第35話 知らないという理不尽
この作品は全三章で構成するつもりです。話の更新される日が不安定なことがあります。一応週一以上の頻度で更新するつもりですが、できなかった場合はどうかご容赦ください。
我殺狂助「よかったのかお前ら。あいつ倒したら数値15はもらえただろうに。」
飯島聡「すみません。なんかあれのおかげでこの先生き長らえてしまうって考えるとちょっと、、」
嵯峨野健児「僕も…」
我殺狂助「まぁ、好きにしたらいい。こいつは福山グループにとっても邪魔でしかなかったみたいだしな。」
嵯峨野健児「ん?なぜです??」
我殺狂助「数値があまりにも少ない。たぶん、磯貝が言っていた原田九老や桂唯賀に数値を与えたのだろう。」
嵯峨野健児「確かに。大量の参加者を殺し回っていたやつにしては数値が少ない。」
我殺狂助「福山グループにいる強者を数値によってさらに強化する。虎に翼ってやつだな。」
飯島聡「でもそれ逆にいえば、」
我殺狂助「あぁ、使えないと判断されたものの数値は極端に低い。ちっ、巧い考えだ。」
菅田神東「おや、その姿は。原田ではないか。お前は我殺狂助を倒す任務にあったのではなかったか?」
原田九老「何の用だ、腰抜け教祖もどき。」
菅田神東「酷い言い草だね。私が何かしたのかい?」
原田九老「ご立派な大言壮語を並べていたのに、自分では誰も倒すことができずにのうのうと一人で戻ってきたやつがよくそんなことをほざけたな。」
菅田神東「まぁ確かに、リアータホテル襲撃の際に私に失態があったのは認めよう。だが私の種性上、逃げたのは仕方がないのだよ。例えそれが大切な部下を自爆させたことしても。それに、我殺狂助を逃がしたのはお前も同じだろ。」
原田九老「我殺を見逃したのは倒すのに面倒で、時間をかけてまで倒す必要がないからだ。それより質問に答えろ。何用だ。」
菅田神東「福山幸多、彼が四条債賀という男を使って何をしようとしてるのか、それが知りたい。」
原田九老「お前に教えるメリットがどこにある?それに私はあの作戦、かなり危険だと考えている。」
菅田神東「私の種性核は知っているだろう。もう私の種性はほとんど機能していない。」
原田九老「半分まで減ったとはきいた。だがそれでも使えるから福山はお前を生かしている。」
菅田神東「私は福山に信用と期待を持たれていない。」
原田九老「当然だな。」
菅田神東「だからまずはお前に信用と期待を獲得したい。」
原田九老「……ほぉ。」
菅田神東「リアータホテルに一緒に来てほしい。」
木崎印「こっちだ。」
彼に案内されるまま、爆撃でボロボロになっているはずのホテルの中に誘導される。
花村祈「ねぇ、みなさん。思ったこと言っていいですか?」
磯貝公人「ダメといってもどうせ言うだろ。」
騒ぎ立てるのが仕事ですといわんばかりの声量と顔芸の持ち主である花村祈。そんな彼がホテルの光景を目の当たりにして一言。
花村祈「何で爆撃受けたホテルがほとんどもとどおりになってんだよ!!!」
菅田神東によって多くの爆撃を浴びせられたリアータホテル。一部分だけに集中した攻撃だったとはいえ、ホテルどころか建物としての役目すら失ってしまうほどの被害を受けている。そんなところを拠点としているやつらがいる。普通やらないし、できない。だがしているし、できている。理由は簡単。直したから。
花城如音「佐々木と似たような種性核者がいたからじゃないのか?」
佐々木浩二「え?俺と??」
木崎印「お前、クリエーションか?」
佐々木浩二「え、うん。そうみたい。てことは君も?」
木崎印「いや、俺じゃない。」
下山沙智「俺だよ。」
【外観は】ほとんど元通りになったリアータホテルの中に案内され、ロビーへのソファーに座らされる。そして二階から見覚えがある男が階段を降り始める。
