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オンラインで間違って最弱な鬼を選んでしまった件  作者: あるすれっと
俺、吸○鬼になりました 受難の始まり?
6/104

1-6

村を出た先にあったのは、一面の草原だった。


うん、本当になにもない草原だ。


木や小屋なんかがあってもいいと思うんだけど、本当一面草しか見えない。


丘すらないまっ平だし。


これ、デバックちゃんとやってるよな、なんて少し不安を感じるが一旦置いておいて。


まず、するべきことをやってから気にするとしよう。


「ステータスチェック!」


俺はそう高らかに宣言する。


すると目の前にメニュー画面が現れ、その中のステータスの項目が開かれた。


──ステータスチェック。


当たり前だけど、これは初見かつゲーム冒頭では重要なことだ。


回復魔法使えたら薬草をどう使うか考えられるし、技があるのならばモンスターとの戦闘方針も決めることもできる。


序盤は魔法や技を覚えていない事が多いが、ステータス的に判断・予測する事もできるし。


特に今回は吸糖鬼という謎過ぎる種族。


調べておかないと、下手したら次の村まで辿り着けない可能性だってある。


俺は若干嫌な予感がしつつも、ステータスをまじまじと見つめた。






〜ステータス〜


ショウ Lv.1


HP 5/5

MP 1/1


攻撃 1

防御 1

素早 2

魔力 1

魔防 1

命中 1

賢さ 1

幸運 5






…………


あれ、おかしいな。


俺は誰かの通信簿でも開いてしまったのか?


しかも留年確実といえる感じの。


運動だけが取り柄なんだぜ的に、体育しか得意じゃないみたいな。


俺は一度画面を閉じてまた開いてみる。


うん、数値に変化はない。


最悪な事にどうやらこれが吸糖鬼の本気らしい。


こんな酷い初期ステータスじゃあ、恐らく最弱モンスターのスライムに敗れますよね、一撃で。


念のためスライムのステータス、確かめておこう。


そう思った俺は、テロップのナビ子(俺命名)にデータを取り寄せてもらった。


すると、直ぐにステータスの書かれたテロップが目の前に現れた。






スライムLv.1(ここ一帯のデータ)


HP 7

MP 0


攻撃 6

防御 3

素早 3

魔力 0

魔防 0

命中 5

賢さ 1

幸運 2






あぁそうか、そうだったんだ。


スライムが強敵(ライバル)でラスボスだったのか。


だって、本当にスライムの攻撃一回で即死なんだぞ?


早さも負けてるから先手とれないし。


遭遇したら終わりだ。


「い、いや、まだだ!」


早くもこのゲーム詰んだかなと思ったが、希望はまだある。


このようなキャラは、次のレベルアップまでの経験値が少なくて済む事が多い。


そう、例えばスライム一回倒すだけで──






ショウのレベルアップまで

100000000






……あれぇ?


レベルアップアップするのに、ラスボスなスライムを五千万体倒さないといけないだなんて。


変だな、目が霞んできたよ。


【分かったから正面を向こうね、正面を】


そんな感じで鬱な気分に襲われた時、ナビ子さんがそう言った。


どうせくだらないことだろうと思って見てみる。


──後悔した。


何故なら


「ピキー!」


ラスボス(スライム)の登場であったからだ。


「…………」


俺は迷わず、コマンド『逃げる』を選択!!


絶対に逃げて──


【しかし逃げられなかった!】


えっ、ナビ子さん、今なんて言った?


逃げられなかった、だって?


──それを頭で理解できた時にはもう遅かった。


コマンド失敗により、動けない俺。


体当たり攻撃するために、助走をつけるスライム。


避けられるほど早さがない俺。


走ってくるスライム。


ええ、これは間違いなくーー


「俺、死んだわ!!」


【スライムの攻撃!!】


そんなナビ子さんの声がする中、腹部にスライムのポヨポヨ感。


それと同時に上空を舞う俺の体。


ああ、俺はここで死亡ゲームオーバーなのか。


何という悲しい人生だった……


【ショウは4のダメージを受けた!!】


ってあれ、まだ生きてる。


おかしい、普通なら俺は死んでいるはずだ。


何故なのかあれこれ考えてると、あることを思い出した。


それは防具。


運営の人に貰って装備した、あのコート。


装備したから防御上がって、何とか生き残れたわけか。


助かった、初期戦闘でいきなりデススポーンは恥ずかし過ぎるからな。


思わず額から出た汗を拭っていると、威圧的と感じるくらいに、目の前にナビ子のテロップが出てきた。


【ショウのターンです。何しても無理だから早く死ね】


「ナビ子さん、ひどっ!?」


【いいからとっとと行動する!】


コンピューターにも馬鹿にされてる俺。


いいさいいさ、パッパと行動しつつ何とかしてみせるさ!


……さて、何を選択しよう。


逃げるを選択したいが、前作と仕様が変わらなければ、一度失敗したため逃げられない確率が高くなっている。


通常攻撃しても威力が足らない以前に、早さも足りないから先制されて死ぬだろうし。


道具を使っても永遠に、回復→瀕死→回復のデフレスパイラル。


防御は問題外。


ならやっぱり詰んだ?


と思うだろうが、まだ可能性が一つ残っている。


その可能性とは、魔王の登場で調べなかった技の欄である。


もしかしたら完全逃走系や即死系の技があるかもしれない。


それでなくても何かがあれば活路が見出せるかも


お願いだ、あってくれ!


【技:石投げ】


──だが悲しい結果しかなかった。


何だよ石投げって。


道端の石を投げるのか?


それでどうしろって言うんだ。


「だけどもうヤケだ、石投げを選択ッ!」


【先制攻撃、ショウの石投げ!!】


えっ、まさかの先制攻撃!?


何故先制なのかは知らないが、さっさとそこら辺の石を投げてしまおう。


どうせ死ぬんだし。


「ほれ」


俺はスライムめがけて軽く投げた。


何とか命中し、ぽこんと当たる音が聞こえる。


【スライムは1600000のダメージを受けた!!】


「えっ?」


【スライムは爆散した】


「…………」


どういう、ことなんだろう、ね。


俺にはこの展開はさっぱりだ……

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