第25話 意味のある悪行
この作品は全三章で構成するつもりです。話の更新される日が不安定なことがあります。一応週一以上の頻度で更新するつもりですが、できなかった場合はどうかご容赦ください。
リアータホテルの一階での出来事。才原清一と酒々井夢寐菜との戦闘は今だに進展はなく、榎宮愷と坂縞樹に襲いかかったBレート集団との戦闘は数の暴力に押され苦戦を強いられた状況にある。そう、こいつは注目されているキャラの分際で現在、特に活躍していないのだ。全く、酷ち悪い…
榎宮愷「ハァッ!フッ、くぅぅぅ」
来雷強「オラオラオラ!死ね!!」
坂縞樹「ぐっ!!!」
榎宮愷「坂縞!!」
彼はBレート信徒との戦闘でその信徒の蹴りを腹部に直撃し、ホテルの壁まで吹っ飛ばされていた。
巽夕寝「あれー?もう終わりー?」
来雷強「まぁ、こいつは三人も同胞を倒した。終わりにしては十分だろう。」
坂縞樹「くっ!うぁぁぁぁぁぁぁ!!!セカンド!!!!」
来雷強「!?」
来雷強 失格
巽夕寝 失格
坂縞樹「はぁ、はぁ、はぁ、」
坂縞樹、彼は戦いを挑まれたBレート信徒7人のうち五人を失格にまで追い込んだ。残りはあと二人。だが
濱部陽画「フンッ!!」
坂縞樹「がぁ!!」
濱部陽画の鉄拳を後頭部に喰らい、体がよろけ地面へと全身が接触する。坂縞樹にもう戦う体力は残されていない。巽夕寝と来雷強を失格にさせたのが奇跡といっていいほどの行いだったのだ。となると頼りは榎宮愷しかいない。
榎宮愷「たぁぁぁ!」
榎宮愷と濱部陽画、この二人は今、互いの剣と殺意を交えて戦闘を繰り広げている。
斬激、突激を相手に繰り出そうと剣を弾きだしたり、剣を振るうスピードや力、方向を秒単位で変更していく。だが相手の剣への斬激、突激を受けまいとする考えも同じなため、かわす、よける、剣で攻撃を受けるこの行動を秒単位で繰り返していく。結果的にお互いに考えていることがかなり似ているため、膠着状態が続いている。戦いかたが同じなら武召喚数値や素のスペック、種性核の相性が強い方が勝つであろう。
濱部陽画「ハッハッハ!!もう笑うしかねえよな!長いこと殺しあってるんだから。」
榎宮愷「フッッタァァァァァ!!」
濱部陽画「力んで叫んでなんとかなんのかよ!!」
榎宮愷「!?」
濱部陽画「フンッ!!」
またも濱部陽画の鉄拳が炸裂し、榎宮愷はホテルの壁のもとまで飛ばされる。
榎宮愷「ガハッ!!」
神威廬利那「それでどうすんの結局。Bレートで生き残ったの私たちだけだよ。」
濱部陽画「生き残った人数は関係ないだろ。菅田様が失格にさえなっていなければ何だっていい。福山が失格になろうともな。」
神威廬利那「それじゃ意味ないでしょ。福山と菅田が組んだから私はそれについたんだから。て、そういうことをききたいんじゃなくて。その男の子は殺すの?」
濱部陽画「あークラッシャーじゃない方は殺す。だからえっーと、樹っとかいってたやつは生け捕り。この榎宮ってやつは殺す。」
神威廬利那「仲間を五人倒した方を生かすんだ。収穫と犠牲が割に合わないね。」
濱部陽画「割にあった収穫を獲得するために来たんじゃない。目的を果たすために来たんだ。」
神威廬利那「どっちかていうて菅田と福山の目的だけどね。」
濱部陽画「神威、お前と俺は菅田様の意思次第で失格にさせていただく身分であることを忘れるな。」
神威廬利那「はいはい分かりましたよ。さっさと終わらせようよ。」
濱部陽画「そうだな。」
濱部陽画が手にしている剣がうつ伏せに倒れている榎宮愷の背中に刃先だけ触れている。
濱部陽画「お前は…いらない。」
榎宮愷「……………は?」
濱部陽画の一言、この言葉は榎宮愷にとって最も聞きたくない言葉、そして最も聞かせてはいけない言葉だった。濱部陽画がセリフを発し終えた数秒後に彼の肉体は粒子へと変化を遂げ消滅の道へと歩んでしまった。
濱部陽画 失格
榎宮愷「いらないって言わないでよ!!」
坂縞樹「えの…みや?」
なぜか彼は泣いていた。なぜこんな行動をとっているのか誰にもわからない。神威廬利那どころか坂縞樹も。強いていうならば、、
