第37話 ちょっとした救い
この作品は全三章で構成するつもりです。話の更新される日が不安定なことがあります。一応週一以上の頻度で更新するつもりですが、できなかった場合はどうかご容赦ください。
葛城康介「強いていうならそうだなー。世界平和とかかな。」
福山幸多(ふーむ。こいつ、さっき倒した六人とは明らかに何かが違う。)
福山幸多「悪いが君に構う暇はない。」
葛城康介「さっきのチンピラ集団には構ってたのにか?嫌われたもんだ、な!!」
武召喚もせず、真っ向勝負で挑もうとものすごい勢いとスピードで直進してくる。だが、
桂唯賀「ワープ」
葛城康介「!?」
桂唯賀がそう唱えた瞬間、葛城康介はどこかへ消えてしまった。消滅したわけでも失格になったわけでもない。言うなれば、瞬間移動させられたのだ。
福山幸多「さすが。クリエーションは汎用性が高くていいな。」
桂唯賀「いいんですか?ずっと僕隠れていただけですけど。それにもうすぐ僕も原田さんのもとに行かなきゃですよね。いろいろと大丈夫なんでしょうか?」
福山幸多「あぁ。ここからはもう各々の戦いだ。四条債賀が多くの参加者を倒し、ゲーム開始の時間が何日か経てば必然的に君と私は敵になる。もう集団で戦うときは終わろうとしているんだ。それに、これから君にも私にも歩いていけば、他の参加者という邪魔が入るだろう。もう自分のことだけを考えておいたほうがいい。」
桂唯賀「そう…ですか。」
福山幸多「四条債賀も、もうじき動き出す。彼の攻撃対象は君たちも例外じゃないかもしれない。我殺狂助を倒したらそのあとは好きに動きたまえ。」
桂唯賀「は、はい!!わかりました!!」
福山幸多「では、お互いに武運を。」
そうしてしばらく時が過ぎ、この幸奪戦争の状況が大きく変化し始めたのは7時間後のことだった。
桐生亜衣「……」
磯貝公人「桐生…亜衣だっけ?どうかしたのか?」
桐生亜衣「あぁいや。二人はどうしてるんだろうと思って。」
磯貝公人「榎宮愷と坂縞樹のことか。」
桐生亜衣「うん。何気に一番最初に協力関係を結びあったから、思い入れもあって。」
磯貝公人「まだ失格になってないんだ。大丈夫だろ。」
桐生亜衣「うん。そう信じてる。でも、でもさ、、」
磯貝公人「…!」
桐生亜衣「何でかな?おかしいよね。会って三日しか経っていない人たちなのに、これはデスゲームなのに、死ぬこともあるって分かってるのに、何で割りきれないんだろう…。」
いつものハイテンションを取り繕くろうと足掻いているがそれでもバレバレなのである。表情も声も悲痛や哀愁を隠しきれていない。
磯貝公人(前田さん。俺は会って1日も経っていなかったあなたがやられて、本気で泣いたよ。)
磯貝公人「割りきれなくていいだろ。俺も割りきれてねぇ。平気なふりをしているだけだ。」
桐生亜衣「磯貝くんにも、私と同じように大切な人がいたの?」
磯貝公人「あぁいた。その人は生意気な年下の15歳の少女だった。でもなぜか、エスケープである俺と唯一対等に話してくれた。福山グループで奴隷のような扱いを受けていた俺のちょっとした救いだった。まぁ、すぐにいなくなったんだけどな。お前は?何かあの二人に恩があるのか?」
桐生亜衣「いいや、全然。特に助けてもらった記憶はないよ。うーん、何ていうんだろうね。一緒に極楽行って遊びたいと思える人たちだったんだ。なにもしてもらったないけど、一緒にいてすごく居心地がよかった。現界のときとは違って、それこそこのゲームにおけるちょっとした救いみたいなものだったんだろうね。」
磯貝公人「フッ、なら三人で助かれ。誰一人欠けず極楽に行く。それが理想だろ。」
桐生亜衣「いや!もうこの際みんなで行こ!そしてパーティー開くの!!」
磯貝公人「ガキかお前。パーティーの会費、全部お前が負担しとけ。」
桐生亜衣「ん!何か言った!!!」
洗井ヰ凶他「イチャイチャしてるところ申し訳ないんですが、少しいいですか。」
桐生亜衣「ん?洗井ヰさんだよね。何か?」
