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ハロウィンの翌日はただの平日ですか!?

 久しぶりに番外編更新です。

 11月1日。それはハロウィンの翌日。


 昨日の夜まで化け物が闊歩していた町も日が昇ってしまえば、ただの町。

  

 だからこそ私は声を大にしていいたい。


「とりっくおあとりーと!」


 昨日まではもっていたお菓子もすでに配ってしまって手元にないはず!


 だからくすぐるようなかわいい悪戯から、口に出せないようなあんな悪戯まで出来るはず!


「前から思ってたけど、アンタはバカじゃないの?」


「いたっ!?」


 葉山様の声とともに、何かが額へ飛んできた。


 地面に落ちたそれを拾ってみると、ママの味がする飴だった。


 まさか私のためにお菓子をとっておいてくれた……!?


「そんなわけないじゃない。双子にいうこと聞かせるのに飴を持ち歩いてんのよ」


 元気すぎる葉山様の双子の妹ちゃんを思い出し、納得した。


 まさに飴と鞭。

 あの二人は一番下の蓬ちゃんよりも単純そうだ。

  

「憩、お腹空いてるの?俺のお菓子あげる」


 優しく微笑んだ四分一様がポケットから10円で買えるお菓子をプレゼントしてくれた。


 天使かッ……!?


 その純粋さで私の腐った心も浄化されそうです。

 

 四分一様はずっとそのままでいてください。


「いっちゃん、ごめん。俺はお菓子を何も持ってないんだ。だから悪戯はお手柔らかにしてくれるかな?」


 関元様は申し訳なさそうに眉尻を下げる。


 イケメンの謝罪とかプライスレスです!

 冗談にせずに悪戯を受ける姿勢を見せつつも、ちゃっかりお願いしてくるところもいいです!   

 

「姐さんからの悪戯……それもいいけど、でも姐さんがお菓子が欲しいっていうのなら今すぐ買ってきます!」


 相変わらず、城野様の言動にはツッコミどころが多すぎる!?

 

 ドMじゃないのに悪戯されたいんですか!? 

 

 買ってくるってそんなパシリみたいなことさせられませんよ!?

 むしろ私が買ってきます! 


「憩ちゃんからの悪戯なら俺は大歓迎だよ!なにするの?俺……憩ちゃんがくれるものならなんだって受け入れるから」


 ゆーくんはどうしてそんな期待に満ちた目で私を見るのかな?

 あと顔がすこし赤いけど、私の気のせいだよね?


 発言がR指定かかりそうなのも、息がかかりそうなほどに距離が近過ぎるのも、気のせいだよね!?


「Trick or Treat」


 発音がきれいすぎて誰にいわれたのかわからなかった。


「聞こえなかったのか?Trick or Treatっつってんだろうが!」 


 向井様が眉を吊り上げて、声を荒らげた。


 えっえええ!?今の向井様がいったんですか!?

 

 英語とか苦手そうに見えるから、別の人がいったのかと思った。


 えっと……あれ?私、悪戯することばかり考えてたけど、お菓子なんて持ってたかな……。


「なんだ?お前がいい出したくせに菓子を持ってねえのか?なら……悪戯されても文句はいえねえよな?」


 向井様は素敵な笑顔を浮かべながら、私との距離を詰めていく。

 両手の指を鳴らす、おまけつきで。


 あ、これは死亡フラグ。


「は、ハロウィンは昨日までの話なので、今日は関係ないです!」


 いい切る前にスタートダッシュを始める。


「テメェ、逃げんじゃてんじゃねえぞ!」

 

 背後から怒鳴り声が聞こえるけど、振り返るなんて恐ろしいことは出来ない。


 ただひたすら足を動かすのみだ。


「憩ちゃんに悪戯だなんて……そんなこと俺が許すと思う?」


 向井様の後をゆーくんが追いかけてきた。


 え?これなんて三角関係?

 

 二次元なら美味しい展開なのに、惜しむらくは先頭が私であることと、割と命の危機がかかっていることである。


「……あの子ってほんとバカよね」


「それもいっちゃんらしいけどね」


「今日も憩は元気」


「姐さん、そんなに照れなくてもいいのに……」


 私が必死に逃げている間にそんな会話があったらしい。 






「――――ということが今日あったんですよ……おかげでバイト前からすごく疲れてます」  

 

 思わず、バイト前に今日あったことをヴェルさんに愚痴る。


「……それは自業自得のような気もするが」


 ヴェルさんは手元の伝票から顔をあげ、呆れた声で答えてくれた。


「まあ……そういわれるとそうなんですが……」


「疲れた時には甘い物がいいと聞く。一日遅れてしまったが、ハロウィンのお菓子だ」

 

 口を赤いリボンで閉じた中身が見えない黒い小袋だった。


「あ、ありがとうございますっ!」


 ヴェルさんは優しいな。こんな私にもお菓子をくれるなんて。

 

 イベントとかにプレゼントくれるイケメンってほんとかっこいいよね!

   

 バイト前だけど、一つだけ食べてようかな。


「ヴェルさん、開けてもいいですか?」


「ああ、かまわない」


 新作ゲームの包装を開けるような気持ちで、リボンに手をかけて……絶句した。


 え?これなに?もしかして私ってヴェルさんに嫌われていたんですか!?


「憩も蜘蛛は嫌いか?ハロウィンらしくていいと思ったんだが、近所の子どもにも気味悪がられてしまってな。それはグミで、赤色が苺、青色がサイダー、黄色がレモン、緑色が青りんご、黒色がコーラとそれぞれの味がするらしいぞ」


 そう。袋の中身は色とりどりのそれはデフォルメされてはいたが、どう見ても蜘蛛だった。


 そりゃ、近所の子も引きますよ!?

 お菓子をもらえると思ったら、色とりどりの蜘蛛(の形のグミ)だったとか悪夢でしかないないです!


 下手したらトラウマになっちゃいますよ!?


 イケメンで気遣いも出来るのに、微妙にずれているヴェルさんに、モテ期はまだしばらく来なさそうなんて失礼なことを思ってしまった。


 ハロウィンネタを考えていたら、葉山の一言を思いついたので、一気に書き上げました。

 

 高槻は今日も元気です。


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