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オンラインで間違って最弱な鬼を選んでしまった件  作者: あるすれっと
落胆と歓喜の遊戯(ギャンブルゲーム)〜禁欲の賛美歌〜
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3-5



「えーっと、先程はありがとうございました。私は七摘宇佐美ななつみうさみと言います。……よろしくお願いしますね」


物凄く困惑の表情を浮かべつつ、律儀にお辞儀をしながら兎人──宇佐美さんが言った。


真にしなくていいのに、なんというか律儀だな。


優しいと言っても良いかもしれない。


大人だなぁと思いつつ、諸悪の根源であるエイレの方を見る。


なんだか満足そうにニコニコしていた。


……うん、子どもだな。


思い通りになって嬉しいって感じだもの。


俺がそんな評価をしていると知らないエイレは、ニコニコのまま宇佐美さんの前に立つ。


「ではこれから宜しくね」


そして手を差し出しながら言った。


「はい、改めてお願いします」


それに対し宇佐美さんは、一言付け加えて握手を交わした。


満足したのか、エイレは握手が終わると、手で片目を隠すという厨二全快ポーズで口を開く。


「さて、これからどうしようかしら」


確かにもうやることはないな。


当初の目的は達成したし、ここ周辺には良いレア堀できないし。


レベル上げは以下省略。


うーん、なにか丁度良いクエとかあれば良いんだがな。


そう思っている時、俺の背中に誰かがぶつかってきた。


見てみると、なんとこの街に連れてきてくれたNPCの女の子だった。


だが様子が変だ。


なんか息切れしている?


「どうしたの?」


エイレは厨二ポーズを続けながら、その子に話しかけた。


ポーズを止めさせるべきだが、それよりもその子の様子が気になる。


女の子は荒れた息を整えながら、慌てた様子で言葉を紡ぎだす。


「あっ、あのグループが!また私や他の人を襲って!!私は大丈夫だけど他の人はやられて……。もうどうしたらいいか分からないの!!」


あのグループというと……糖党か。


エイレも事の問題に気付いたのか、厨二ポーズをやめて真剣に聞き始めた。


宇佐美さんは頭の上にクエスチョンマーク一杯な表情してるけど。


「ねぇ、そいつらは今何処に行ったのかしら?」


「ジャックビルという建物に……」


エイレの問いに、少し落ち着きを取り戻した女の子が答える。


それを聞いたエイレは、女の子の頭をポンポンすると、長剣を取り出して歩み出す。


「安心して。私がすぐに倒すから」


そう言い残し、エイレは夜の闇に消えていった。


……なんだろ、凄いカッコいいんだけど負けフラグな気がする。


そう思っていると、今度は宇佐美が女の子の前でしゃがみ、にこやかな笑顔を向けて言った。


「私は何が起こったか分からないけど、大丈夫だよ。お姉さんも戦うから安心して、ね?」


コクりと頷く女の子。


それを確認すると、宇佐美さんは立ち上がり、同じく夜の闇に走っていった。


……あれか、フラグを立てるのが好きなのか我がパーティーは。


何故か負けるとしか思えなくなってきた。


いや、それ以前に迷子フラグか?


どちらにせよ、良い方向にはいかなそうだ。


「ごめん、案内頼める?」


俺は女の子に案内を頼み、承諾してくれた為、二人でそのビルに向かう。


案外近かったようで、すぐにつくことができた。


迷子フラグがあったが、ちゃんとたどり着けたようで、ビルのあちこちで爆発音や発砲音が聞こえている。


「君はここで待ってて」


「は、はいっ」


俺は例の定規を握りしめ、ビルの中に突入した。






「酷いな……」


ビルに入ったら凄かった。


優しく表現するならば──


辺りには真っ赤なお花畑、時々ミミズが散らばっている……ってとこか。


これは耐性なければ精神崩壊してるレベルのものである。


実際俺もキツイ。


今晩は夢見が悪そうだ。


「ん、あれは?」


吐きそうになりながら進んでいると、生きている人を見つけた。


……見つけたんだけど


「そうッスよね、先輩!私もそう思うんですが全く駄目なんッスよ」


ミミズさんに向かってガールズトークをしていました。


座ってブツを持ちながら。


乾いた笑いが物凄い恐怖を感じる。


目のハイライト無いし。


可哀想に思った俺は、回復アイテムを使って正気に戻し、即刻立ち去るよう言ってからその場を去った。


そしてしばらく歩くと


「クックック、弱いなクックック」


「クソッ!!これでもくら──」


「二双両断斬!!」


「ぎゃああああ!両腕がぁぁぁぁぁ!!」


「クックック、張り合いがないなぁクックック。とっとと消してやるよクックック」


「あ…あ……」


「暗殺剣、劉翔!!」


「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」


「クックック、他愛ない。クックッククックッククックック」


厨二全快で、敵を虐殺しているエイレの姿がそこにあった。


というか前のあいつより“ク”が多い。


頭逝かれたのかな?


エイレをウザく感じつつも、俺はドン引きしながら話しかけてみる。


「エイレさん、何をしているんですか?」


「クックック、貴様も殺ってやる!」


「…………」


俺はいつぞやに貰ったTNT爆薬をセットして、上に行きながら起爆スイッチを押した。


そしてまたまた進むと


「魔法少女うさみん!悪をやっつけるんだから!!」


魔法少女的なコスプレをして、ステッキで撲殺している宇佐美がいた。


というか何処からその衣装を出したんだろう。


まさか常に持ち歩いている?


宇佐美の意外すぎる一面を見た俺は、またまたドン引きしながら


「石投げー」


石を投げて倒しておいた。


一体何してんだこいつら。


殺しまくったから頭いったのか?


次は何もないことを祈りつつ、階を移動した。


すると今度は──


「俺が糖党の支部リーダー、コンセント星人のドラ・ゴ・ンフィシュだ!!」


ボスと鉢合わせです。


やったね畜生。


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