第42話 特効
この作品は全三章で構成するつもりです。話の更新される日が不安定なことがあります。一応週一以上の頻度で更新するつもりですが、できなかった場合はどうかご容赦ください。
また、主人公を決めつけてこの作品を読み進めると、その主人公と決めつけたキャラに対して落胆の感情を抱く可能性があるので、この作品に主人公はいないと思いながら読むことをおすすめします。
中嶋芽依「ねぇ、神楽さん。」
神楽士郎「今度はなんだ?質問に答えるのもそろそろ飽きたぞー。」
中嶋芽依「いや、質問というよりは疑問なんですけど、榎宮愷、大丈夫なんですか?」
神楽士郎「…というと?」
中嶋芽依「彼の判書を読んだんですけど、これに書かれている内容が本当なら、彼、すごく複雑でめんどくさい状態にいますよね。」
神楽士郎「あぁ、あの人の今の状況は非常にまずい。」
中嶋芽依「彼、ロスト召喚をする前から、【記憶が抜け落ちているんですよね】。」
榎宮愷(絶対に止める!!)
四条債賀(甘いな)
完璧だったはずのロストイーブンらによる奇襲。四条債賀の隙、油断が生じる絶好のタイミングだった。だが、
神威廬利那「!?」
上空から重力をつたって、四条債賀のもとに斬りかかろうと地面に着地するまでのほんの一秒。その一秒が経過するまえに、彼は持ち前の速さと武器で、奇襲者を一刀する。二人のロストイーブンは四条債賀の遥か後ろの方へと飛ばされた。
神威廬利那(嘘でしょ。この奇襲を防がれたのもおかしいけど、何より攻撃の威力。私と榎宮は事前にロストイーブンの種性と武召喚数値を二つ分使って、あらかじめ身体能力を跳ねあげた。そんな状態の私らですら、さっきの一撃は尋常じゃないほどに重い。こんなのに勝てるわけがない。)
四条債賀「お前らは他と変わらんな。」
榎宮愷「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
一瞬で飛ばされても諦めず、立ち上がり食らいつく。
四条債賀「そんなに消えたいのか。」
四条債賀のもとへ襲いかかり、ひたすらに剣を振り回す。それは一度たりたも当たることなく、ただ延々と避けられてしまう。
榎宮愷「うっ!くっ!うぁぁぁぁぁ!!」
しかし、延々と避けられているのは四条債賀のとっても同じことだった。榎宮愷の攻撃は一切当たっていないが、それは逆も然っている状態なのである。榎宮愷は当てることはないが、同時に当てられることもない。攻撃をかわすことはできている。かわすながら機を伺い、狙える場所を探りながら剣を使用しているのだ。
四条債賀(戦闘センスは悪くないんだな。前に会った我殺ってやつと少し似てるな。)
榎宮愷の剣を使った猛攻を抑えるべく、一度距離を取る。
四条債賀(ちっ、また数値が減った。ここまで長居するつもりじゃなかったんだけどな。)
榎宮愷「うぉぉぉぉぉ!!!」
取られた距離を戻そうと雄叫びを上げ、真正面から走り向かう。
四条債賀「終わりだ」
彼がそう告げた途端、雄叫びは聞こえなくなった。榎宮愷に一太刀浴びせ、彼は戦闘不能状態に陥り、地面へと身体を伏した。
桐生亜衣「愷くん!!!!」
坂縞樹「くっ…」
木崎印「わかってると思うがいくなよ。やつの種性の反動が来るまでの時間稼ぎはロストイーブンと花城如音にしかできない。今、俺たちが応援に加わっても養分にされるだけだ。」
榎宮愷と神威廬利那が奇襲攻撃を仕掛ける少し前のこと
神威廬利那「あいつの種性核はロストイーブンなんだよね。」
磯貝公人「あぁ、エスケープの種性でわかるから間違いない。」
神威廬利那「そう、それで失う体の機能は視覚であると。榎宮と私が花城如音の援護に回ったり方がいいかもしれない。」
佐々木浩二「ロストイーブンだから…ですか?」
神威廬利那「ええ、私と榎宮は武召喚をしなくても、身体的な機能、武器の強化を行える。だから、あいつの攻撃にも耐えられるかもしれない。」
榎宮愷「あれの視力が戦いに支障をきたすレベルに低下するまで、時間を稼げばいいんだよな。わかった。」
坂縞樹「俺たち二人は待機でいいんだよな。」
酒々井夢寐菜「あいつを倒すなら多分クラインドを使った方が効果的だよ。君たち、数値はどれくらい?」
桐生亜衣「残り10」
坂縞樹「俺はあと4つだな。」
酒々井夢寐菜「なら、俺を倒しな。俺の数値25はあるから一発だけクラインドを使える。」
坂縞樹「…いいのか?それで」
