3-3
秘技次話移動リセット。
俺はあの間違いをなかったことにした。
だって何か恥ずかしいんだもの。
言葉に出して無いからギリセーフなのだが、思ってしまったというだけでも駄目な気がする。
・・・まぁもう過ぎた事だし、もう気にしないで戻ろう。
俺は手に入れたコインを持って、エイレと別れた場所に行った。
だがエイレの姿が無い。
いったい何処にいるのか。
周囲をくまなく見回して見ると案外近くに居、簡単に見つけることができた。
どうやらトランプのゲームを見ているよう。
すぐに合流しておきたいが・・・ムズイかもしれない。
何故ならエイレ以外にも人が沢山いるから。
ただのゲームの筈なのだが、何か起きているのだろう。
なんだかわからないがコッチに迷惑だよ、全く。
俺は覚悟を決め、また具合を悪くしながら人波をかき分けて行く。
そしてエイレまで辿り着くと、一度深呼吸をし、意気込んでから声をかけた。
「な、何があったのですか?」
「あら、おかえり。ただ単にこのゲームが面白いのよ」
エイレは俺の方を振り向き出迎え、すぐ目の前のゲームテーブルを指差しした。
・・・いや、やっぱり普通だ。
特に面白味も感じないんだけどな。
そう思っていると、俺の表情から察したのかエイレが教えてくれた。
「実は中央にいる女性の兎人、100万ほど負けているのよ」
「へぇーって100万円!?」
100万って、序盤では課金しないと絶対手に入らないきんがくじゃないか。
それだけ負けていても、未だやっているなんてどういうことなんだ?
相当課金でもーー
「あら、更に面白くなってきたわね、ショウ」
と、頭で考えている時に、エイレが突然話しかけてきた。
すみません、読心できないと思うが、思考中に急に俺にふらないで。
びっくりしちゃうのだよ!
・・・まぁいい、ルール分からないが、俺も観戦するとしよう。
「レイズ」
「「「コール!」」」
『ではフルオープンです』
「フルハウス!うしゃっ、勝った!」
「ツーペアだ、くそッ!」
「チッ俺もだぜ」
「ノーペア・・・です・・・」
明らかな落胆の表情で言う兎人さん。
本当にさっぱり分からんが、悲しいほど負けているみたいだ。
何かそんな負のオーラが出ているもの。
今ので借金、どれだけ増えたのだろうか。
凄い涙目になってきているし。
思わず俺も貰い泣きしそうだ。
『お客様、これ以上したらプレイ時間がゼロになってしまい、ゲームが出来なくなりますよ。ただでさえ150程の負け。まだ続行し負けるようであるならば、リアルマネーのお支払いですが』
そんなしょんぼりしている彼女に、ディーラーがトドメをさす。
あ、涙腺決壊した、あの人。
まぁ俺でもそうなるよ、うん。
しかしプレイ時間ゼロってのはどういうことなのだろうか。
【どうやらお金がなかった為、プレイ時間を担保にして続行していたようですね】
そんな疑問が浮び出てすぐ、ナビ子が解説してくれた。
という事はつまり、このまま負けたらゲームが出来なくなり、リアルマネーで150万近くの借金。
ここでやめても、担保外の少ないプレイ時間で、ゲームマネー150万程を集めなきゃいけないってことか。
あの人、完全に詰んでいるじゃないか。
「ショウ」
絶望的だな、そう結論付けていると、エイレが耳元で俺の名前を呼んだ。
「なんーー」
「どりゃあ!!」
エイレに返事をしようとした瞬間、俺はエイレに綺麗な一本背負を決められ、ゲーム台まで吹き飛ばされる。
勿論俺の意識はログアウトだ。
『い、一体なんですか?』
「申し訳ありません、ディーラー。彼女の代わりにゲームしたいと申してたのです。それは気を失いながら飛んでくるほどに」
『代打、ですか』
「ええ。宜しくて?」
『・・・いいでしょう、オーケーです。ではこの方を席に』
「頼んだわよ、ショウ。まぁ今は気を失ってるけど」