花村祈「あ!花城さんに秒殺されたナイフペロペロ男!!」
下山沙智「くそエスケープが。てめぇ、まだ生きていやがったのか。」
桐生亜衣「この人がここにいるってなると…」
水嶼恭賀「ウルサイ」
花村祈「ギャア!床がしゃべった!!」
ホテルの床と完全に同化し、寝そべっていた巨漢が目を覚まし、起き上がる。
木崎印「この二人はクリエーションらしい。ホテルの修繕は主にこいつらが担当していた。」
桐生亜衣「私と嵯峨野くんで戦っていた大男が…」
どちらかというとクラッシャーやロストイーブンの類いの種性核の方がふさわしいのではないかという疑問を心の中に留め殺し、この先に起こることを考える。花城如音が何をするのか。これから何が起こるのか。自分は何をすればいいのかを。
木崎印「で、協力を要請したいっていうのは?」
花城如音「いや、協力を要請したいと考えているのは磯貝の方なんだ。」
花村祈「…は?」
磯貝公人「悪い花村。これ実は俺の案なんだ。」
木崎印「福山グループを裏切ったお前がなぜ俺らと協力しようとする?」
磯貝公人「その前に二つ聞きたいことがある。一つ目はあんたたちは花城さんに倒されたあとどんな行動をとった?」
木崎印「俺が目を覚ましたときに見た光景はあんたが戦った狩野下切戸、洗井ヰ凶他が気絶している姿。一階に下りれば、仲間である酒々井夢寐菜がくくりつけられ、神威廬利那が失禁して呆然としている状態。そして何か深い落とし穴みたいなのがあってそこに巨漢とメガネ男がいる。控えめにいって地獄絵図だ。本来だったら福山幸多のところに戻るつもりだった。」
磯貝公人「でもしていない。ということは…」
木崎印「あぁ戻るに戻れないんだ。」
佐々木浩二「え?何で??」
花城如音「菅田が絡んでいるのか?」
木崎印「あぁあいつの種性核【スレイブリー】のせいでな。」
福山幸多「四条さん。これからの移動ルートは把握できましたね。」
四条債賀「あぁ、いいもんだな。ソイーブルって。最高に力がみなぎってくる。」
福山幸多「フッ。では参りましょうか。」
そうして不敵な笑みを浮かべ、最凶の殺戮兵器を生み出した男は四条債賀と別行動をとり、ある場所へと向かう。」
福山幸多「フフフ、我殺狂助。あのとき地下鉄で君に出会えてほんとうによかったよ。」
榎宮愷、桐生亜衣、坂縞樹、この三名を見逃すために用意した我殺狂助の交渉材料。それは四条債賀というアンティワームにとってあまりにも驚異的な存在を教えるだけでは乏しい。彼はもう一つ前回の参加者であるがゆえに知っているあることを伝えたのだ。
福山幸多「この幸奪戦争の勝利条件はアンティワームにも明かされなかった。」
教えられたのは種性核や武召喚の詳細など殺し合えといわんばかりの知識のみ。失格になるとどうなるか、極楽に行くにはどうしたらいいのかも知らない。
福山幸多「ただ、このゲーム、監視者に会うことはできるんだな。」
中嶋芽依「この隠し場所、我殺狂助も知っていたんですね。」
神楽士郎「ほう、【あれ】を使って我々と会えることを知っているのはごくごくわずかなんだがな。」
我殺狂助、第六次幸奪戦争の参加者。彼だけが知っている。ある場所へ行けば、この幸奪戦争の監視者と面会することが可能であることを。
ゲーム開始から三日と七時間
残り参加者326人
最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。初の投稿作品ですので、まだ粗削りで不出来なところもあるでしょうが温かい目でこれからこの作品を見守って頂ければ幸いです。作品を読む際に【ハッピーエンドとはどういうものなのか】このことを念頭に置きながら読んで頂ければ、より一層深くまでこの作品を楽しめると思います。これからもこの作品を皆さまに楽しんでいただけるよう、精進して参ります。




