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~誕生×奇跡~

コメ、感想、いくらでも受け付けてるんだからねっ!


べ、別にほしいわけじゃないんだから!


え? じゃぁしない?


あぅ・・・感想・・・ください・・・//

~プロローグ~


「産まれましたよ! 元気な男の子ですっ!」


わが子をいましたが産んだ母親は、安心したように笑って目を閉じた。


「先生、始めましょう。」

「あぁ。『血の盟約』のための指輪精製だ。」


ひたすらに産声をあげている生まれたばかりの小さな体を抱きかかえ、先生と呼ばれる人と、一人の看護師が一緒に部屋から出て行った。

部屋の外に出るとそこには顔を輝かせている男性がいた。その男性は看護師にさえぎられるまで何度も何度も先生に頭を下げてお礼を言った。


「これからこの子の『指輪』を作らねばなりません。それでは後程。」


半強制的に男性をはねのける看護婦に先生は苦笑いをして、軽く男性に会釈し、先に行った看護婦の後を追いかけて行った。


「どうした?」


少し遅れて先生が精製室というところに入っていくと、中は沈黙に包まれていたから、思わず先生は聞いた。


「どうもこうも、先生。このデータを見たらその理由がわかります。」


白衣を身にまとった研究者のような人が一人、今さっき採取できた血液データを手渡してきた。


「・・・なんだ・・・っ! これは!」


通常、産まれたての魔法使いの血液は人生の中で最も大きな魔力を持っているということが、長年の研究から明らかになっている。数値に表すとざっと5~6万。そこから時間がたつにつれてだんだんと落ちていき、その人の魔力の『安定した値』へとそれぞれ落ち着く。


しかし、今研究者たちの目の前にいる赤ん坊の魔力指数は、こうしている間にも8万、9万と、とどまることなく上がり続けている。


驚くべきことはそれだけではない。普通であれば、自分の限度を越した魔力を出すことは物理的、人間科学的には不可能であり、赤ん坊の時のそれがその人の最大魔力とされる。限界突破は、『肉体の破壊』を意味し、自らが魔力に飲み込まれるとされている。


つまりこの子供、現段階で『常に限界突破』しているのにもかかわらず、自らの魔力に押しつぶされることもしていない。常識を覆しているのだ。


「10万に・・・なってしまった。何故止まらない!? 何故この子は自らの力におしつぶされないのだ!? 私たちのほうが・・・耐えられないではないか!」


「先生、魔力安定剤の投与の許可を!」


先生はいまだに止まらず上がり続ける数値を見、少し戸惑った。


『止めてはいけない』


何故そう考えたか自分でもわからない。だが、自らの本能が言っている。これは、止めてはならないと。そう考えた先生は、体が内から光り輝いている赤子に目をやってから、叫んだ。


「特別緊急措置に入る! 全員部屋から出てこの部屋にあらゆる防御呪文を施せ!」


「先生! ほかの患者もこの病院にはいます! 被害が出た後では遅すぎます!」


「私がさせない。それだけは私がさせない! 全員、外へ!」


やっとしゃべれるような状態で先生はそう叫び、あふれ出る魔力に押しつぶされまいと必死で部屋を出た。


一人、また一人と、先生に続いて皆が部屋から出た後に、先生は言った。


「全力で外側から防御を! 我々の普通の力を結集させてもこの魔力にはとどかない! 全員、死ぬ気でやれ!」


先生の合図とともに、それぞれがはめている指輪から色とりどりの光が飛び出し、銀色に輝く部屋を周りから保護する。


「・・・先生。このデータを。」


「今でなければいけないか!?」


「はい・・・。」


新たな紙切れを差し出された先生はそれを読んで驚愕した。


どうりで私たちごときが抑えられないわけだ。


「・・・創造者と同じ・・・だと?」


先生がそう言った途端、銀色の光は突如消失し、皆があっけにとられた。


「・・・指輪を!」


早く精製しなければならない。


一早く部屋に舞い戻った先生は、そこに広がる光景を見て、呆然と立ち尽くした。


「指輪を・・・自分で創っただと?」


きゃっきゃと笑う赤子の手には銀色に輝く宝石のはまった指輪があった。宝石の中は、なぜかわからないが波打っている。


測定器をふと見た先生は、誰かに見られる前にそのコンセントをきって液晶を消した。



表示数値は、・・・『測定不能』。


赤ん坊はきゃっきゃと笑い、事の重大さを全く理解していないようだ。


「せ、先生・・・」


肩で息をし、顔はあまりの形相だったに違いない。看護師の一人が心配そうに、そして気を遣いながら話しかけた。すると、先生は力なく言った。


「ここで今起こった事象はすべてなかったことにする。指輪は私たちが作った。赤ん坊は何もしていなかった。なされるがままになっていた。分かったか? いずれ時がくる。それまでは決して他言無用だ。分かったか? 分かったのか!? どうなんだ!」


先生は声を張り上げた。


「この子をご両親のもとへ。」


一人の看護師がそういわれてあせあせと動き、赤ん坊を抱きかかえて部屋を出て行った。しかし、その部屋には、いつものような指輪精製後の一仕事終えた解放感はなく、重苦しい空気があたりを満たしていた。

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