第52話 悪に玄能
この作品は全三章で構成するつもりです。話の更新される日が不安定なことがあります。一応週一以上の頻度で更新するつもりですが、できなかった場合はどうかご容赦ください。
また、主人公を決めつけてこの作品を読み進めると、その主人公と決めつけたキャラに対して落胆の感情を抱く可能性があるので、この作品に主人公はいないと思いながら読むことをおすすめします。
佐藤要(何が起こった…?)
唐突すぎた事実に脳が理解という信号を出さない。現界からの親しみを持つ友が目の前で消え、その理由がバウンドという四文字の単語のみ。何が起こったか、その疑問を抱かずにはいられない。
桂唯賀「どいつもこいつも武召喚をまるでわかっていないですね。」
福山幸多と話すときとは違う。下手に出るような態度、相手を敬うような、どこか初々しさが感じられるような声ではもうなかった。
丁寧語で本音を粗隠ししているだけである。
佐藤要「お前、、何者だ?」
桂唯賀「ただのクリエーションですよ。クラッシャー。」
ゆっくりと足を前に出し、こちらへ近づいてくる。その度にやつの恐怖と怒りが比例する形で増加する。
佐藤要(こいつを相手に武召喚をするのは得策じゃない。今はとりあえず、、何もしない。)
桂唯賀「フッ、まぁ悪くはない判断だと思いますよ。さっきの人は武召喚をしたことでやられましたからね。それで、、その状態でどう勝つおつもりですか?痴鈍者。」
佐藤要「フッ!!」
桂唯賀「!?」
佐藤要がとった行動。それは、近くにあった木をまるごと引っこ抜き、それを桂唯賀に向けて投げつけるというもの。高速なストレートが決まり、大木が正面から宙を浮き、突進する。桂唯賀はその大木をしゃがみこむことで、衝突を免れる。
佐藤要(なぜわざわざしゃがんで避けた?多分累がやられたのは、バウンドによる力の反発によって累の攻撃がそのまま跳ね返ったことによるものなはず。力が反発を抑えるために武召喚はしなかったが、反発する対象は絞られているのか?)
桂唯賀(勘づかれましたか。ただの脳筋というわけではなさそうですね。あの馬鹿げた筋力はどう対処しましょうか。)
佐藤要「なぁ、あんたは何で人を消す?それがこのゲームの勝利に繋がるわけでもないのに。」
桂唯賀「勝利はできなくても残れはするじゃないですか。それで満足しているんですよ。」
佐藤要「保身のために誰かを蹴落とす、か。くだらない。」
桂唯賀「……は?」
何かが歪む。変化する。
桂唯賀「今、、何と?」
佐藤要「…くっ、」
変化した何かに押され、言葉に詰まる。
桂唯賀「もう一回だけ訊きますね。何と?」
佐藤要「…っ、くだらないと言ったんだ。保身のために誰かを蹴落とす行為が!」
桂唯賀「フフッそうですか。」
不敵な笑みを浮かべたのちに、全身を殺意へと染め上げる。
桂唯賀「どいつもこいつも、、自分のことを棚に上げている…」
佐藤要(まずい!明らかに地雷を踏んだ…)
佐藤要「!?」
自身の発言に対して後悔に近い危機感を感じているうちに、桂唯賀が目の前へと急接近してくる。
桂唯賀「ツインサモン!!」
桂唯賀は自身の右手に武召喚を行う。二つ分の数値によって上積みされた拳となり、それが佐藤要の腹部に激突する。
佐藤要「がぁっ!!」
その衝撃で何十メートルか吹き飛ばされる。
佐藤要「ぐっ、、」
からだの節々の痛みを抱えつつ、立ち上がる。しかし、立ち上がった瞬間に桂唯賀という男は次の手を打っていた。
佐藤要(くそっ!いない!!!あいつ、、どこにいった?)