洗井ヰ凶他「あのー、さっきホテルに二人組の男が裏口から入ってきて、捕まえたんですけど、すごいボロボロで。」
桐生亜衣「え?それって。」
洗井ヰ凶他「今、ホテルの302号室に」
バンッッ!!そう、地響きのような音が鳴り響くのではないかと疑うほどの勢いで走り向かう。
洗井ヰ凶他「ここ一階ですよね。さっき飛んで三階まで行ったような…。」
磯貝公人「……」
桐生亜衣「はぁ、はぁ、」
会える、また、あの二人と
桐生亜衣「二人とも!!」
扉を破るほどの威力で開放する。その開放した扉の先には桐生亜衣が期待していた光景が広がっていた。
榎宮愷「亜衣…。」
坂縞樹「桐生、すまん。ヘマをこいた。」
桐生亜衣「うわぁぁぁぁぁん」
泣きながら二人のもとに抱きつき始める。
榎宮愷「おっ!」
桐生亜衣「うぇぇぇぇぇん。よかったよぉぉ。帰ってきてくれてぇぇ。」
榎宮愷「ほんと、迷惑かけてばっかだよねごめん。」
俺はここまでに何も成せていない。自分の過去について知る。そのために極楽にいく。目的はしっかりしているのに、そのための行動が何一つできていない。
桐生亜衣「ほんとに。何さらわれてんの。こちとら、どこの馬の骨かわからないやつ四人と一緒に行動してたんだよ!」
馬の骨1「ねぇ花城さん、馬の骨って俺のことですかねー。」
馬の骨2「佐々木よ。たぶんそうなんだろうな。おかしいな。自己紹介もしたし、会って1日は経つんだが。」
馬の骨3「意味わかんないですよ。我々エスケープの扱いもう少し考えてほしいんですけど。」
磯貝公人「どうやら、再開できたみたいだな。」
馬の骨1・2・3「あ!馬の骨4」
馬の骨4「?」
花城如音「とりあえず、榎宮、坂縞。何があったのか教えてくれ。そのあとに俺たちからも伝えておくことがあるからな。」
坂縞樹「そうだな。まずそれが先だな。」
霧島昭男「もう大分残りの参加者減ってきたな。」
天野私利過「ねー。普通に三日で700人以上も死ぬっておかしいよ。」
伏見彼方「死ぬっていう表現正しいのか?ここ冥界だぞ。」
多雨流星「細かいことはいいじゃないですか。それより生き残る方法ですよ。」
九条音璃「方法?そんなのいらねえよ。だってうちのグループ10人いんだぜ。」
有馬星羅「そうだよ。協力すれば怖いものなしだって。」
東雲麗羅「えーそうかな?」
風早遠矢「そんなことを気にしているから貴様はダメなのだ。もっと余裕を持て。」
海藤四葉「そうだよ。私らはここまで誰一人かけることなく残ってきた。あともう少しそらを維持するだけ。」
星野栗末「そう。たったそれだけでいいの。このゲームもどうせいずれ終わるし。」
東雲麗羅「そっか…そうだよね!!全く私ったら考えすぎちゃったわ。」
海藤四葉「そうそう。結局、物事はいつも単純なものしかないんだって。」
星野栗末「あともう少し。みんなで頑張ろ。」
東雲麗羅「うん!!そうだね!よし。頑張ろう!!」
そのとき、1秒ほどの間、風が吹いていた。
霧島昭男 失格
天野私利過 失格
伏見彼方 失格
多雨流星 失格
九条音璃 失格
東雲麗羅 失格
風早遠矢 失格
海藤四葉 失格
星野栗末 失格
有馬星羅 失格
誰も気づかなかった。誰も予想してなかった。誰しもが誰も来ないだろうと予想していた。そういう気配も音もなかったからだ。
四条債賀「ふぅー、これで90人。」
ゲーム開始から三日と十五時間
残り参加者211人
最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。初の投稿作品ですので、まだ粗削りで不出来なところもあるでしょうが温かい目でこれからこの作品を見守って頂ければ幸いです。作品を読む際に【ハッピーエンドとはどういうものなのか】このことを念頭に置きながら読んで頂ければ、より一層深くまでこの作品を楽しめると思います。これからもこの作品を皆さまに楽しんでいただけるよう、精進して参ります。