酒々井夢寐菜「というより、もう俺長くないからさ。どのみち消えるのよ。だったら、自分の仇を討ってもらおうと思って。」
坂縞樹「そうか、、すまない、わかった。」
酒々井夢寐菜「どうせなら、勝ってくれよ。勝ってあいつを煽り散らかせ。」
そうして、坂縞樹は瀕死となった酒々井夢寐菜を手にかけ消滅させた。
酒々井夢寐菜(才原清一……あいつともう一回戦ってみたかったなー。)
酒々井夢寐菜 失格
四条債賀「次はお前だ。女。」
神威廬利那「くっ、、」
苦悶の表情を浮かべる女性に一歩一歩殺意を近づける。少しずつ後ずさっていく女を、武器を引きずらせながら後ずさりのスピードを遥かに上回った速度で接近してくる。
花城如音「おい、待てよ。」
四条債賀の背後に一人の男が再び立ち上がる。
四条債賀「あれで死ぬとは思っていなかったが、まさか立ち上がるとは。」
花城如音「これ以上はやらせねぇ。俺のメンツが潰れる。」
四条債賀「…厄介だなお前は。」
花城如音「そりゃ、どう、も!!」
また次元を越えた戦いが始まる。
互いの本気をぶつけ、相手を倒すことに全神経を注ぐ。
花城如音(こいつに関しては、手加減する余裕はねえな。)
花城如音「セカンド!!」
残り少ない数値を使うことの重大さを理解しつつも背に腹は変えられないと判断し、両手に剣を投影する。その剣であわよくば四条債賀の隙を作れないかという思惑が脳を支配する。そんな状態のなかに四条債賀は動き出す。両手に武器を持った状態である花城如音に急接近し、互いの武器がぶつかり合う。
花城如音(さっきより、スピード上がっているな。ロストイーブンの種性を使ったか。)
四条債賀(大分、視力が落ちてきたがしょうがねえ。こいつを消すにはこれしかない。)
急激に四条債賀の攻撃、移動速度が上昇する。その上昇幅に花城如音もついていくことができなくなってきている。四条債賀の光速の剣の動かし。剣の振るいを受け止められたら、すぐに別の動きに切り替える。この切り替えと行動のスピードが尋常じゃないほどに速く、何撃かその剣戟を受けてしまった。
花城如音「ぐっ、、ツインソモン!!」
自身の身体にも武召喚を行い、身体強化を施す。そのおかげでギリギリ四条債賀の速度にはついていけるようになった。だが、
花城如音(残りの数値は2。参ったな、このツインソモンか切れたらいよいよ勝てねえぞ。)
四条債賀(残り140。やはり、こいつ相手になると減りが早いな。)
四条債賀・花城如音(これ以上粘ればどちらも負ける。さっさと倒すしかない!!)
花村祈「はぁ、はぁ、榎宮さーん、桐生さーん、坂縞さーん、神威さーん、ったくもぉどこいったんだよ。」
自分以外のメンバーは全員合流できていることも知らずに懸命に走り、絶対にいないと断言できる場所で四人の名前を呼ぶ男の姿がそこにはあった。
花村祈「はーあ、ここまで見つからないとは。かれこれ、三十分くらい探しているよな。一旦戻るかー。」
そうして、ホテルのロビーへと戻り、磯貝公人や木崎印らが待つ場所へ戻ろうと足を向き直したときだった。
菅田神東「ようやくたどり着いたぞリアータホテルに。」
原田九老「貴様、奴隷の収集にどれだけ時間つぎ込んだと思っているんだ。」
菅田神東「まぁ、よいではないか。結果的に私の奴隷は全員無事のようだし。」
花村祈「…え」
リアータホテルには二つの出入り口がある。一つはこのホテルの正門的な役割を担っている四条債賀や菅田の奴隷であったBレートのものたちが入ってきたホテルのロビーへと繋がる場所。そしてもうひとつ、従業員だけが入れるバックヤード的な位置にある裏の扉。菅田神東、原田九老らはその裏門を使い、リアータホテルの中に侵入する。そして、その裏門の近くには偶然花村祈が居合わせていた。
菅田神東「ん?おぉ、エスケープの参加者か。君に一つききたい。私の奴隷は知らないかね?」
ゲーム開始から三日と二十二時間
残り参加者104人
最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。初の投稿作品ですので、まだ粗削りで不出来なところもあるでしょうが温かい目でこれからこの作品を見守って頂ければ幸いです。作品を読む際に【ハッピーエンドとはどういうものなのか】このことを念頭に置きながら読んで頂ければ、より一層深くまでこの作品を楽しめると思います。これからもこの作品を皆さまに楽しんでいただけるよう、精進して参ります。




