潔にしていた廊下は塵がすみに見えているし清潔に気を付けていた掛け流しの温泉も何やら汚い感じがしてゆっくり入っていられない。
総評してこれで金をとるのか?という状況の実家に唖然とする
両親も引退するような年齢ではないはずだし父のしたで働いていた板前さんや母が指導していた仲居さんはどうしたのだろうか?と首をかしげながら床につく
翌日さっさとチェックして目的地の繁華街というか観光地へ。久しぶりに産土神様に挨拶へ行くこととした。その前に家を出た手前口を出さない方がいいだろうと思っていたが、あの状況ならと思って母に連絡をする。
携帯番号が変わっていなくてほっとしたが繋がるまで少々緊張した
「もしもし?」という柔らかなそれでいて少し警戒したような声がして変わらないとほっとした。名前を名乗り長らくの音信不通を詫びる。
元気だったか。何かあったかと聞かれてこちらに用事ができて実家が経営する旅館に止まったが、ひどい有り様だったので心配したと伝えれば、少し間が有ってから
「あそこからお母さんもお父さんも手を引いて違うところに雇われているの。勇と経営に関して会わなくて。家も別にしているから」そのはなしを聞いてほっとしてから。今日はこっちで別のところに宿泊することを伝えれば一度会いたいからどこに宿泊するのか聞かれて名前を伝えれば
「あら。やっぱりあなただったの。だろうなとは思ったけれども同姓同名だったら困るしどうしようかと父さんと話していたの」と宿泊リストにかかれた私の名前を見つけて夫婦で盛り上がったらしい。前評判がいいのでちょっ高かったが予約してよかったと思いつつ
「お父さんならご飯は安心だね。仕事終わりに話に来てよ」
話が終わりさて、観光だと行だす。駅のロッカーでもいいのだが、目的の神社近くに荷物を預けられる土産やがあるので、そこに荷物をお願いして参拝する。
元気ですと報告したら疲れた心が包まれたようでささくれた心が穏やかになった。参道を降りてすぐ近くにある和菓子やにおやつとしてまんじゅうを買ったら迎えのお茶所の前におかれた縁台に座って抹茶を注文。お茶請けとしてまんじゅう1つ楽しんでのんびりする。
昔もこうやっておやつを食べてのんびりしていたなと思いながら並ぶお土産屋を楽しむ。休憩とおやつを楽しんだら土産屋にある和柄の端切れをチェックして数点購入。趣味で作っている小物に使う予定である。
キラリと光るのもが目に入り視線を転じれば招くようにキラキラと光っている。はて?とは思うが近寄ると小さな稲荷が見えたので近くの酒屋により小さな日本酒を購入。ついでに稲荷寿司を売っているところはないかと訪ねて数件隣を紹介してもらい6個要りのパックを購入する。
小さな稲荷神社に向かえばよく来たという雰囲気を醸し出していた。昔は一人で過ごしたいときにここに避難していたと思い出して
「お久しぶりですね」といなり寿司と日本酒を奉納した。喜ばれているような感じがして嬉しかったし帰り道にキラキラしていた理由がわかった
小さな力石が5色落ちていたからだ。すべての色が落ちているのもまた珍しいと拾って頭を下げれば、持ち帰ってもよいよという雰囲気だったので持ち帰る。
荷物を預けていた店で手芸店で買った糸でフレーム編みという技法で?石を編んでいく。一緒に買った小さなパワーストン?も使ってシンプルだが可愛いストラップを作り上げる。
1つは荷物を預けていた土産屋に渡して観光して気に入った店に1つづつ渡してというかこっそりおいて旅館についた。
ちょっと早めについたが、しっかりそれでいて癒される雰囲気の対応をしてもらってコテージへ
荷物をしまってから風呂にはいってのんびり。出てきて庭にある色ずく楓を見てのんびりしながら折り紙で鶴を作っていく。ぼんやりとしていたら
「お食事です」と入ってきた仲居さんのは家で雇っていた人だったようで
「まあ。おかえりなさいまし」微笑んでくれた。
「久しぶりですね。お元気そうで」返せば
「お陰さまで。さあ、愛情一杯の料理ですよ」フフフと笑いながら料理を足してくれる。事前に刺身や煮魚は苦手であると出していた通り避けてくれているが、どれも私が好きなおかずが並んでいる。これぞ家に返ってきた時の料理という風な感じがして笑みがこぼれる
「ごゆっくり」退室していった仲居さんを見送ってから堪能するようにご飯を食べる。和え物1つとってもお客様を楽しませるという趣向で作られているため見た目も美しく食べてもおいしいというなかなかのものである。さすがだと満足して食べ終わるとちょうどいい時間に下膳するために仲居さんを来て
「お母様がそろそろ仕事終わりだから遊びにいっても?と聞いていましたが」伝言をくれたので、いつでもと返せば微笑んで了解してくれた。
少したってから母が来て私が上京したあとの話をしてくれた。弟が変貌したように旅館に口を出してきて対立したという話を聞いて悲しくはなったが。知り合いの人が手をさしのべてくれて就職先も新しい家も紹介してくれて問題なく生活していると聞いてホットしている
「あのときあんたがいたら逆に泥沼化しそうだったから。いなくてよかったとホットしたのよ。新しい仕事も生活にもなれて安定したら貴方が来るし。もう、大丈夫なの」そう心配しながらも姿を見てホットしている母に大丈夫だよと土産のお菓子と渡したいと思っていた小物を差し出せば
「こういうのを作るの。本当に上手ね」とにこやかにいっている。つまみ細工で作った品物なので家でも使えるだろうと持ってきて正解であった。
そろそろという時間に父が母を迎えに来て少し話をして帰っていった。父はそれほど心配していない様子であったが。美味しかったと言えば表情を緩めて嬉しそうにしてくれていた
翌日は帰るための移動日だ。朝早く起きてご飯を食べたらチェックして帰りますと挨拶を神社にして帰宅する。新幹線に乗りゆっくりで来たなと思って満足しながら3時間。昼過ぎには帰宅した
荷物の片付けをしてお土産を見ていたら買った記憶がないパワーストンと狛犬の置物
「家に。ということかしら?」とパワーストンは簡易で作った神棚において狛犬は玄関内側の左右にちょっとした台座をつくって座らせる
旅をして気持ちが落ち着いたのか仕事がよく回り始めるようになった。これがというタイミングで手助けや必要な情報が入ってきてスムーズに仕事が終わるし、問題が起きてもすぐに終息してくれる。ああ、いい機運だ。助かりますと心でてを会わせて仕事をしていく
「最近調子がいいな」と上司に誉められるくらい調子がいいが、調子にのったらダメだということはわかっているので、真剣に仕事をして着々と進めていくと上の評価もよくなっていくが、妬みなどもなく居心地がよい職場となっていく。誰かが手伝ってくれたり守ってくれたりしているのだろうと感謝しかない




