3-4
──おはようございます。
今、一本背負の衝撃から目を覚ましましたショウです。
いやー、痛かったね。
死亡するかと思ったよ。
ちょっとビックリしたし、エイレに文句を言おうかと思ったが、まぁ今それどころじゃない。
……何で兎人さんが座っていたところに、座らされているんでしょうね、俺。
一本背負いくらって気を失っている時に何があったのだろう?
そう思ってエイレを睨むと、一件のメールが。
【頑張ってゲームに勝てbyエイレ】
どうやら強制的にゲームをしなければならないようです。
ルール分からないのに。
しかも表示を見る限り、いきなりマイナス150万からのスタートなのですが。
ありえん。
『ではカードを配ります』
そんな俺をお構い無しに、勝手にゲームを始めるディーラー。
せめてルールくらいは確認したかったが、成り行き任せでいくしかない。
幸いにも他のプレイヤーは全員NPCのよう。
俺はいろんな緊張をしながら、貰ったカードを手元で隠しながら見てみる。
ふむ、俺の手札はクローバーの10と7か。
強そうとは思わないが、まぁやるしかない。
俺は周りの表情を見ながら、場のカードもチェックする。
どうやら最初は一枚だけのようで、クローバーの6が表になっていた。
【ルール説明、こっそり致しますか?】
流石に心配になったのか、ナビ子が小さなテロップで伝える。
確かに教えは欲しいが……
「イカサマと疑われるかもしれないから気持ちだけ受け取っておくよ。それに」
【それに?】
「多分これ、大丈夫だ」
【……へ?】
ナビ子が情けないテロップを出したところで、先ほどのコールだのレイズだのを言い始める他プレイヤー。
俺も見よう見まねでやってみる。
おかげでコールとレイズの意味が分かってきた気がする。
因みに今は三枚までオープンされている。
最初言ったカードと、ハートの5とクローバーの9。
加えて現在のリタイアは0人。
みんな調子でもいいのかなー。
そんな事を思いつつ、俺はコールだけをする。
結局誰も降りることがないまま、最後の二枚がオープンした。
クローバーの8とダイヤのQ。
俺は役一覧をディーラーに借り、それを見ながら続ける。
よし、もうすぐで締め切られるし、積極的にレイズしていくかな。
「レイズ」
「レイズ」
「リレイズっ!!」
『では終了です。オープンしてください』
さてどうなのだろうか。
緊張を高めながら、周りの役を見てみる。
「ツーペアだ!」
「私はフラッシュです」
「くっ、ワンペアだぜ……」
NPC達は手札を出して結果を言い合う。
だがそれに参加せず、何も言わない俺が気になったのか、こっちを一斉に向いた。
……しゃあない見せてやるか、俺の手札。
「ストレートフラッシュ。俺の勝ちだな」
──それが後に“金欲の鬼の誕生”と言われる出来事の始まりだった。
「おしゃ、フルハウス!!」
意気揚々と言うNPC。
いやだけどまだ甘いな。
「残念、フォーカードです。俺の勝ち」
さて今回は掛け金を増やすかな
「レイズ」
「「「コール」」」
お、まだついていけるか。
ならもっといくかね
「レイズ。更に倍額だ」
そう言った瞬間全員が苦い顔をし、ポロポロとフォールドしていった。
しかし残念だったな。
「俺の手、ワンペアだと言うのに、皆フォールドって運が良いな」
「なッ……!?」
そしてラストゲーム。
「来たっ、フォーカード!」
「よし今度こそ俺らの勝ちだ!!」
「ヒャッフォォォゥ!!」
10回以上負けたせいか、テンションがおかしくなってしまっている。
だがようやく願いが届いたのか、良い手が出たようだ。
……だがな、甘いんだよ。
パンケーキにアイスと生クリームを天までのせた物並みに甘過ぎるんじゃ!
スペードの10!
スペードのJ!
スペードのQ!
スペードのK!
そしてスペードのA!!
「これがッ、俺のッ、リアルラックだッッ!ロイヤルストレートフラッシュじゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」
最終結果。
俺の圧勝で300万ゲット。
ということでお釣り150万は俺の物に。
それに加え、無料期間も沢山延長となった。
「良くやったわ」
俺が戻るとエイレは暖かく迎えてくれた。
兎人の女の子は何故か軽くひいていたようだが。
きっと俺のテンションがおかしかったからだと思うが……
「けど、どうしてこんなに強いのよ」
「さあ?ただ運が良かったとしか」
実際そんなもんだ。
賭け事とかレア堀というものは。
そういうふうに言おうと思ったが、エイレ含め大体の人に怒られそうだから止めた。
「──さて、と」
俺と話していたエイレだったが、改まってと言わんばかりに、兎人さんの方を向いた。
そして──
「私の仲間になりなさい、兎人」
「「え?」」
「拒否権は無い」
【兎人の女の子が仲間になった(強制)!!】