第二話
第一話に比べたら少し長くなってます
「……うぅ、頭ががんがんするな…まさか転生魔法があんなにもひどいとは...」
転生魔法じたいは五分ちょいだったが脳が揺さぶられるような感覚が何十分も続いた気がする。
——あの天使が言うにはここはたしかゲームに酷似した世界だったな。
「そうだ、ゲームに似てるのならスキルとか装備とか細かいんだろうなぁ。」
とりあえず装備を確認…鎧の類はなしか、それに素朴な鉄剣が一本か…がっつり初期装備って感じだな。ステータス画面はどうやって表示すんだろ。……チュートリアルとかはさすがにないか。
——転生完了を確認しました。これより切断フェイスを開始します。
というアナウンスに似た何かが流れた直後目の前が一瞬真っ白に染まった。
——「えーっと今から君はこの世界で生きていくことになる、死んでも蘇生とかはできないからね~健闘を祈ってるよ~」
この声は天使か、てか蘇生はできないのか、まぁ当り前だよな。
あたりを見回そうとしてふと気づいた。左上に先ほどまでなかったHPバーとレベルそのすぐ下には空のスロットこれはアイテムスロット…なのか?まぁいいや、そのうちわかるだろ。
——そしてここでひとつ言いたい……
「なんでフィールドスタートなんだよ!!?」
仮にも俺はいまレベル1だ、そして周りはスライムっぽいのやごつい木のこん棒をもったモンスターがうろうろしている。下手したら次の瞬間にも死にかねないぞ俺!!?
「………あ」
やべぇ…スライム?と目が合った。目の前にいる俺の腰くらいまでの大きさのモンスターの上にステータスが表示される。
モンスター名スライム、レベル1、状態戦闘態勢
————あ、だめだこれ見逃してもらえねぇ。
とりあえず背中から鉄剣を抜き放つ。硬質な金属音とたしかな重み。この剣を手に持つだけでこの世界が『本物』なんだと実感させられる。やや不格好な構えをとり、スライムとの間合いを測る。剣を握るのは初心者だがこういった間合いのとりかた、対モンスター戦の基本などはよく知っているつもりだ。
————集中力がどんどん高まり周りの風音すら聞こえなくなっていく…と、次の瞬間スライムの丸いぽよぽよした体がやや後ろに傾いた。
『戦闘開始だ!!』
突然スライムが大きくはねこちらに体当たりを仕掛けてくる。しかし、転生前の世界で無駄にやりこんだゲームの勘は消えてない、俺はその攻撃を先読みしていた。やや危うくも剣の腹の部分でスライムを受け止めると逆に押し返した。以外にもスライムの体当たりは重くこちらのHPがほんのわずかに削れた、これ直撃したらいくら相手がレベル1でも危ういかもしれない。すかさず跳ね返して空中に浮いたスライムに斬撃を加える、しかしただ斬ったわけではない。さっきの間合いの読みあいの時にしっかりとスライムの体中心に光る小さな核を見つけていた。どんなモンスターにも弱点は存在する。
スパァァァァァァン!!!
心地よい音とともに狙い違わず俺の放った斬撃はスライムのゼリー状の体と核を断ち切った。
するとスライムの体がぱん!という軽い爆発を起こして消えた。直後俺の視界の端に獲得経験値と獲得アイテムが表示された。
「ふむふむ、獲得経験値は6かアイテムのほうは…薬草か…なるべく使いたくないな、苦いって聞くし」
…さて街はどこにあるんだ。なぜ始まりの街みたいなとこからスタートしないんだ。
「そこの人逃げて~!!」
今度はなんだ、何が起こるんだこれからまた不幸なことが起こるというのなら俺もう泣くぞ?
半ばあきらめつつ俺は声のする方向をむいた。