酒々井夢寐菜「おおーー。なんか向こうはすごい盛り上がっているねー。」
才原清一「…こいつ何人殺したら気が済むんだよ。」
榎宮愷「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
泣き叫びながら剣を振り回し始める。
神威廬利菜「!? フィフスデバイド!!」
慌てて5つの武召喚数値を身体能力の向上、武器の投影に割り当てる。ガキーンっとまたも剣と剣、殺意と殺意が交わり戦闘が始まる。
濱部陽画と神威廬利那の戦いかたは似ている。榎宮愷も冷静さを欠いた状態とはいえ戦いかたが大幅に変わるわけではない。つまり、さっきの戦闘の再現が行われているようなもの。しかし、その戦闘の結果と戦況は大幅に変わってしまった。さっきと似たような戦闘ならば武召喚数値、素のスペック、種性核の相性が強い方が勝つ。武召喚数値の面で言えば神威廬利那の方が有利であるが、そのハンデをものともしない素のスペックと種性核の相性が彼にはあったのだ。
才原祐一「そろそろ誰か気づくかなー。榎宮愷の種性核はベーシックじゃないって。」
どこなのかもわからないところで楽しそうにそれを見ている男の姿がそこにはあった。
神威廬利那「くっ!!まずい!」
榎宮愷「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない!!!!」!!!!」
彼女はもう恐怖を覚えずにいられないだろう。今の彼の姿は誰が見ても異常なのだから。
神威廬利廬「!?」
やがて彼女の投影していた剣が榎宮愷によって弾き飛ばされ、恐怖で腰を抜かし、立ち上がれなくなる。
神威廬利那「は、あぁぁ。」
榎宮愷「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
坂縞樹「榎宮!!」
榎宮愷「!?」
残されているほんのわずかな力を限界まで振り絞ってで榎宮愷へと飛び込む。
坂縞樹「誰かを殺すのを止めはしない。でもそうじゃないだろ。今の状態で誰かを殺めていいわけがない!!」
榎宮愷「…どけ!!!」
榎宮愷の突き飛ばしに抵抗できる力は残っているわけがない。
榎宮愷「死ねー!!!!!」
桐生亜衣「そうじゃないでしょ。」
榎宮愷「あ。」
突如として現れたものに気絶させられた。
坂縞樹「桐生…」
桐生亜衣「ごめん。やっぱ放っておけなかった。我殺と嵯峨野くんはすぐに合流できそうな位置だったらしいよ。」
坂縞樹「そうか。何にし助かった。ありがとう。」
桐生亜衣「…愷くん。君が何を抱えているかは分からない。でもそうじゃないでしょ。誰かを殺めなきゃいけないならせめて、自分が幸せに近づくための一歩を踏み出すためにやらないと。そうじゃないと、誰も幸せにならないよ。」
気絶した榎宮愷に向かって聞こえているわけでもないのに諭し始める。少し涙を浮かべて。
桐生亜衣「私たちのすべての行動は幸せになるために行わないと。そうじゃないとやってられないでしょ人を殺めることなんて。好きで殺したいやつなんかそうそういないよ。罪深い行動をしないといけないなら意味を持たせないと辛くなるだけだよ。」
彼女は堪えきれず顔に雨を降らせながらそう言った。聞こえていないはずなのに…
ゲーム開始から二日と三時間
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最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。初の投稿作品ですので、まだ粗削りで不出来なところもあるでしょうが温かい目でこれからこの作品を見守って頂ければ幸いです。作品を読む際に【ハッピーエンドとはどういうものなのか】このことを念頭に置きながら読んで頂ければ、より一層深くまでこの作品を楽しめると思います。これからもこの作品を皆さまに楽しんでいただけるよう、精進して参ります。




