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オンラインで間違って最弱な鬼を選んでしまった件  作者: あるすれっと
俺、吸○鬼になりました 受難の始まり?
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1-3






なう ろーでぃんぐ…











「お、始まったか!」


気付いた時には、俺は村の入り口前にいた。


ここから辺りを見回してみると、どうやらRPGらしく中世辺りの時代なんだろう。


村を囲む柵は全て木製。


建物も木やワラを使ったものが多く、レンガ造りとかは1、2軒程度しかない。


全部古い感じの家で、大切に家を使っているんだろうなーという感じ。


うん、正しくゲームの世界って実感する村だ!


何故か木造のコンビニやゲーセンがあったけど、この際気にしないことにしよう。


「んじゃ、さっそく情報収集でもしようかねー!」


という訳で、始めはRPGのセオリー通り、入り口近くにいるキャラに話をして、この村の情報を集める事にした。


え、「コミュ障なのに話しかけられるの?」だって?


だって相手はコンピューター、ユーザーじゃなかったら大丈夫さ。


でも一応少しは緊張するので、控えめな態度で丁度目の前にいたキャラに話しかけた。


「あのーすみません」


「やぁ、スタートビレッジへようこそ!君は旅人かな?」


にこやかな笑顔で返す村人キャラ。


これを聞くとゲームが始まったのを実感するなー


そう思いつつ、「そんなもんですね」と簡単に答えた。


「それじゃ村長のところに行かないとな!!」


そう言うと、村人が俺の手を無理矢理つかんで引っ張ろうとした。


勿論、俺は突然の事に思わず抵抗しようとした。


けれど、うんともすんとも動きません。


そのまま俺は村人に引きずられて行きました。


吸血鬼がただの人間に腕力で負けるって、俺のキャラって一体どうなってるの……


「ついたぞー」


ズリズリと引きずられた3分、若干凹みながらやって来たのは、先程確認していたレンガ製の建物の一つだった。


察するにここが村長の家らしいが。


周りと比べ、やけに立派すぎない?


門番2人いるし、窓は綺麗なガラスだし、庭付きだし。


一般村人との差が酷くない?


そう思いながら再び引きずられていると、入り口にいる門番が持っている長刀で入り口を塞ぐ様にして立ちふさがった。


「入り口近くの村人、一体何用だ。村長様はご病気なのだぞ!」


「それにコイツは物の怪、モンスターではないか!何故村の中にいれたのだ!?」


俺を物凄い形相で睨めつけながら、大きい声で怒鳴り付ける門番二人。


耳がきーんとなり、思わず俺は怯んでしまった。


一方の村人、入り口近くの村人とやらは冷静な表情だ。


というか寧ろ喜んでいる様にも見える。


彼はその表情通り落ち着いた口調で話し始めた。


「彼は『北方冒険譚(ほくほうぼうけんたん)』の記述にあった伝説の鬼なんだよ」


それを聞いた門番二人は驚愕の表情を浮かべる。


「なんと!」とか「まことか!?」という言葉を大声で叫びながら。


凄い感動している様にも思えるが、いったいどういう状況かサッパリ分からん。


「通って良いよね?」


「ああ、村長様をよろしく頼む!」


「勿論だよ。じゃあ通るね」


そう言って入り口近くの村人は家に入る。


相変わらず俺を引きずったまま。


あー、もうさっきから何なんだ。


勝手に話が進んでいくし、伝説の鬼や北方冒険譚とか謎の単語が出てくるし。


しまいには一村人に力負けして引きずられまくる吸血鬼。


あれかバグか、バグなのか!?


なんて思っていると、いつの間にか絨毯がモフモフの部屋にいて、ベッドに寝ているお爺さんの前に放り出された。


見た感じ疲れている様子のお爺さんだけれど、それより放り投げられることが地味にショックだったり。


またもや落ち込む中、お爺さんは入り口近くの村人を見つめ、口を開いた。


「入り口近くの村人よ、一体何用か?この物の怪の処罰の為に来たのか?」


「いえ村長様、なんと『北方冒険譚』の記述にあった鬼を連れてきたのです」


「本当か、でかしたぞ入り口近くの村人よ!!」


そう言って滅茶苦茶喜びながら、俺を滅茶苦茶凝視する村長。


NPCとはいえ、そんな凝視されるとちょっと怖いぞ、うん。


それに未だ話がまったく見えないのも不安材料だ。


どんどん俺の知らないところで話が進んでいくし。


もう意味不明すぎて、ぽかーんと呆気にとられていたら、お爺さんが何か決意した表情をしながら腕を俺にさし出した。


「さぁ私のを飲んでくれ。遠慮は要らん、飲み尽くす勢いで頼む!!」


……飲み尽くせって腕を出すってことは、血を吸って良いって事だよな?


俺は「死ぬ気なの、馬鹿なの?」と思いながらも、折角なので言われるがまま腕にかぶついてちゅーちゅー飲む。


うーん、何か甘いなー。


前はちょっと(しぶ)い味だったんだけど、変わったのかね?


そう思いながら、取り合えず死なない位に抑えて飲み終えた。


「っぱ!……ごちそうさま。お爺さんだいじ──」


と、心配しようとした矢先、お爺さんは急に魔法を使い出し、自身の体をくまなく見る。


そして発言。


「おお!!やはり噂通り、体の糖度が下がっておる。これで糖尿病が完治したも同然!流石は(きゅう)(とう)()様だ」


……えっ?


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