無題
「ただいま」久しぶりに公衆の面前で婚約者に声をかけつつキスを送る。周りも本人も驚いた顔をしている。周りは我々の関係性を知らないので驚いているのだろうが婚約者は最近群がってくるうるさい女性との関係性を疑っていたから話しかけてくるとは思っていなかったのだろう
「周囲の整理・情報収集も終わったから今日から側にいられる。今日はなにして遊ぶんだ?」
「もういいの?」自分が好きな事以外はどうでも良い婚約者のフォローをするのが私の役目である。
薬種の収集。薬の生成。領土を守る力石の生成。が彼女の楽しいことである。書類も楽しいことの関係ならなんなくできる彼女を婚約者と据えたのは家同士のためにという名目もあるが、側にいて自分を偽らなくても良いという事が大きい。俺がどんな人間でも彼女は自分が受け入れた人間を見捨てる人間ではない。見捨てるときは大きな裏切りをした人間だけだ
この学園に入学するときに情報収集のため少しだけ離れるけれども大丈夫か?と訪ねて許可を得ていたし学校以外では共にいたので彼女は気にしていなかったみたいだが、騒がしい人間は嫌いな婚約者はフリーだと思って群がってくる人間たちを見て心変わりしたのだろうと勘ぐっていたようだ
こちらとしては彼女の有能さを実感できたし普通の基準がわかったのでよい経験ができたが
普通なら薬がほしいと依頼したらその場で各薬種を取り出して生成できないとか。常に大量の薬種をストックしていれないとか。生成できる力石のレベルも大きさも小さく一日で効果が切れてしまうということ等。元々規格外だと思っていたが、近くにいたのでその度合いの認識を間違っていたのに気がついていなかった
普通の標準がわかったのでそれを使って彼女の行動を特別注目されないようにするために少しだけ離れていたのだ
「ああ大丈夫だ。で?」と食事のてを止めているので続きを促しながら聞けば
「今日は通常授業を中心に受ける。今年ですべて必須を終わらせたら来年から好きなことができるでしょ?」というので待ったをかけることにした
「学年で必須科目が違うからすべては無理だな。今の学年の必須科目だけ取得してあとは調べたい事にしたら良いんじゃないか?」必須科目と専攻科目をすべて取れば来年度もすべてとらないといけないくなるということを認識していなかったようだ。本来必要なものだけをと修正すれば
「そうなの?だったら」取りたい授業を説明してくれるので数多ある授業から希望に沿った授業を選別して専攻とする
薬種関係と調合関係は確実にとるからと調べていた。採取の資格を取るために必要な授業などを調べておいたので説明し混乱させる事なく必須科目を選択させる事ができた。
無論同じ授業を必須科目と専攻科目を書いている私を見て
「良いの?」と聞いてくる婚約者に
「ああ。必要な技術も資格も家で取得できているからここで新たにとる必要もない。それらなお前の側で一緒にいたほうが楽しそうだしな」食事を食べ終わったようなのでお茶を渡せば疑うことなく口にする婚約者
「そうなの?経営学とか良いの?」
「別に兄貴が領地を納めるから俺は手伝い程度だからそれほど専門的なものは要らない。うちの主産業である薬草関係をを詳しくといわれているからな。お前と一緒の方が詳しく勉強できそうだし。採取を監督する立場を用意されているからなそこら辺の資格を取得していないと逆に怖いわ」そう説明すれば納得した顔をしている
「だったら」と初歩の方を指して
「私も独学部分が多いからは標準を勉強しておいた方が良いかも知れない」というので
「そうか。だったら」と少し変更をして書類を共に提出する。二人で仲良く過ごしていれば仲を知っている人間はホットしている様子が見られる。
知らない人間は驚いた顔をしている。一番驚いた顔をしている人間はデータ収集のために近づいていた一団だ。知りたいことがあるからと言って近づいた一団で、していた馬鹿も参加していない。必要最低限な情報しか渡していない人間たちだ。
