第7話 利害故の救済
この作品は全三章で構成するつもりです。話の更新される日が不安定なことがあります。一応週一以上の頻度で更新するつもりですが、できなかった場合はどうかご容赦ください。
福山幸多「さてと、少し話そうか。」
坂縞樹「何でわざわざ話そうとする。俺らを殺すために来たんじゃないのか。」
福山幸多「まぁ、消すつもりではあったよ。ただ、それは全員じゃない。」
桐生亜衣「は?」
橋本優「君ら、多分【クラッシャー】だろ。」
福山幸多「武召喚数値の初期設定数はいくつだった?」
桐生亜衣「4だけど…」
福山幸多「フッ、、君らに唯一この絶望的な状況を逃れられる方法を教えよう。我々に就け」
坂縞樹「俺がお前らの部下になれと?」
橋本優「クラッシャーだから仲間に率いれたいんだよ。」
坂縞樹「この幸奪戦争を有利に進める手段は人を集め、そいつらと共に協力し合い、そのメンバーで勝ち残ることだと思っている。」
福山幸多「なら、、」
坂縞樹「ただ大前提、協力する相手は選ぶべきだろ。おまえらにはつかない。」
福山幸多「ふーーむ。君はこのゲームの戦い方を始まって一日も経っていないのに理解している。これは凡人にはできないことだ。だから、君の力を無駄に消したくないのだが。」
桐生亜衣「いい加減にして!!そもそもクラッシャーって何なのよ!」
橋本優「エスケープやクラッシャーなどの総称のことを種性核というんだよ。俺らのチームの中で唯一いない種性核者がクラッシャーなんだよ。」
福山幸多「私と彼はその種性核の中で今現在、もっとも強いものに属している。」
桐生亜衣「へー、じゃあそれを証明できるの??」
橋本優「あぁ、そうだなー。お前ら地下鉄のホームにくる前、住宅街に行かなかった?」
桐生亜衣「いったよ。ひどい有り様だった………」
橋本優「ああなるよう仕向けたの【俺ら】」
桐生亜衣「っっ!!!」
坂縞樹「やめろ桐生!!!」
桐生亜衣「もういいでしょ。どうせこんなやつらに下る気なんかないんだし。」
福山幸多「酷い言い草だね。私と君たちでは特に大きな差なんかないのに。」
桐生亜衣「あんたたちみたいな平気で人殺しするやつと私たちが同じなわけないでしよ!!!」
福山幸多「じゃあお前、なんで地獄にいるんだよ。」
さっきまでの穏やかな口調や冷静さを含んだ声ではなかった。蔑んでいるような、腹を立てているような、そんな声で自分の愚かさを思い出さされた。
中嶋芽依「ほーんと、あそこにいる連中はムカつきますよ。」
神楽士郎「珍しく怒っているな。」
中嶋芽依「そりゃそうでしょ。 だって彼らがあの場所にいるのって因果応報、自業自得でしょ。もうそこにいる時点で善人にはなれないし、やり直せもしない。周りに疎まれながら、憎まれながら消えて失くなる。そうなるべきのことをやつらはしている。」
神楽士郎「そう。今さら善人にはなれないし、やり直せもしない。だがそれは彼らも分かっているんだよ。なのに、それでもそれを目指しているんだ。」
中嶋芽依「不愉快ですね。」
神楽士郎「まったくだ。そんなもの突き詰めればただの稚拙で醜い悪あがきだよ。」
榎宮愷「はぁ、はぁ、はぁ」
この老人と戦ってから10分経った。
原田九老「ファーストだけで、勝てるわけないだろ。武召喚数値の差は力の差。それにそろそろタイムオーバーだ。
自分の持っていた剣が無へと消える。時間制限もついているのか。残りは2。やつと10分戦ってわかった。勝ち目はもうない。隙を一切見せてくれないのだ。不意打ちなんてもっての他。桐生と坂縞くんと一緒に逃げないと…
そう考え、一瞬だけ二人のところへ視線をやる。
