第五話
これをよんでくださってる方々遅れて申し訳ないでござる
「うへへ、国王からの報酬か…どんなものなんだろうな。」
いきなりで申し訳ないが考えるだけでもよだれがでそうだ。
「えっと蒼真さんでしたっけ?何考えてるんですか顔気持ち悪いですよ。」
「そんなにドストレートにいうなよ~麗華~」
俺は冬月蒼真、んで隣を歩いてるのがこの世界に来てから初めて出会った少女?の清爛麗華だ。見た目は中学生くらいだが雰囲気が妙に大人びている…気がする。
「蒼真さん、王様に謁見するんですから、もっとシャキッとしてくださいよ。」
「あぁ、わかってるよ、それにしてもわけのわからない世界に飛ばされたもんだなぁ。」
あとから調べてみて分かったことだがどうやらこの世界では例外を除けばスキルを一つしか習得できないらしい。不便な世界だ。その中でも派生スキルがあるらしいがよくわかってない。
——そういえば王様ってどんな見た目なのかな。よくある若干太った感じなんだろうか?
まぁ下手に先入観を持たずに行こう。
「あ、見てください蒼真さん!お城が見えましたよ!!」
麗華が急に元気になったな。そんなに城が好きなんだろうか?
「なんだよ、城くらいではしゃぎすぎだろ……。」
俺はたった今なぜ麗華がこの城を見た途端テンションが上がったのかがわかった。
————表すなら穢れもなき天使の羽だった。左右対称に伸びた尖塔は大きいわけでもないが謎の威圧感がある。壁は純白のように真っ白で無駄な飾り気はない。
「美しい……。」
俺は無意識のうちにこう呟いていた。
「蒼真さん早くしてくださいよー!」
そんな思いに馳せていると騒がしい声が聞こえてきた。
目をやるとすでに麗華が城の門をくぐろうとしていた。なんて速さだ。ついさっきまで隣にいたはずなのに気づけば数十メートルも離れてる。
————それからしばらくして俺たちは城の中に案内された。
「よく来たな青年よ、よくこの国を救ってくれた!」
通された部屋で俺たちを迎えたのはにこにこと笑顔を浮かべた王様だった。
王様と握手を交わす。予想とは程遠くこの国の王の体は鍛え上げられ引き締まっていた。
もう四十代半ば頃だろうがどこか青年の面影を残している…そしてなぜ玉座のそばにごつい大剣が立てかけられているのだ、見ててすごい威圧感があるぞ。
「ん?この剣が気になるのか?」
王がすっと『片手』で大剣を持ち上げた。うっそだろ…見た感じ十キロはありそうなのに。
「そういえば青年よ。」
「蒼真と呼んでください。」
自然と言葉が出た。無礼だったかなとか思っていると王様は大声で笑い始めた。何かおかしなことでもあったのだろうか?
「それはすまなかったな、それで蒼真よ、お主派生スキルの使い手と聞いたが本当なのか?」
そんなの初耳だぞ、俺が派生スキルの使い手だと?そんなバカな…
「そこの少女とわが軍の精鋭によるとあの怪物を二本の剣で圧倒したとか。」
ふむ、二刀流か。ゲームとかならよく見る一般的なスキルだがこの世界じゃ珍しいのかな。
「そこでだ、蒼真よ。俺と決闘してみないか?」
……は?王様と決闘?立場上大丈夫なのか?というか肩に大剣かついでもうやる気満々じゃないか。
「すごいじゃないですか蒼真さん!国きっての剣士でもある王様と決闘できるなんて!」
と麗華。
なんでも強いらしく挑戦したくても立場などの関係上めったに戦うことができず超レアなことらしい、この後知ったことだがなんと王様のレベルは80近くらしいが。俺はヘルミノタウロスとの死闘でレベルが一気に28まであがっている。とはいえ天と地の差だ。ここの国の王はこんなにレベル上がるまで何してたんだ!?
「え、あ、じゃあ明後日まで待ってもらえませんか?装備とかいろいろあるので。」
これは事実だ、初期装備で戦うなど無礼に等しかろうし。
「ふむ明後日ならいいだろう、楽しみにしているぞ。」
その後再び握手を交わし俺たちは城をあとにした。
「よかったですね、蒼真さん。」
「…どうしてこうなったんだ…しかも褒美は…」
「何言ってんですか、蒼真さん戦えることが褒美みたいなもんですよ!!」
「そんなこと言ったって装備だってさ、お金ないし」
「お金なら怪物倒した時にたくさん出てますよ。じゃあ、ギルドに行きましょうか、簡素ですけどいくつかの装備とたくさんのクエストが待ってますよ!!」
ギルドか、たしかによさそうだな、かるく肯定の意を示すと二人で歩き始めた。そういえばなんでこいつとずっと行動してるんだろう?助かるからいいけど。
「さぁ行きましょうか蒼真さん、これから一緒に頑張りましょうね!」
「おう!!」
そこまで言ってふと違和感を覚えた…『一緒に?』
ま、まぁ俺はその場のノリだと思ってまた一歩を踏み出した。
不定期だから次がいつ出るか保証はできないけど気が向いたらまた読んでくださいね!!