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序章
序章
男がいる。若い男だ。まだ成人を迎えてまもないのか、幼い顔をしている。
しかし、稀にみることのないくらいの美貌で、女にも男にも引く手あまたであろう
という容姿をしていた。
「 あいしてる、あいしてるよ――。ずっときみだけをあいしてる…… 」
男はひたすらに愛の言葉を紡ぐ。その前に横たわるのは青白い顔をした女である。
鴉のような真黒い髪を無造作にのばしており――ただ、手入れはしていたのかきれい
な髪である――手足は枯れ木のように細い。まるでおとぎ話に出てくる魔女のような
女である。
そんな女に男は愛をささやき続ける。女はもう息がないのか、それとも動けるほど
の体力がもうないのか、反応がない。
しかし男はそんな女の反応にも構わず、壊れた玩具のように同じ言葉を繰り返す。
――どのくらい時間が経っただろうか。男がふいに口を閉じた。
そして女から視線をはずし、前を向いた。その男の目には強い意思が宿っていた。
初投稿です。初心者ですが、精一杯がんばりますので宜しくお願いします。




