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学園×入学

悲しかや


闇夜に浮かぶ


緋色月


感想待ってます///

(起きなさい!)


誰かが俺を呼んでいる。カーテンの隙間から差し込む春の太陽の暖かな光が、かすかにきらめいて俺の顔面の降り注ぐ。そんな清々しい朝にいったい誰が俺の安眠を邪魔するというのだろう。


(今日は買い物に行くって言ってたのはどこのどなた!?)


朝からうるさい声にいらだちを覚えて、寝返りを打って布団を頭からかぶる。そうした俺の目の前に、指にきれいにはまった銀色に輝く宝石がはめ込まれた指輪が目に入る。


少しの濁りも見せないその輝きは無言で訴えてくるようだ。


『まだか、まだか。』と。


不思議な感覚に酔いしれて、残念なことにすっかり目が覚めてしまった俺は、部屋をぐるりと見渡した。机があって、緑掛ったカーテンが揺らめき、お気に入りの本を雑に詰め込んだ本棚があり、般若のお面があり、そして極めつけは壁に貼られた、所謂『萌え』要素満点のポスター。


・・・・・・・待て。ちょっと待て。いま、俺の最高にいい環境の中に一つだけ不要なものがあった気がする。


俺はそう思ってよく目を凝らしてもう一度部屋全体を見回してみた。


するとやはりおかしいのである。さっきはドアのところに立っていたはずの般若のお面が、今は俺の寝ているベッドにかすかに近づいてきているではないか。


・・・・・・・待て。待て待て待て。般若のお面が『立っている』だと? そんな意味不可解な現象がこの世にあってもいいものだろうか。お面は立たない。なぜなら足がないからだ。


・・・あぁ、なるほど。


「これは夢だな・・・」


「永眠したいのかしら、聖?」


なんと、般若のお面がしゃべりかけてくるではないか。しかもよく聞きなれた、身近にいる女性の声色を使って。


「お面ってしゃべれたんだな。」


「何意味の分からないこと言ってるのよこのバカ息子。」


・・・・これは般若ではない。ましてやお面などでもなかった。俺はあまりの変貌を遂げたその女性に一言、言葉を投げかけた。


「・・・すいませんでしたお母様。」


よく見るとそれは我が母親であった。しかしながら目の両端はつりあがり、昨日の夜までの美しい笑顔はどこへやら。その顔面はMK5(マジでキレる5秒前)というやつであろうか。大変見るに堪えられない怒りと憎悪の念がこもったお顔をしていらっしゃった。

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