無題
玄関に入ってぐったりしている契約者の椿を剥ぎ取り・解体専用のペティナイフについている光がとっさに姿を現してとっさに抱き留めて床に倒れこむのを防ぐ。お疲れだねーなんていいながらそのまま居間へ運んでくれている。同じように自分も出現して後ろからついていく
今回のメインは一揃えの刀であったので、出番はなかったものの何かあればと手になじんでいる鉈についている花と呼ばれている私とサバイバルナイフについている夜も同行していた。ダンジョンに探索して生計を立てている契約者の椿は基本的にソロで仕事をしている。大体は素材を採取するほうの仕事が多いので鉈である私やサバイバルナイフの夜を使っていることが多いが、目標地点着くまでに鉈やナイフではどうにもならない相手がいる場合にはダンジョンで拾った一揃えの刀も使っている。
採取・剥ぎ取りはペティナイフをダンジョン内で休憩するときに使う結界の基礎として使っている苦無は常に身に着けている。ダンジョンで使用する物品には大体精霊と呼ばれているものが付いていることが多く先ほど挙げたクイナにもランタンにもついている。愛用しているものでついていない物は食器セット・水筒・寝袋・テントくらいであとはランタンや鶴嘴にもついている。
付きやすくなっている要因が椿が作っている霊石だ。
清らかな太陽と月の魔力を集めて水晶に封じ込めているために穢れがなく魔石というよりは霊石である。自然魔力は自然霊力と同じであると考えられているので、それを作っている彼女が愛用しているものにはよくよく精霊が付きやすくなっている。それ以外にも要因はあるが人間には関係ない事なので口を伝えることはないが
居間の一人掛け椅子に座らせている光を見ながら自分もコンロに薬缶を置いてお湯を用意する。刀夫婦は2人で荷物を整理しているし夜は風呂の準備をするために浴室に向かっている。部屋用の結界を発展させているのは苦無である。
「花。これを」そういって茶筒を渡してくるのはランタンである。
人間一人に精霊8人というのはいびつであるといえるだろうが、椿は人づきあいが苦手で我々精霊も契約者以外の人間と行動するのは拒否感が強くある方なので今の状態がやりやすいといえる。自分たちの本体を振るう事も振るわれることも好きであるし。椿が楽しそうにダンジョンを闊歩して薬草や素材を採取しているのを一緒に行うのも楽しいと感じている
「それにして疲れたなー」
「確かに。入国の検疫で2週間も缶詰だったしな」などとランタンに宿っている短髪黒髪で腕に火竜の刺青がある竜と鶴嘴で鶴と呼ばれている短髪茶髪が話しながら採取の現場に行くまでに討伐した魔物の食べれる部分をあ空間倉庫から取り出して冷凍庫に入れている。冷気と時間の流れがゆっくりに設定している食べ物。特に常温保存ができない物を入れているあ空間であるが、食中毒とかが怖いので家に帰ったら冷蔵庫に入れるようにしている。売り物の方は時間が停止している方のあ空間に放り込んでいるので問題ない
「肉は飽きたからしばらく魚とかが良いな」なんて言いながら冷蔵庫をあさりだしている。全員がそう思っているので指摘はしないが、どんと出された白身魚を見てどうしようかと思う。簡単に魚の煮つけでもいいし・・・・などと考えながら茶を人数分入れて居間へ向かう
一人掛け椅子にぐったり座りながら体を守るために着けていたプロテクターを脱ぎ始めている足についているプロテクターは既に脱がれていて体の方のプロテクターを脱いでいるところである。プロテクターの下は肌に優しいコットンで作っているシャツとズボンだけであるが、下着といえるような薄さではないので今は文句を言わない。各自自分のことをし終えた同僚たちも身に着けていた防具を外して寛いでいるので自分も茶を置いてから着替えに部屋に向かう。
精霊にも防具と笑われるが、霊体でなく人の身を得て軽減しているので防具があったほうが良いのは間違いない。軽い防具が良いので刃物を魔法を防ぐために処理している服などを防具として身に着けている。各自の名前が書かれた衣装ケースに防具としての服と普段着とが分けられて入れられている。人の身を得ているのならばと契約するごとにケースが増えていき一部屋を占領している。8人分だから致し方がないだろうが・・・・
着替えてから居間に行けば茶を飲みながら今回の反省会が行われている
刀の旦那の方と呼ばれてる太刀は戦闘知識があり策を練るのには向いている方だ。全員が全員自分が振るわれるべきところをわかっているので文句も何もない。あの魔物には次はこの対策でとかそんな話をしたり結界を張る場所に関しても今回は反省をする点があるだのなんだの。食事に関しては私と光がこだわっていることもあって文句は出ていないし。椿は好き嫌いではないが食べれない物があるので事前にある程度作ったものを持ち込んでいるので単調な乾燥食品を使った食事でも楽しく過ごせているといえる。
「やっぱり最後のダンジョンはきつかったです。あのダンジョン朽ち果ている瞬間だったのでは?」そう結界を維持してくれていた苦無・小雪。それに頷いているのはランタンの竜。
