癒し石
面倒だ。なぜ自分がこんなところに来なければならないのかと状況を説明されて理解しているが、心が納得できていない状況で目の前に広がる新エネルギーを作る・発展させる為の特区を眺めながら心で愚痴る
そもそもここに来ることになった発端は人助けである
転職して3年がたち仕事に余裕ができ貯蓄的にも少しだけ贅沢ができるようになったので隣の島にある祖母の故郷へ観光に出掛けた
女一人旅だが、絡まれたりすることもなく城下町を楽しんだり島一番の信仰の地である神社に参拝して祖母の事を報告しておいた
祖母の家系で神事の手伝いをしていたのだと認知症が年相応に現れてきた時に話していたのを思い出したのだ。現在は認知症もひどくなり本人希望にて施設には言って穏やかに生活している
そんなことを報告して参拝後バスを町ながら近場の茶屋でのんびりしていたら騒がしくなった
見てみれば参拝客の一人が倒れたということで野次馬根性を出して近づけば何かの発作を起こした様子である
意識朦朧とし始めている本人に発作の時にと処方されている薬はないのかと聞いたら微かにうなずくので手提げバックを漁らせてもらい処方されているだろう薬を出して確認服用させた
薬の効果が出始めるまで自作の祈り石と力石を使用して母が作ってもらった私用の軽い治療と回復の効果がついたぶれスレッドを緊急時だということで握らせて救急車が到着するまで介抱していた
救急車が来て隊員に発作用の薬を飲ませたことを伝えて荷物を渡してその場を後にして茶屋に戻り残りのお茶を飲んでから帰宅したのが国からの強制執行の命令を受けた役人が来る半年前である
どうやら軽い治療と回復の効果がついた力石・祈り石が珍しくそれについて話して欲しいということだったので母からもらったものだという話をした
それで作成者がと言う話になったのだが、作成者は持ち込みの祈り石・力石だという話をして再び私のもとに来た役人に趣味の範囲で作っているが、効果などそれほど強くないしと説明したのだ
実際に小遣い稼ぎで力石を売りに出しても高値で査定されることもなく普通のお値段だと説明をするのだが、石に治療や回復などの癒やしに特化した力が内蔵されていると言う診断結果を出された
私みたいな人間は沢山いると説明したが、普通の人間が作る力石や祈り石にはそのような特別な効果などはついていないと一蹴されて私も特区に移住しなければいけないことになった
人助けをしたことは後悔していない。同じような状況になったらなん十回でも同じような対応をする自信があるから
ただ、親しんだ故郷を離れて遠くの異国?の地に行かねばならぬこととそれが自分の意思ではないことが引っ掛かっていると言えば引っ掛かっている。それと、趣味実益である介護の仕事をやめなければならないことも。
色々な事があるが総じて他人の意思で勝手に決められた事を拒否できずに従がわざろう得ないことが一番引っ掛かっているのである
いろんな事があっても最終的には自分で決めたことならここまで愚痴る事はなく従う事もできるのだが・・・・
決まった事で既に現地についているのに愚痴を心のなかでいっていても仕方がないかと特区で新人を受け入れる施設の会議室に誘導されて腹を決めた
私の他にも数人の職人や技術者が新人として特区に入ることになるそうで、特区のルールとか施設の説明を受けて指定されたアパートへ向かう
アパートには既に私物を郵送しているので、私物の確認をする
独り暮らしであるのだが広いリビングダイニングと寝室があるアパートでリビングダイニングの日当たりも良い感じであるし隣に接している寝室も日当たりが良い
「ここで力石や祈り石を生成しても良いですし。特区ないにある公園などでも作っても良いです。先程説明した通り公園を使用する場合は申請を」と言って担当者が帰っていった
家具付きの部屋なので私物をしまってからぼんやりしながら渡された地図を見て神社を探す
引っ越したら土地の神様にご挨拶するのが筋ってもんであると育てられていたので、神社に向かいがてら近所のスーパーなどの位置を確認しながら移動する
引っ越してきたことと心穏やかに生活できるようにお願いをし帰宅する
その日のうちに自作した家に悪意が入らないように・心穏やかに過ごせるよに調節した力石を部屋の守りとして玄関と部屋の中央部に置いて引っ越しが完了した
それから3年ほど経ちルールなどを親切に教えてくれた人や同じように力石・祈り石を作る職人と言われる人と話をする程度には仲良くなった
部屋の日当たりのよい場所に好きな花を配置して育てたり。力がある花から少しずつ力を採取して作った花石と言われるお守りにもアクセサリーとしても使える新しいものを作ったりして生活している
私の作る力石や祈りを解析したところやはり癒しの効果があると断言されてしまい主に医療機関や介護関係に使用する力石と祈り石として売買されている
