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第六話

また遅くなっちまいやしたね、許してヒヤシンs…

カランカラン…


——男と女は新たな門出の扉をくぐる。明後日予想されるであろう激戦に向かって…

「蒼真さん早く進んでください、通れないじゃないですか。」

その声が聞こえたころには俺はギルドの床に伏していた。

なぜそうなったのか。理由は簡単一緒に行動している麗華に後ろから蹴とばされたからだ。

「いったいなぁ…もう少しまともなやり方なかったのかよ?」

と倒れ伏した俺。

「ふん、いつまでも扉の所に立ってぼーーっとしてる人が悪いんですよ!!」

と、麗華。

ぐっ…確かにそうだ。ギルド唯一表の出入り口であるここを俺が立っていたら塞いでしまうからな。

「ほら早く立ってくださいよ蒼真さん、みなさんから注目されてるじゃないですか。」

言われて気づく。俺たちめっちゃ見られてるじゃねぇか。


まぁ無理もないか、なんてったって今周りから見たら男が床に倒れていてその上に女の子が片足乗っけてふみつけているような状態なのだから。

なんだこのカオスな状態は、周りは屈強そうな男やいかにも僧侶といった装備の女性、さっきまでわいわいと会話してたりしていたところに突如なだれ込んだ俺たち。その際に静かになってしまっているギルド内


———やべぇ…今すぐここから逃げ出したい…てかなんで誰もフォローしてくれないんだ。

あぁもう、なぜか笑えてきた。

「なんで蒼真さん、笑ってるんですか?あれですか私に踏まれて喜んじゃってる系ですか?」

「ふざけんな!俺にそんな趣味はねぇよ!!!!」

なんてことを言うんだ麗華は

「早く立ってください、あなたをこのギルドのメンバーに登録しなくちゃいけないんですから。」

半ば俺は麗華に引きずられるようにしてカウンターまでいきメンバーの登録カードと上下の装備一式、そして不思議がられながらも鉄剣を二本もらった。

「うーん蒼真さんイイクエストないですねー…」

「なぁ麗華。」

「蒼真さんも探してくださいよー手軽く金儲けできるクエスト。」

「だから麗華。」

「あ、お金はあるんでしたね、武器屋にでも行きます?」

あ、なんかあると踏んで外に逃げ出すつもりだな、そうはいくか。

「なぁ、麗華。なぜ俺とずっと行動してるんだ?俺が派生スキルの使い手だからか?」

ギルドを出て少し離れた通路で聞いた。

「たしかに蒼真さんの派生スキルは火力も高くデメリットも少ないです。正直『同じ立場の者』として羨ましいです。でも私があなたと行動する理由は別です。」

「じゃあ何が理由なんだ?…それにさっきの同じ立場の者の意味はなんだ?」

「ここじゃなんですし…私のおごりでいいのでそこにいきません?」

麗華が促したカフェにおれたちはいくことにした。


——なぜだろうさっきから口数が少ない気がするな。

「早速ですまないがさっきのこと…できれば教えてくれないか?」

「…あまり話したくはないですが、まぁ私が原因ですし。まず同じ立場の者の意味ですが。」

どうしたんだろう、さっきまでの勢いがまるでない。

「私も…私も派生スキル使いなんです。魔法系統派生…属性は…生命」

「生命属性?なんだそれ?」

「そのままです。ほかの生物などから生命…つまり魂などを分け与えたり逆に奪う術です。」

「へー普通に強いじゃないか。それなら敵から奪って力に変えることもできるのか?」

「できません…奪うだけなら可能ですが力に変えるためには仲間の生命が必要なんです。しかも奪っても放っておけばまた持ち主に戻ってしまいます。」

「だからか…そのスキルのせいで誰からもパーティーに誘ってもらえないから俺についてきてるのか。」

「すいません…一応火、水、雷の三属性の魔法は使えますが知っての通り派生スキルの使い手は通常スキルの威力が弱いんです。だからお前なんかいらないって。」

「じゃあ俺と組もうぜ」

「そんな簡単に…いったでしょう…わたしの魔法はあなたの寿命を削るんですよ?」

「んなもん知るか、どうせほかに組む奴いないんだろ?」

俺はそう言って手を差し出す。

すると突然麗華がうずくまって泣き出した。

「お、おい大丈夫か麗華?」

しばらく反応を待っていると小さな声とともに

「大丈夫…です…ただ……ただわたしのことを受け入れてくれる人に初めて会って…とても嬉しくて…」

「麗華…お前苦労してきたんだな。その特別な力のせいで。」

少し頭をなでるとぽすっ、という音とともに俺に寄りかかってきた。

「大丈夫だ、たとえ誰も認めなくても俺がそばにいてあげるから。」

「————ありがとう…ございます。」


——そこにはいつもの毅然と大人びた麗華はいなかった。まだ幼さを残した少女、清爛麗華がいるだけだった。

次回もいつになるかわかりませんがブクマなどお願いします!

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