「だからこそ良い鉱物が取れたんだがな」うきうきしていっているのは鶴。
「確かにいい鉱物が手に入ったし。品質が高い結晶も手に入ったからいいものの。何もない朽ちるだけのダンジョンだったら潰す一択だったけどね」光が静かに怒りつつ言っている。それには全員頷く
「きれいな羽も羊の毛皮も手に入ったからいい防具も機能が良い服も作れるからいいけど」茶を飲みながら今回討伐したり採取した素材を思い浮かべながら椿が言っている。
「甘い。あれは我々を殺そうと思って依頼を入れたに違いない」
「いつものことながら人の欲とは」そう精霊たちがつぶやいているののほほんと聞きながら
「ま、出国するまで討伐したものも素材もすべてあちらに流さなかったという嫌がらせと我が国にあそこの協会は品質が低すぎて利用しないほうが良いとチクっておいたから。今後、我が国所属の人間はいかないだろうね」なんて言っている椿
「確かに。あちらでは素材の扱いが雑でおろしたくないという事もあったしねー」光が頷いている。
「検疫待機中も交渉したら素材の処理などをさせてもらったから助かったな」
「ギルドだって珍しい素材を得られるんだ。声をかけたら飛びついてきやがったしな」わが国のギルドの対応を楽しそうに嗤いながら話しているのは妻の方の打刀だ。ちょっと悪い感じに話すがいい精霊である。斬りこみの踏み込みが早くつゆ払いは俺の仕事だというくらいには鋭い仕事をする曲者であるが、椿は妹だと思っている節がある。旦那の方も同じように庇護するものだと思っているのか周りに気を配るというか威圧している時がある。それは自分たちも似たような感じで妹・娘と感じているのが多いから問題ないが
「鉱物も必要なもの以外は明後日ギルドに持ち込みだったよな」鶴が確認しているのに夜が頷き
「他の素材と浄化が住んでいる魔石も一緒にもっていこうか」
「確かに」光の言葉に竜が頷いている。素材の管理は光が行っているが魔石の浄化とかは竜と小雪が行っている。浄化の炎で燃やし尽くすことも保存用のケースに結界を張りその中で浄化の術式を発動させてゆっくりという場合もある。そのケースが5個くらい積みあがっているので邪魔になってきたのと。今回のダンジョンで浄化が甘いものもあるので、そちらの浄化をするためにという事もある。
素材は素材倉庫用に霊石で作ったあ空間に入れているので場所を取らないが。霊石内に入れて置ける量が決まっているので。そういう兼ね合いもある。あ空間を刻み込むのは魔石でもいいが霊石の方が品質が高く保管できるので我々はそちらにしている
作っているのが椿なのでさほど気にしていないが、買えば高価なモノらしい
今後についての話し合いも終わったので、解散し順番に風呂に入る。小さななりをしている夜と小雪は私と入る場合が多いし大人の姿になっている鶴と竜。それに光は一人でゆっくり入っている。椿は烏の行水でさっさと上がってきて寝るといっていたので、起きたらゆっくり入るのだろう。夫婦の方は風呂場でのいちゃつきは禁止といっているので別々に入るのだろう。というか椿が眠そうにしているので妻の方が一緒に入って寝落ちないように見張るつもりらしい。精霊なので性別など関係ないといえば関係ないので問題ないが・・・・
夫の方も妻が誰かと入るのはという顔をするが、椿ならば致し方がないという感じなので止めないでむしろ推奨しているのだからいいのだろう。
子供姿の夜と小雪は椿と同室。私と鶴・竜と光が同室になっている。夫婦はイチャイチャがあるので簡易の結界を張って眠りについてもらっている。マンションはダンジョン探査者専用のもので、チームで入っているものが多いので部屋数も多い。大体は長期契約で借りているのが多いが、この部屋は購入したものであるというか。ギルドからの賠償としてもらったのだ。
以前、国内のダンジョンを潜っている時に今回と同じようなことがあった。一人の職員が行ったことだと逃げようとしたが、雇用者側の責任をという話でまもらい受けたものだ。椿が流行っていないダンジョンに潜ることでダンジョンが朽ち堕ちることもなくある程度潜りやすいように整備を維持できているという事もある。このダンジョンはこのレベルでという報告書を提出しているので、ダンジョンを管理し朽ちないように維持していくうえではギルドでも助かっていると評価されているのだから。一職員の暴走だという事で収まるわけもなくである
それ以降。椿と同じように人気のないダンジョンをめぐってというレベルが高めの少人数のチームも出始めてきたが、小さな島国である我が国にある小さなダンジョンは星の数ほどある。逆に大型ダンジョンがほぼないので、満遍なくダンジョンを利用してスキルアップしてもらわないとギルドも運営に困るという事もある。国としてもダンジョンから出てくる魔石や素材・鉱物を加工して国内外に流通させるためにもダンジョンをうまく管理してほしいという思惑があってのこの賠償である。
そのくらいの誠意は見せないと他の探査者がやめてしまうこともあるというのもあるのだろうけれども