「スゲー驚いているぜ」と彼女の双子の兄で未来の上司がゲラゲラ笑って彼らを見ている。昼食後の仮眠を取っている婚約者に膝枕をしてあげているので静かにしてほしいと思いながら
「そうだな。必要最低限の情報しか渡されていない割りには自分達はすべて知っていると思っているところら辺が不愉快だったから関係を絶って俺はスッキリしているが」婚約者の体を撫でながら言えば
「知っている。お前も妹も必要ない人間を切り捨てる癖があることも。あいつらはうちには必要ない人間だっていうことも。入学して最初はいろんな人間と交流して所属する集団を決めるこの時期だからお前が離れて俺が所属する集団にいるのが違和感が無いのもな」珍しくキリリとした顔をしている義兄
「データ取りも終わったのでもとの集団に戻る。それのどこが悪いんでしょうかね。ちょっと見学していますというスタンスで接触していたので彼らとは親しくなかった。それなのに睨み付けられる意味がわからないんですけれども」そういいながら本格的に起き出した婚約者をあやしながら膝の上に抱いている。俺の膝の上にいる妹を怒りださない程度に弄りながら
「だよな。客観的に見てもそんな感じで色々な集団を見て位ましたという風だったし。あれらと親しく会話していた様子も見受けられていなかったお前をなぜ同族意識を持っていたんだろうな」キリッとした顔をしつつ困惑の雰囲気を出している義兄に寝ぼけた婚約者が
「同じようにぶらぶらしているように見えたから友達になりたかったんでは無いの?角をたてないように一応和やかに会話していたんでしょ」上目づかいで見てくる婚約者と同じ目をして見てくる義兄。かわいい婚約者の唇に軽くキスをおとしてから
「目立たないようには会話していたが、それが琴線に触れるような事無いと思うぞ。普通に当たり障りの無い会話しかしていないし」
「へー。お前の当たり障りの無い会話ってあれだよな」義兄に確認されたので頷けば
「あの程度の会話で自分の仲間だと思うあれらのレベルは」
「結構低い?」兄の言葉を引き継いで言う婚約者に良くできましたとあめ玉を差し出している義兄。健康管理はこちらの分であるが、あめ玉くらいなら余裕で換算しているので問題ない。
「なに味?」差し出されているあめ玉を見て聞いている婚約者。ちょっとキラキラしている視線がかわいいと思いながら義兄を見れば同じように頬を緩ませている
「イチゴ味」それを聞いてあめ玉を口に入れている婚約者。美味しかったのか頬を緩ませているので
「どこのですか?」メーカーを訪ねれば
「母さん用を拝借したから父製造だ」との答え。義父は義母を溺愛しているので、口にはいるものすべて自作していると聞いているので納得した
「お母さんの飴は美味しい」それに同意してから抱いたまま義兄と共に必須科目を受けるために立ち上がれば
「歩ける」との軽い抗議
「もう少しだけ。離れていた分補充させてくれ」といえば納得した様子でおとなしくなった婚約者とあきれた顔をしている義兄
「お前らばかプルだな」
「それが普通だと感じられる私たちも大概ですけれども」と私たちを守るように囲む友人たちの会話を聞きながら授業の準備をしていれば
「そんなのと一緒にいたら馬鹿になるぞ」にやにやしながら近づいてくる集団。先程婚約者にばか評価を下されていた人間たちで自分達が周囲にどう思われているのか認識していない人たちである
「親が高い地位にいるだけであんたらは偉くないのに難でそんなに偉そうなの?」ボソッと婚約者が呟くように集団に聞けば
「なんだって。親父は」
「だから。親は関係ないよね?友人関係を築く上ではとくに。彼が君らと交流して価値がないと判断したから君らと離れてここにいる。そうだよね」
「そうだな。普通と言う概念のデータを収集するために底辺を知る必要性があるから人間的に残念な人たちと前評判の人間たちと交流してきたが。彼らはダントツだったぞ。自分より有能な人材で親が高くない地位の人間だったらいじめて良いと思っている腐った根性をしている」
