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2-1

どうも、皆様。


こちらでは夜なので、こんばんはです。


ショウでございますです。


さて、今私はというと荷馬車に乗っておりますです。


グルグル巻きにされながらです。


この状態で既に困惑ですが、更に謎なのがあの助けてくれた少女です。


その人が俺の目の前に座り、ガチ睨みしてきますです。


ものすごく怖いです。


「…………」


しかも無言です。


荷馬車に2人きりでこういう状態とか辛すぎるです。


といいますか、どうしてこうなっているのか状況が分かりませんです。


思わず語尾が「〜です」なるくらい、訳が分からないです。


「ついたわ」


そんな感じで一人ですですワールドにハマっている俺を尻目に、突然少女が呟く。


するとその言葉と同じタイミングぐらいで荷馬車は止まった。


完全に静止したのを確認した後、外へと出る少女。


この場所に何かあるのかな?


確認したいところだが、す巻きにされてる為移動できず、全く見ることができない。


まぁ拘束されなくとも、全身怪我しているからどうにしても動く事はできないのだが。


ともかく、俺は少女の帰りを大人しく待つことにした。


「よいしょ……っと!」


と考えている間にも、こちらに戻ってきた少女。


思った以上に早いなーと思いつつ、とあることに気付き俺は彼女の右手を見てみる。


何故ならその手に液体が入った瓶みたいなのを持っていたから。


……うーん、状況を察すれば、回復アイテムのポーションとかかな?


それに色もポーションのそれだし。


なんて考えていると、少女は俺に近付いてきた。


「これを飲めばその重症も治るはずよ」


と、キュポッと瓶の蓋を開けながら言った。


やっぱりそうだったのか。


俺の為に優しい人だなぁ……


ーーと思いたかった。


うん、思いたかった。


なぜそう思えない理由はただ一つ。


その液体、ゲロっぽいゲロの臭いがするんです。


蓋を開けてから気付いたが、マジパナイな悪臭がプンプンしています。


「さ、口を開けて」


そんな汚物的な物を、俺に飲ませようとする少女。


うん、絶対嫌だ。


だけど身体が動かないから、抵抗ができない。


ちょ、何でそんな黒い笑顔で、ビンを俺の口に──






なつかしいあじがした






「改めて、私はエイレルシア・ツァーリエ・ロイノヴァ。エイレって呼んでください」


「…………」


「飲ませといてだけど……大丈夫ですか?」


「……………………」


いや、言いたいことはあるよ。


そんな風に言ってくれるなら飲まさないで、とか。


若干厨二っぽい名前ね、とか。


こっちも自己紹介しないと、とか。


だが言えない。


怖いからじゃなくて、凄い気分が悪すぎて。


油断したら実物といういか本物を放ちそうで怖い。


俺は深呼吸をして、気分を少し落ち着かせてから何とか口を開いた。


「……俺の名前はショウだ。何にせよ怪我は治ったから感謝する。ただ次回は味と臭いを検討してくれ」


「了解したわ。よろしくショウさん」


と、少女は手を差し出した。


俺も手を出し、短く握手を交わした。


因みに、具合が悪すぎるお陰か、コミュ障のスキルは発動されてません。


良くは無いが、まぁ結果オーライである。


「ところで、ここはどこなんだ?」


俺は少し屈伸しながら、エイレに訊ねる。


「私の拠点よ。すぐ目の前に家があって、そこにアイテムとか置いてあるの」


「ほう」


拠点、家ねぇ。


前作にそんな機能なかったから、今回から実装されたのだろうか?


今度ちゃんと調べて、俺も家を建ててみようかな。


と考えていると、突然エイレは俺を睨んできた。


お、俺何かし、したのかな……?


非があったのなら謝らないと、と思っていたら逆にエイレが土下座をした。


って土下座!?


「縄でぐるぐるにして連れてきてごめんなさい、そしてできれば仲間に入れてくれませんか?」


予想外デース。


思ワズ、カタカナニナッテシマイマシター。


テカヤッパリ、エイレガ縄デグルグルシタノデスネー


──じゃなくて。


今何をお願いした?


仲間にしてくれ、だと?


コミュ障の俺が仲間とか、俺が間違いなく死ぬじゃあないか。


実際前作だって仲間作らず一人でやっていたし。


それ故、孤高の闇っていう厨二ネームな通り名がついたのは、ある意味いい思い出だ。


取り合えずおことわりを──


「……だめ?」


しようとしたら……う、上目使いだとぉおぉぉ!?


そういうのに慣れていない俺にとって、女子のこれは破壊力抜群だ。


エイレ、正直言って美少女キャラだから余計映えるし。


……だが、駄目だ。


オーケーしたら俺の輝かしいゲームライフが崩壊してしまう。


ゲームが居場所みたいなところがある俺にとって、それはとてつもない非常事態。


俺は断ろうと口を開こうとした。


──その瞬間、ガシャコンとポンプアクション的な音が聞こえた。


「だめ?」


腹部に当たる鉄の筒。


そう、腹にショットガンを突きつけられました。


今度は黒い黒い腹黒笑顔で。


うん、これは脅迫ですね、チクショウめ。


しかも空いてる手にはさっきの薬があるし。


暴力なんて……人間なんて嫌いです。






【エイレが仲間になった!!(脅迫)】

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