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それぞれが放った大技は、フード男を包み込みながら飛行船を破壊していく。
特に宇佐美様の呪文。
苦しみの声を響かせながら、荒れ狂う暴風が敵と機体をバラバラにしていた。
勿論そうなってしまったら起こることはひとつ。
機体バラバラ、イコール床もサヨナラバイバイ。
落下するのは必然であった。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉおぉおぅ!?」
なんとなく予想はしていたが、この状態のパラシュート無しスカイダイビングはやっぱり怖すぎる!
だってあらゆる破片が一緒に落下してるんだもの。
下手したらそれにぶつかって死ぬわ。
まぁそもそもで落下死する未来しか無いんですけどねー!!
ーーと、そんな感じで。
敵のフードや、味方がどうなっているのか、周囲を見て探す余裕なんか俺にはなく。
俺はただただ恐怖に怯えながらただただ落ちていくだけだった。
「ショウさーん!!」
そんな中、とある聴き慣れた声が周囲から聞こえてきた。
俺はその声の主がいるだろう方角を向く。
するとやはり俺が予想していた通り、いたのは宇佐美様だった。
更に言うと他の面々も宇佐美様の周囲に集まっていて、まるで集団スカイダイビングしているかの状態となっている。
もしや「集まって。こっち来て!」と言うことなのだろうか。
なーんて思っていると、宇佐美様が手招きしているので間違いないようだ。
俺は腕とか足とか動かしまくり、なんとか近付くことができた。
「みんな揃いましたね?」
俺が着いたタイミングで宇佐美様が聞いてきた。
何となく周りを見てみるに、揃ってはいるようだ。
「全員いますね!……じゃあ今からなんとかするので、絶対に喋ろうとしないでください」
安堵めいた表情を浮かべつつ、そう言いながら宇佐美様が取り出し構えたのは月天複品。
そういえば月天は重力を操る武器だっけ。
……もしかして、これでなんとかする気じゃあないだろうな!
「絶対舌が切れちゃいますからッ!!」
全てに気付いた俺は止めようとするが、一足遅く。
振り下ろした月天は、宇佐美様を中心に俺ら全員を重力の檻に包み込む。
その瞬間なんとも言えない程の圧迫感を受け、気付けば地面と熱い抱擁をしている状態となっていました。
うん、気絶したな俺。
重力強すぎてだとは思うけれど、まさか着地するまで意識が落ちてしまうとは思わなかった。
ちょっと情けなさを感じつつ、膝に手をついて重く起き上がる。
「あら、お目覚め?」
真っ先に声をかけて来たのはエイレだった。
「凄いわよ、今。まるでアクションゲームのエンディングシーンみたいよ」
なんだそれ?と思いつつ、言われるままエイレが指差す方を見てみる。
「うわぁおぅ」
するとどうでしょう。
空中分解しながら大爆発を起こし、絶賛墜落中の飛行船が見えるではないですか。
確かにボス倒して、仲間救出した後に崩落していくステージを見ると、凄い見知ったエンディング感がすっごくする。
「ホント、“長く苦しい戦いだった”って言いたくなるような光景ね」
「マニよ……それを言ってしまうと怒られそうな気がするんだけど。いろんな意味で」
ーーと、まぁそんな感じでエイレの救出作戦と、長くウザかった糖党との戦いが終わったのだった。
因みにその後の話ダイジェスト。
イベント中に自国の姫が襲われたーという事で、急遽中止。
帰りの準備ができるまで、温泉や食事で今回の戦いを癒して過ごした。
因みにチームメンバーだったミーコさんらと改めて交流もした。
交流というか防衛戦おつかれ会的な感じだったが、相変わらずのコミュ障を発揮したので割愛。
位前よりはマシにはなったと思う……うん、思いたい。
と、まぁそんな感じで数時間過ごし、帰路についた。
特段と問題はなかったがちょっと気になるところとして、惰之の姿がログアウト後から確認できなかったことはあった。
あまりにも気になるんでこっそり運営に聞いてみたところ、すぐ迎えが来た為帰った、との事だった。
変人ではあったものの強かったし、ちょっぴり話を聞いてみたいもんだったが……残念。
ま、もしかしたら今後会えるかもしれないし、その時を楽しみにしておこう。
ーーああ、それと後ひとつ。
家についた俺は直就寝したんだが、その翌日に、ポストに封筒が入っていた。
宛先は俺の名前。
というか凄い見たことある封筒だ。
まるでリアイベの手紙が入ってた封筒そっくりな感じの。
俺はゴクリ、と息を呑む。
そして意を決して封筒を開封、中身を確認すると……あらびっくり
「かっ……感謝状授与式ぃ!?」
更なる問題が勃発しようとしていた。