第29話 勝利とは
この作品は全三章で構成するつもりです。話の更新される日が不安定なことがあります。一応週一以上の頻度で更新するつもりですが、できなかった場合はどうかご容赦ください。
福山幸多「前田くん!クラッシャーは生かしておくとさっきも言っただろう!」
前田咲「ふへ?別によくない、クラッシャーなんて。クラインドは確かに尋常じゃない威力だけど、そもそも集めまくった武召喚数値をそれで消費するのはコスパ悪い気がするよ。」
福山幸多「クラインドはいわば、現界でいう核兵器のようなものだ。我々がこうしてわざわざ出向く殺生は、今は何も知らない参加者が多いからリスクが少ないだけであって、ここから後半になるにつれこの戦法は返り討ちに合う可能性もある。その可能性を消すために菅田の種性核でクラッシャーを洗脳し、安全な一掃行為をしなければいけないんだ。」
前田咲「でも、クラインドは種性核と同じようにいろんな種類がある。おじさんがいうような核兵器並みの威力もあれば、その威力を一点に集中させた特定のもの完全排除マンみたいなものもある。裏切られると厄介なやつをわざわざ必死こいて味方に率いれる理由が分からないや。」
福山幸多(ダメだ。彼女は理解していない。我々アンティワームは最初は最強の種性核、だが終盤につれそれは最弱の種性核へと成り下がる。そんな我々にとって、参加者の一掃という行動には効率さ、安全さが求められる。それすらも彼女は理解していない。)
原田九老「だから殺したとでもいうのか?」
福山幸多「いいえ、彼女はかなり強かった。あのときは揉めましたが、そう簡単に手放そうとは思えない人材です。」
原田九老「では、裏切った動機は?」
福山幸多「彼女が自らグループを抜けたんです。だから私は退職金を彼女に支払ったまでです。」
橋本優「それであんた、俺と同じく失格になったのか!ハッハッハかわいそうだな!」
前田咲「笑うところじゃないでしょ!福山と合わなくなったから共闘関係は難しそうだと思って。」
橋本優「その結果、ゲーム開始からたった
19時間、森で協力関係を結んでいた相手に腹を貫かれて失格。面白すぎるだろ。」
前田咲「あんたも似たようなもんでしょ。前回の幸奪戦争参加者にあっけなくやられて。」
橋本優「うるせえ。しょうがねぇだろ。にしてもどうすんだよ俺ら。ここがどこか分からないんだけど。」
前田咲「このゲームってさ、勝利条件はおろか、敗北条件も教えられていないよね。」
橋本優「…だから困っているんだよ。今の俺らではどうしようもない。」
前田咲(……磯貝、あんたはここに来ないほうがいい。何がなんでも逃げな。)
四条債賀「なぁ!その前田咲という女とお前らがこれからしようと企んでいることに何の関係がある!!」
福山幸多「あぁすみません。そう焦らず。前田咲が失格になったことを誰よりも悲しんでいたものがいました。それが菅田神東の信徒であるやつらです。こいつらの存在とある男の存在、これが想定外の事態を巻き起こし、あなたに頼りたいという理由に繋がります。彼女はエスケープや力が弱い、本物の弱者を気にかけている人だったので、その弱者からは相当の支持を得られていました。私はそれに興味どころかそもそも気づいていませんでした。そのため、彼女が失格になったあとの福山グループは内乱は起こらなかったものの、このグループから逃げ出したいと考えているものが出てきました。そしてもう一人、ある男の存在が厄介でした。【肝田葛葉】です。こいつが私に接触をはたしてきたのは、前田咲を失格にさせた一時間後のことでした。」
肝田葛葉「すまない。ちょっといいか?」
福山幸多「何だ、君?」
肝田葛葉「ちょ、ちょっと武召喚しようとしないでくれよ。俺はただあんたらに共闘を持ちかけたいだけ。」
福山幸多「別に私、君のことそんないらないのだが。」
肝田葛葉「そっちのグループに【南川大翔】ってやつがいるだろ。」
福山幸多「!?」
肝田葛葉「あいつ、すごい強いよな!俺の大将でも取り逃がしたんだから。」
福山幸多「…何が言いたい?」
肝田葛葉「俺の種性核は【スレイヴリー】。そしてスレイヴリーで南川を奴隷にしてある。」
福山幸多「なぜ、我々のグループだとわかった?」
肝田葛葉「たまたまだよ。別のグループに所属していて、使えそうなやつにあったから奴隷化しているだけ。そしてそいつに全てを話させた。それだけだ。」
福山幸多「これは、脅しかい?」
肝田葛葉「人聞きの悪い。利用し合おうってことだよ。俺は別のグループに所属している。望むならスパイ活動みたいなのもしてやる。お前に得はあるだろ。」