「最悪だな」
「だから縁ぎりのために」
「それ以上言わない。内部干渉になっちゃうぞ」と最悪さ加減を周囲にも聞こえるように言えばざわめく友人たち。縁切り云々は知らされていないならまだ、水面下の活動なんだろうから表沙汰にしてはいけないと義兄から指摘を受けて口を閉じておいた方が懸命である
「そのお陰で貴重なデータが取れたし。被害者をこちらの陣形に入れれたから」
「まあ、良いことずくめでこちらはよかったぞ」と所属している陣営の上にいる人間が口を出してきたから任せる
「見学者として出した人間になにかようか?」と自分達の親と同等の地位で自分達よりも優秀な人間ににらまれるとすごすごと帰っていった
「ゲスだな」ボソッと婚約者が言えばそうだなと同意する人間が多いこと多いこと。
その後は、婚約者に勉強に興味を持たせるためやセーブをして目を引かないようにするために忙しかったが、それはそれで楽しかったので問題ない。
彼らが静かにしているわけがなかったが、婚約者と一緒に勉強したり散策に出掛けたりと充実していたので気に求めなかったのだが、私の事を諦めきれずにいたとは思っても見なかった
卒業して彼女の夫として婿に入れるとうきうきして婚約者を甘々にしていたのが悪かったのか。卒業式で騒ぎを起こされた
「佑馬くんを解放しなさいよ。彼がいなくてはなにもできない癖に」マイクをもって壇上に乱入したのは私を彼氏にするといっていた尻軽女である
他の学生たちも呆れ先生たちからえの厳しい視線をものともせずに婚約者を糾弾しているが膝の上に座らせているのは昨日の夜に寝かせなかった俺が悪いし。そもそも解放とはなんだろうか?
彼女の行動を制限しているのはこちらの方である。家や色々な思惑が絡み合い彼女が好きに行動する事は許可されていない。許可されていない行動をとらないように興味関心を引かないように徹底的に排除しているのは俺だ
なんの事を言っているのだろうと思っていれば彼女の取り巻きであるゲスたちがこちらに近づいて婚約者を引きはなそうとしてくるので危険と判断して回避すると同時に後ろに控えている護衛たちが彼らを拘束している
「余興?」そう聞いてくるので
「余興だな」と答えれば安心したように膝の上でおとなしく見ている婚約者を見ながら
「あれらの関係者とは取引を控えた方が良いかもしれないね」
「危ない」
「そうだ。危ない人には近づいていけない。いそうな場所にもな」婚約者に言い含めればえうなずくので理解したようすである。
「卒業式が終われば義母が美味しいおやつを用意して待っててくれるといっていたから静かに参加できるか?」
「おやつ?」
「そうだ」幼児退行したような婚約者にキスを送りおとなしく参加することを約束させて彼らを排除し何事もなかったように進行される卒業式に参加する
卒業式が終わり家族と合流しパーティーとの流れだが先程も余興があったので参加せずに戻る事を両家の両親に提案するとすんなり受け入れられた
「あんなバカがいたとは思わなかった」と両家の両親が口々に言っている。
「以前から先生方に指導されていたんですけれども」
「あそこまでになれば家の方でも手の打ちようが無いだろうな。関係者がかわいそうだ」
「うちのもああなる可能性があったと考えるとまっすぐ育ってくれてよかった」ホットした顔をしながら婚約者を撫でている私の母親。婚約者に出会うまで傍若無人であった俺の話をしているだろう
「うちは娘の面倒を見てくれて助かっていますけれども。本当に婿としてもらっても?」
「ええいいですよ。継ぐ人間もいますし。離したら大変な事になりそうですし」そんな会話をしながらのんびり予約していたホテルでお茶をしている。卒業式で疲れた婚約者は私の膝の上に座り静かに眠りに入っている。それをにやにやしながら写真を撮影している義兄
義母の世話をしつつ父親の相手をしてくれている義父という状況だがいつもの事なのでとくに問題ない




