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渇望者  作者: 類月
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水面の輝き

バタン


「おはよー」


下駄箱から上履きを出し、ロッカーを閉めた時

女が話しかけてきた


返事する理由もない

そのまま生徒たちが楽しそうに話す廊下を歩き、足を止めることなく教室に向かう


ガタッ

バックを机の横にかけ、椅子に座る


いつもと変わらない...そう...いつもt....


「ねぇってばぁっ!!!」


はぁ.....


「ため息ー??」


自分の前でため息なんて許さない。とでも言うかのように睨まれる


「....なんだ」


「おっ!やっと返事した〜♪」

女は気分が良くなったのか、机の上に座って

予想外のことを言い始めた


「今日の放課後空いてる?」


はぁ....


むっ...と女は頬を膨らませながら

「またため息...!!ため息をすると幸せが逃げるって知らな「空いてない」」


何か予定があるわけではないが、行く義理も無いので断ることした


「ん...??」


「....だから、空いてない」


「ん?」


「....だから、空いて「ん?」」


「........」


放課後空いてないなんて嘘だよね?と、圧のある顔で俺の言葉に被せてきた

まぁ...いいか


「...なにするんだ?」


その返事に満足したのだろう、女はにこにこと笑いながら、手をマイクのようにして

「ショッピングに行くのですっ!」


と謎のドヤ顔をこちらに向けられ、俺が文句を言おうとする前に、授業が終わったらここのお店に行こうだとか、ここに行きたいんだよねーとか勝手にべらべらと好き放題に話したあと

チャイムが鳴ったからか、急いで自分の席に座りに行った



その後も、うんざりするほどに付き纏われることになった




授業も終わり、女の一方的な約束であるお出かけに行くことになった


雑貨屋に連れて行かれたり、女の性格からは想像できない本屋にも行った


なにが楽しいのか、女は「これ可愛いくない?」となにも返事をしない俺にずっと話していた


「最後にここ行こ!」と、引っ張られて連れられた場所は服屋だった、まだ行くのか...と呆れていると


「どうせ、服あんまり持ってないでしょ」と男物のコーナーへ連れて行かれ、目の前の女に着せ替え人形のようにされたのは言いたくもない


買い物が終わり、あの別れ道になったところで紙袋を女から押し付けられた


中を見ると少しブカッとしたジーパンに黒いトップス、黒のジャケットなど服屋で着せられたもの、そして雑貨屋で見ていたアクセサリー、これ面白いんだよねと見せてきた本...今日回った場所で買ったものが入っていた


え...?と思い顔を上げると女はふふっと笑いながら、「今日は付き合ってくれてありがとう。それは一緒にお出かけしてくれたお礼」

と言った


「いや....流石に受け取れない」

こんな、たくさん....女には俺にそこまでする必要もないはずだ


「いいの!返品は受け付けてませんっ!それじゃあまた明日〜!!」


と言い逃げのように走り去っていった


ポカンとしていた俺はしばらくの間、どうしよう...と悩む羽目になった





それから放課後に彼女と一緒にお出かけする日が増えていった


毎日のように連れ回される日々


最初はうんざりしていた...けれど、日が経つにつれ、少しずつこんな時間があるのも良いかもしれないと思うようにもなった




それから数ヶ月経った

毎日毎日、放課後に彼女と過ごすようになって

あることを考えるようになった


俺と一緒にいては、彼女が空っぽになってしまうかもしれない、と


人に影響され、その感情に染まる

なんてことはよくある事だ


母に影響され、空っぽになった俺は実際にそれを体験している


なら...俺と一緒にいてはいけないのではないか


俺のように空っぽになんてさせてはいけない

そうだ...そうだ....彼女を俺のように染められてはいけない



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