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政略

クワーと欠伸をしたあとに横になるために周りに配置したクッションを近づけて寝床を作っている妻をみて笑いがこぼれる。力石を生成する力を有している一族にコンタクトを取り花嫁をという話を持ち込んだのは一族が使用する力石を欲したためである。

紹介されたのは年頃の娘と年増の女性。年増と言ってもこちらの社会では適齢期という説明を受けたので私は納得したのだが周りの人間はそうではなかったようだ。

男性が花に群がる蝶の様に年頃の娘に付く一族の者をみる。騒ぎが嫌いなのか年増の女性の方は顔合わせの席だけ参加してすぐに場をあとにした。少しだけ興味を引かれたので控えていた人間に話を聞けば

「仕事明けで疲れているということで。入浴後に睡眠をといっておられましたのですでに就寝しているかと」そういう。時刻は19時早すぎないかと聞けば

「朝の10時まで仕事をされていたので」という返答が。いわゆるブラックなのかと聞けば通常業務であるとの返答が来た。詳しく聞けば介護の仕事をしていて昨日は夜勤業務でだったということだ。

「顔色が少し悪かったので」と言われて透き通るような白さだったと思い出す。話をと言えば翌朝5時に場をセッティングしてくれたが早すぎないかと思っていたがそうではなかったようだ

セッティングされた時間よりも少し早くいけば礼拝堂から祈りの声が聞こえ除いてみれば年増の女性が真剣に祈りを捧げている姿が見える。彼女に付き添っているのは礼拝堂に勤めている神官だろう。彼女が朗々と紡ぎだす祈りの言葉を共に詠唱している姿が見える

これが祈りを捧げる人間というものなのかとパフォーマンスで行っている祈りはみたことがあるが、それと比べて天地の差があると見とれていた

時間だと気がついてセッティングされた場所にいけばまだ来ていなかったようで少しだけまたされるが、待たされることに苛立ちを感じずにいる自分に珍しいと自分で驚いていれば彼女が来た

青白い顔しながら椅子に座り話とは?という顔をしているのでわが一族の現状を説明し協力をあおげば、現時点でできる努力としていくつかの案件をあげてくれる。興味を引かれ詳しく話を聞けば立地条件や気象条件を鑑みればと言って更に詳しく実現可能な話をしてくれるのでそれを書き付けて地元に残っている一族に話をすることとした

その後も現状を改善するためにはという話をしつつ交流を重ね彼女を私の妻として招き入れることにした

一族として招き入れるとされた年頃の娘と私の妻として年増の女性をという話をすれば驚いた顔をしている。一族としてということは一族の命であれば複数の男性に身を許さなければならないことになるということを知っているのだろう年頃の娘を押していた人間が焦っている

逆に私の妻としてと説明した年増の女性を押していた人間はほっとした顔をしてよろしくお願いしますと深々と頭を下げた

それから彼女を受け入れるための準備としての2年の婚約期間。彼女が提案したアイデアを受け入れて私が率いる一族。彼女が提案したのは自分だからと提供してくれた癒し石・守り石を使用した農地・油田の守りなどグッと業績が上がるのを感じて周りの人間も彼女を受け入れる心の準備もできてきたようすである。

私も機会を見つけては彼女と交流をしているが、地元を愛し命をかけ守るという背中をみていれば共にという気持ちもわいてくる。彼女が守ると決めた場所から切り離すのだから大切に私の土地も守ると決断してもらえるように努力しなければならないと思う

一族と私の結婚式は一緒に行われたが、結婚式後すぐに私の納める土地に連れ帰る。その地でも結婚式を行い大切に大切に扱いながらもこの地に骨を埋めても言いと思われるように全員で努力した結果が現在である。

癒し石と守り石を詠唱し終え生成しまどろむ妻を抱き締め夫婦の部屋に連れていく。 彼女が好きだと聞いた肌触りのいい絨毯に寝かせて膝枕をしかけものを掛けてる。書類をさばいているとまどろみながらも農地や庭のことを聞いてくるので大丈夫だと言えば安心したように眠りに付く

「奥さまは」側仕えが聞いてきたので

「疲れたようだ。石を作るのに体力を消費するからな」そういえば彼女が起きた時に食べれるようにと農地で収穫した果物をおいていく。石を生成するには体力は削られるのは確かであるが夫婦生活で負担を掛けているのだろ。毎日励んでいるから妊娠している可能性もある。

どっちだろうと考える。彼女は環境が変わればすぐにホルモンバランスを崩すと言われているので無理をせずに領地に慣れてもらう様にしていたが、それが負担となっている可能性もあると考えならがら寝ている妻の世話をする

寝ぼけてる妻が子供返りすることがあると義母から言われていた通り寝ぼけて甘えてくる妻に果物や食事をとらせつつ甘やかす。

数日後に妊娠していることが発覚し一族に報告すると手伝いと称して一族の花嫁として受け入れた娘が来た。一族としては新たな一族を向かいいれるために妊婦と同族を手伝いにと差し向けてくることがあるが、人選ミスである

妊娠しても石を生成する妻とそれを馬鹿にしたようすの娘の行動が不快を感じる人間は多くいる

というか、妻が来たことで生活が向上し緑が溢れる領地になりつつある現在。妻を迎えるときに全員に妻が発案した案であるということは伝達していた。

火の加護が強いこの地を緑に溢れる場所にするためには水の加護が強い石がなければ出来ない。彼女の家系は水の神から守りを授かっている。故に生成した石には水を呼ぶ力が多少なりともある。

他の領地土地では無理だろうが以前は水場があった領地であれば水を呼ぶこともできる。呼んだ水で野菜や果物を生産し一族の飲み水を生産することもできる。水が確保しづらい領地の一族に飲み水と果物や野菜を提供できるようになり妻の地位が上がることでもでもあり、妻をないがしろにした娘は更にしたの妻として冷遇されたりするのだが、それについては理解しているのだろうか? 

妻を不愉快にしたということで側仕えが彼女を排除し妻を支えている。出産のために必要な体力を着けさせながら過ごす。本来ならば実家に戻すということもできるだろうが、妻が側にいないなど考えられない私としては一族が守っている現状が一番いい

妊娠中の妻を心配して妻の実家から水の加護が強い狐が遊びに来てそばを彷徨いている。

「あれ?黒さんが来たんだ。太郎じゃないんだ」いいながら撫でている妻。妻いわく太郎は私の相棒で黒さんは気がついたら居たとのこと

娘を無事出産しその後も息子や娘を産み育てて尚且つ力石を生成する妻は一族でも高い地位にいるということは妻は気がついていない

妻を見習って娘が力石を生成できるようになり、それが一族の子供達に広がり他の部族に引く手あまたとなることを予想していなかったようで

あらあらと言いながら住み良い環境になりつつある領地を喜んでいる。

    

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