私が発端とな作りてによって特性がある力石・祈り石もあると言うことが世界に発信されて効能に特化した力石・祈り石を売買されることにもなったらしい
らしいと言うのは、私のように癒やしに特化した力石を生成する人間がごく少数であり、生成できる人間が国家レベルで狙われている。と言うまゆつばのような説明をされ特区の外に出るのも制限されているからである
とは言うものの正月と実家のお祭りの時期には1ヶ月ほど故郷に戻ると言う契約をしているので、特に不満はない
生来引きこもりで社交的な人間でもない
読書と親しんでいる人間と交流ができて気が向いたときに散歩に出れればそれ以外はどうでも良いと言う性格なので行動制限?外出制限?と言ううものを課せられても気にもしない
「と言うわけで特に特にだけどどうしました?」行動制限?を掛けられたという話を聞いて心配して顔を見に来てくれた知人にそういいながら公園で散歩する
「まあ、本人がそれで良いなら良いのだけれども。と言うか私たち的にそういってもらえれば、嬉しい」返答している知人は特区を警備する人で私の警備を担当する一人である
「引きこもりで知らない場所は嫌いな私にとっては引っ越しとかはストレスの原因であるし。それが他人の思惑でこちらの意思などお構い無くと言うが一番嫌いなんだよね。いきなり拉致監禁とかされて強制的に力石を作れと言われても作れないし。作れないと言うことで暴力や辱しめを受けても従う気にもなれない。そういうことをする人間は因果応報でやられると思うんだよね」
「そうだね。きみ結構信心深いし。それで死んでも根性で祟りそうだもんね」と疲れたような顔をしている
まあ、最初の1年は環境変化でストレス性胃潰瘍になって何度か死にかけたしね。それ以外でも色々と迷惑?をかけたみたいですしと話していたら
「あなたが東山さんを縛り付けているって言う職人さんですか。東山さんを自由にしてください」とよく分からない事で糾弾されたが東山って誰だ?と首をかしげながら
「見ず知らずの人にいきなり大声で叫ばれてよくわからんことを言われたのだが」隣の知人に聞けば
「そうですね。たしか今年の新人さんだった気がします。が、なにを吹き込まれてそういう話になったのかよく分からないですね。そもそも東山隊長は縛り付けられているのではなくて、この人の保護者的な立場でありますし」と説明?を呟いてる
「隊長さんの事か。あの人、私の体調が心配だと言ってうちに勝手に住み込んで添い寝などしてくれるのだが、どうにかならないか?」
「無理ですね。吐血しながら家に帰ると言って治療を拒否したことありましたよね。あのときから心配で心配でといってますから」
「ああ。あれか。あのときは本当に実家に帰って死にたいと思ったんだよね。入院して母が来て色々と構ってくれて、母が帰ったあとに色々と過ごしやすくなっていてビックリしたもんだよ」
「すごかったですものお母様。激怒ですよ激怒。乞われていったはずの娘が死にかけてるんだよと職員に啖呵切った時はさすがに恐怖を感じましたよ」
「末っ子だからね私。しかも、将来が心配だと大人になっても心配されているからね」と笑えば
「それで良いんですか?」
「心配するのは親の仕事らしい。まあ、ちょっと障害者であると言うのもあれなんだろうし。アレルギーとかもあるからね」
「ええ。紫外線アレルギーであんな風になるとは思いもしませんでした」と油断して皮膚を爛れさせたことを言っているのだろう現在は大きな鍔の帽子と通気性が良いが紫外線をカットする長袖と手袋をつけて散歩しているし部屋も紫外線カットのガラスを採用しているので大丈夫なのだ
そんな話をしながら目の前のよくわからん人を見据えて
「私の事を糾弾するのならばあなたは私のことを嫌いだと判断させてもらいます。と言うことで私の力石と祈り石をあなたに卸すことも他人経由であなたのもとにいくことも拒否させていただきますがよろしいですか?」ときけば
「そうやってみんなの事を縛り付けるなんて卑怯でしょ」といわれてしまう
「卑怯だと。そうですか。私はあなたの中では卑怯な人間だと言う認識をされているのですか。わかりました。では、そんな卑怯な人間が作り出した製法とか色々と私が携わったもの全てあなたの中では卑怯きわまりないものなんですね」
「当たり前よ。力石と祈り石の効果で人を縛り付けるような人間が作ったものなんて必要ないわよ」
「言質いただきました。周りの人も承認人です。では」と良いその場をあとにしようとするが
「待ちなさいよ。みんなを解放しなさいよ」と言われて
「解放されたいと思う人間は勝手に離れていけば良いと思いますよ。私は人の想いを縛る力もありませんし。では」と言えば満足したような顔をしている
それにしてもまあ、今年の新人は大変な人間が入ったな。交流はできるだけ避けるか
と考えながら部屋に戻る