旧支配者の隆盛と顛末
地球が出来てわりとすぐに——と言っても、我々の時間では地球誕生から約十億年ほど経った頃に初めて生命と呼べるものが誕生した。
そこから更にカンブリア爆発を経て魚類、両生類、爬虫類と種の多様性が増大。その後、当時この地球を支配する新たな種族が生まれたのだ。
時はジュラ紀。
その支配者らは後に〝恐竜〟名付けられることとなる。
「すごい! カッコイイ!」
最初こそ女神は見た事のない生物を目の当たりにし、とても喜んでいました。
ところが、いざ一匹の恐竜の頭を撫でようと人差し指を差し出したその瞬間、女神は恐竜に巨大な指を咬まれてしまいました。
もちろん、女神にダメージはありません。ノーダメです。
恐竜自体も霞を喰らったようものであり何も起こりません。
けど、それは誤りです。
実際は起こっていました。
女神がです。怒ったのです。
「はっ? なにこいつ。むかつく」
恐竜に知性などあるはずもなく。
ただ、目の前にあった巨大な何かに本能で咬みついただけに過ぎません。ましてや、そこに悪気や悪意など微塵もありませんでした。
ですが、そんなことは女神には関係ありません。何故なら女神ですから。
たった一匹の恐竜のせいで女神様はヘソを曲げてしまい、地球に向けて手近にあった小惑星を落としました。
ナメた態度をとった恐竜へのお仕置きタイムが始まりました。その結果、壮絶な女神の怒りによって地球は氷河期に突入したのです。
女神の寵愛に牙を立てた、たった一匹の恐竜のせいで連帯責任と言わんばかりの大絶滅が起こりました。
こうして恐竜の覇権は短い間に幕を閉じたのでした。
そんな女神の指に咬みつき、逆鱗に触れた勇敢な彼の標本は今でも現存しており、アメリカにあるフィールド自然史博物館で標本を見ることが出来ます。