それが甘かった。視線を戻した頃には原田の姿は見えず、気づいたら鉄パイプで腹を殴られ、桐生たちがいる場所へと吹っ飛ばされた。
榎宮愷「かはっ、、」
殴られた衝撃で胃液が吐される。
坂縞樹「!!榎宮!!」
桐生亜衣「大丈夫!?」
榎宮愷「あ、、がぁ、」
原田九老「よそ見とは、礼儀も戦いも知らんのか。小僧。」
鉄パイプを引きずりながら近寄る。
福山幸多「原田さん、彼はどうでした?」
原田九老「いや、こいつは論外だ。そもそもクラッシャーじゃなくベーシックだしな。」
福山幸多「そうですか。では、とりあえずあのメガネの青年以外の二人は始末しましょう。」
橋本優「りょーーかい」
坂縞樹「まて!!お前らの配下につく。だから二人は見逃してくれ!」
福山幸多「私たちがほしいのは君だけだ。彼らをいかしておくメリットは一つもない。それにこんな未熟者、見逃したところですぐ消える。」
坂縞樹「くっ、、」
「はーーい、お取り込み中のところ失礼。」
駅のホームへと続く階段を下りながら誰かがやってくる。
橋本優「あ?誰だよお前…」
橋本優が誰かもわからない男に近付き、、
???「ファースト」
橋本優「!!!!」
突如現れた男が橋本優の喉をかっ切った。
橋本優 失格
福山幸多「ほぉーーー会うならもう少し先だと思っていたのだが。」
我殺狂助「俺の名前は我殺狂助という。」
原田九老「それで、我殺というものよ。何しにここへ来た。」
我殺狂助「ちょっと、、、そこの三人を引き取りに来たんだよ。」
福山幸多「引き取れると思っているのか。私たちの武召喚数値をなめないでいただきたい。」
我殺狂助「勝つ気なんかねえよ。負ける気もない。ちょっと俺の話をきいてくれよ。」
そういい、我殺という男が福山のところへ近付き何かを耳元で囁いている。
桐生亜衣「樹くん。君の作戦?それとも榎宮くんの知り合いとか?」
坂縞樹「いや、全くしらない。見たことない顔だ。」
榎宮愷「俺も知らない…」
それに何より気になるのところが、、、
福山幸多「なるほど、、それでか。てことはじきに、」
我殺狂助「あぁ、ここもやばくなる。」
福山幸多「ふぅーーー仕方ない…原田さんここは退きましょう。」
原田九老「承知した。お前の判断を信じるぞ。」
そういい、なぜか去っていった。何だ?見逃してくれた?一体何を話した?
我殺狂助「さてと、お三方。聞きたいこと、言いたいことは山ほどあるだろうが場所を変えようか。」
坂縞樹「なんだお前は?一体?」
我殺狂助「心配するな。悪いようにはしない。約束する。ただその代わり、、」
坂縞樹「!?」
桐生亜衣「樹くん!」
我殺狂助「少し眠ってもらう。」
坂縞樹に続き、桐生亜衣も気絶させられる。
我殺狂助「あとはお前か。榎宮愷。安心しろ、お前を誰かに殺させはしないよ。」
そういわれ自分も気絶させられる。やっぱりここは分からないことが多すぎる。何だ、何なんだよ一体。さっきのやつらや坂縞、桐生でさえ同じだった。なのに、なぜこいつは違う。本来なら参加者は皆、青と黒が入り混じった制服を着ているはずなのだ。我殺狂助。
なぜ彼はその制服を着ていない…
ゲーム開始から1日
残り参加者 579人
最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。初の投稿作品ですので、まだ粗削りで不出来なところもあるでしょうが温かい目でこれからこの作品を見守って頂ければ幸いです。作品を読む際に【ハッピーエンドとはどういうものなのか】このことを念頭に置きながら読んで頂ければ、より一層深くまでこの作品を楽しめると思います。これからもこの作品を皆さまに楽しんでいただけるよう、精進して参ります。