福山幸多「…いいだろう。」
四条債賀「南川大翔というのは俺が住宅街で殺した者のことか?」
福山幸多「あぁ住宅街のことも知っているんですね。だったら話は早い。前田咲に懐いていた弱者、【前田派】とでもいいますか。前田派は彼女の意思を継ごうと、人が集まりやすいところや、食料や宿などの人が求めるものが手に入る場所、そこらを私の許可なく襲撃するようになりました。その襲撃場所の一つが住宅街だったのです。」
福山幸多「南川大翔も前田派の一人でした。ですが、他はともかく、彼を失いたくはない。そう思い、南川大翔が向かった住宅街の近くまで原田さんやエスケープも含めて向かいました。それからしばらくして、四条債賀、あなたもこの住宅街の近くに潜み、南川を失格にさせた張本人であるとわかりました。この頃はあなたを野放しにはできない。すぐに倒さねば我々が負ける。そう思っていました。」
四条債賀「今とは違った考えだもんな。それで、考えが変わった理由は?」
福山幸多「あなたが見つからなかった。この理由に尽きます。」
四条債賀「…ほう。」
福山幸多「アンティワームの種性上、あなたの顔と名前は知っています。そしてある参加者から私の腕時計にあなたが住宅街で殺戮を行っている動画な送られてきました。つまり、危険なあなたが失格になっているかどうかは私には丸わかりの状態。あなたは誰にも倒されていなかった。では、こちらが直接手を下そうと散々動きましたが、それでも見つからない。ここで諦めたんです。あなたを倒すことを。」
福山幸多「肝田にあなたがいるといわれたときは耳を疑いましたよ。半信半疑の状態であなたのもとに向かい、前田派は菅田によってあらかた消えました。ここまで事が思い通りに運ぶとは…。ハッハッハ、最高ですね。」
福山幸多「回想は終わりです。私の考え、やってきたことは包み隠さずお伝えしました。あなたに私への疑念を少しでも減らしてもらうためにです。そしてこれから私があなたを使ってしたいこと。四条さん、ソイーブルを使ってください。」
四条債賀「何だそれ?」
福山幸多「まず、四条さん。あなた人を殺すのは大好きですよね…?」
四条債賀「…あぁ。だから80人以上も殺したんだ。」
福山幸多「私が思うに、あなたは戦闘ではなく、虐殺を好むタイプの方だ。いわゆる弱いものいじめをしたい。違いますか?」
四条債賀「ご名答。それでソイーブルというのは?」
福山幸多「ソイーブルは武召喚数値を10消費すればどんな種性核者でも圧倒的なパワーアップができる最終手段みたいなものですね。無理やり自分の全ての身体能力を引き上げるのでその負担の量は言葉になりません。」
四条債賀「ハンっ。お前の狙いがなんとなくわかった。俺のなかで少しずつ理解と納得が生まれ出したよ。」
福山幸多「それはよかった。」
四条債賀「ようはお前、俺にソイーブルというドーピング行動をさせて、その力で他の参加者を可能な限り減らし、あわよくばドーピングの反動で自滅しろってことだろ。」
福山幸多「はい!!そうです!!!」
四条債賀「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!いいね。気に入った。お前の罠に引っ掛かってやる。」
福山幸多「助かります。アンティワームはロストイーブンに危害を加えられない種性があるので無理やりいうことをきかすことができないんですよ。」
四条債賀「それで、まずどこから狙う?」
福山幸多「四条さんには、住宅街やスーパーマーケットなどの参加者が求めるものが手に入る場所。これが多く集まっている場所を襲撃したのち、残っているエスケープの居場所に向かってもらいます。」
四条債賀「了解した。殺戮を全力で楽しみ、くたばるとするよ。」
福山幸多「ハッピーエンドでくたばれることを心からお祈り致します。」
ゲーム開始から二日と九時間
残り参加者410人
最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。初の投稿作品ですので、まだ粗削りで不出来なところもあるでしょうが温かい目でこれからこの作品を見守って頂ければ幸いです。作品を読む際に【ハッピーエンドとはどういうものなのか】このことを念頭に置きながら読んで頂ければ、より一層深くまでこの作品を楽しめると思います。これからもこの作品を皆さまに楽しんでいただけるよう、精進して参ります。