桂唯賀「後ろですよ。」
佐藤要「なっ!?」
バゴーン!!とまた一発。腹部と拳が衝突ふる。当然吹き飛び、今度は血が吐されることとなった。そしてその痛みに悶えているところをまたも隙として突かれ、もう一発。またまた吹き飛び、その吹き飛んだ全身は衝撃波や風力を利用し、木へと激突する。たった3発の殴りで彼の体はもうボロボロだった。
桂唯賀「いくつかあなたに問いましょう。私らは何ですか?」
佐藤要「…ざい、にん。」
桂唯賀「正解です。では、この幸奪戦争に参加した理由のほとんどを占めているのは?」
佐藤要「地獄での、生活が、嫌だから?」
桂唯賀「正解です。では、最後。私たちは罪人です。その事実は変わらない。なのになぜ、あなたは他の参加者を消すという行為に否定的何ですか?」
最後の質問だけ声が低くなっていた。闇と病みを含めたこの世界に対する諦めの感情。それが佐藤要には感じ取れた。
佐藤要「自分はもう、ダメな人間だって、自堕落に落ちていく考えが、理解できないからだ。」
言葉を出すことさえ、苦痛となっている状態でも尚、質問に対する自分なりの答えを提供する。
桂唯賀(ふーむ、おかしいですねぇ。普通なら一発で消えているはずなのに、まだしゃべる余裕が残っている。それに、この人は素質がある。本当は大したことないはずなのに、どこか不思議だ。)
桂唯賀「あなた、、何をして地獄に来ました?」
佐藤要「…は?」
桂唯賀「ほんの少しあなたに興味が湧きました。その興味が薄れる、または私の中での制限時間が無くなるまでは生かしておいてあげます。それにあなた、、多分【悪人】ではないはすだ。」
佐藤要「……」
桂唯賀「あなた、、罪を犯したというより、誰かの罪を手伝った、という形に近いでしょう。」
佐藤要「…なぜそこまで分かる?」
桂唯賀「まぁ、人の行動を見てたらなんとなく。」
佐藤要「…そうだよ。俺は、直接誰かを、殺めたり、傷つけたりしているわけじゃ、ない。俺は、るい、をあいつの罪を隠蔽したんだ。」
桂唯賀「彼はどんなことをしたんですか?」
佐藤要「人を、、誤って殺していた。当時は高3の大事な時期だったから、、バレるわけにはいかなかった。」
桂唯賀「殺人の証拠を隠蔽し、彼のアリバイをあなたか作り上げたと?」
佐藤要「あぁ、その六年後に冥界へ来て、地獄行きを下された。あいつが殺した遺族が復讐に来て、俺らを殺したのち、その人も自殺した。」
桂唯賀「その後悔から人を殺すという行為に嫌悪感を抱いているんですね。」
佐藤要「あぁ、そうだよ。俺はあいつと、また、やり直して、新しい人生を…」
桂唯賀「無理ですよ。」
遮った言葉が佐藤要を唖然とさせる。
桂唯賀「あなた、、この幸奪戦争がどういうものか理解しています?」
佐藤要「な、何がいいたい?」
桂唯賀「何でこんなよくわからないゲームが行われているのか、武召喚や種性核って何なのか、なぜ当たり前に出てくるはずの問いを立てないんですか?」
佐藤要「いや、そんなの、俺たちにとっては関係が薄い…」
桂唯賀「いいですか?あなたの抱えている夢を叶えるのはもう不可能です。少なくともさっきの友人とやり直すというのは、、ね。」
佐藤要「…は?おい、どういうことだ。お前は、何を知っている?」
桂唯賀「んーどうしましょうか。特に教えるメリットも理由もないんですが、そうですねー。ヒントだけ教えましょうか。鬼に金棒という言葉はご存知ですか?我々は人を襲うわるーいわるーい鬼です。ねぇ、佐藤さん。【何で人は悪い鬼に種性核という金棒を持たせているのだと思いますか?】」
ゲームの 開始から四日と八時間
残り参加者25人
最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。初の投稿作品ですので、まだ粗削りで不出来なところもあるでしょうが温かい目でこれからこの作品を見守って頂ければ幸いです。作品を読む際に【ハッピーエンドとはどういうものなのか】このことを念頭に置きながら読んで頂ければ、より一層深くまでこの作品を楽しめると思います。これからもこの作品を皆さまに楽しんでいただけるよう、精進して参ります。




