第15話 自覚
この作品は全三章で構成するつもりです。話の更新される日が不安定なことがあります。一応週一以上の頻度で更新するつもりですが、できなかった場合はどうかご容赦ください。
坂縞樹「榎宮!!」
榎宮愷「?坂縞くん?どうかした?」
坂縞樹「急いでホテルに戻るぞ!桐生や嵯峨野が危ない。」
危ない…?どういうことだ…
肝田葛葉「おい! 待てよ坂縞!!」
坂縞樹の後を追ってきたのか、必死に走り、声を荒げる。
榎宮愷「えっとー何があったの??」
肝田葛葉「斑目遅刃が失格になったんだよ。」
榎宮愷「…え?」
斑目くんが?やられた?一体だれに…
坂縞樹「すぐ戻らないと!!」
肝田葛葉「待てよ坂縞。なら、向こうで戦っている飯島と我殺はどうすんだよ。あの二人を失うわけにはいかないだろ。しかも相手はバグみたいなスピードを持っている。少なくとも戻るのに三人も人数を割くのは見逃せない。」
坂縞樹「仮とはいえ、拠点を襲われるのはこちらとしても不都合だろう。それに、前回参加者である我殺はかなりの実力を持っている。現にあの化け物と渡り合えていただろ。向こうの心配はする必要が薄いと思う。」
肝田葛葉「いや、だとしてm…」
榎宮愷「あのさ!!今の状況、あまりよくわかっていないけど、ここで言い争うのが一番無駄なことなんじゃないかな。」
一瞬だけ沈黙が流れる。時間がないのはお互いに理解しているからこそ、そういうことが起こったのだろう。
肝田葛葉「わーった。俺は我殺と飯島の元へいく。お前らは好きにしろ。」
坂縞樹「俺はホテルに戻る。榎宮、お前はどうする。」
榎宮愷「俺も戻る!」
桐生や嵯峨野さんを失いたくない。協力し合える仲間なんだから…
中嶋芽依「あぁーーー。もういっちょんわからーーーん。」
神楽士郎「君さぁ、、、新人とはいっても前回の幸奪戦争、経験あるよね…?」
中嶋芽依「しょうがないじゃないですか!神楽さんよりは経歴全然浅いんだし、私は参加者の過去とかは何も知らないんですよー。
あのーー履歴書みたいなやつ…【判書】?つていうんでしたっけ?あれは読んだけどすぐに忘れたんですよねー。」
神楽士郎「参加者の過去は全て判書に書かれているというのに…。何で私がいちいち君の疑問点を解明させてあげなければならないんだ?」
中嶋芽依「せんせーい!分からないところは何でもきけって、ここに初めてきたときにそうおっしゃってくださいましたー。というわけで!解説お願いします!!」
神楽士郎「はぁ、、、」
監督の役回りを任せられているはずなのに、いつの間にか解説係へとジョブチェンジさせられたものが、本気でだるそうに、めんどくさそうにため息を吐く。
神楽士郎「解説するまでもない。判書を読めばいいだけだ。ほら、榎宮愷の判書。」
中嶋芽依「ああーいや、私が分かんないのはそこじゃないんですよ。」
神楽士郎「ん?」
中嶋芽依「私が気がかりなのは、【坂縞樹の行動】についてです。」
わずかに神楽士郎の口元が歪む。
神楽士郎「へぇー。具体的に何がた?」
中嶋芽依「坂縞樹の今までの行動から読み取れる性格?のようなものが、今の行動からは読み取れないんですよ。何というかーーー【坂縞樹らしくない】っていうんでしょうか?」
神楽士郎「ふふふ、、、ふはははははははは
は、あはははははははははははははははは」
心の底から嬉しそうに、楽しそうに、笑い叫ぶ。
神楽士郎「いやー、いい着眼点だよ。よろしい。坂縞樹の判書を渡そう。それと私の解説を交えながらたーーっぷりと話そうじゃないか。」
中嶋芽依(この人、なぜか坂縞樹関連の話になるとテンション高いんだよなーー。そんな魅力的な人かな?彼?)
我殺狂助「ハァァァッ!!ウォア!!」
四条債賀「ふーーーむ」
(急激にスピードと攻撃の威力が上がり始めた。この膠着状態を切り崩すには…)
我殺狂助「!?」
四条債賀のそれぞれの手に握られている剣、これが左手、右手、それぞれ別の動きをしだし、冷静さを欠いていた我殺狂助はそれの対応に一瞬遅れをとる。その遅れで生じた隙を四条債賀は逃さない。
四条債賀(隙ができた。終わりだ。)
我殺狂助の心臓にあたるところに剣の刃先がみるみる近づき出す。しかし、その剣の軌道は急に我殺狂助とは別の方向へと動きだし始めた。おまけに、四条債賀の体が90度に回転している。誰かが転ばせ、自分に剣を当たらないようにしてくれたとここでようやく気がつく。
四条債賀「くっ!!」
飯島聡「我殺さん以外にも目を見張っておく
必要があったみたいですね。」
四条債賀のもっていた二つの剣は持ち主の手元に落ちず、離れたところに置かれている。そしてその二つの剣は消滅へと至る。
四条債賀「ちっ!ファースト!!」
剣を投影し、自身の近くに居合わせている飯島聡に狙いを定める。体が倒れている状態で。それをさせまいと、我殺狂助がその斬撃を弾き返す。その衝撃でまたも、四条債賀の剣が遠くへと転げ落ちる。
我殺狂助「一つのものだけに目を見張らしていても意味ないぞ。」
飯島聡「さっきまで、怒りに身を任せていた感情抑制力0の人が何かかっこよさそうなこと言ってますね。」
我殺狂助「お前ほんと、俺に何か恨みでもあるのか…??」
飯島聡「ないですよ、それは誓えます。ただ、ダサい男を見ると愚痴を吐かずにはいられなくて、、」
我殺狂助「そうかよ、、坂縞とかはどうした?」
飯島聡「多分、ホテルに戻りましたよ。桐生さんと嵯峨野さんはそう簡単にやられる方じゃないでしょうし、坂縞さんたちが援軍に加われば大丈夫でしょう。」
我殺狂助「斑目もそう簡単にやられるやつじゃない。そんなやつが失格になったから不安んだ。斑目を失格にさせたやつは許せない。まぁ、でも、そいつは嵯峨野とか坂縞辺りが倒してくれると信じるしかないか。」
飯島聡「ええ、私たちは今、とても厄介なものを相手にしていますし」
我殺狂助「正直俺たちに勝ち目はねえ。残りの数値で何とか撒くぞ。」
飯島聡「やっぱダサいですね。でも、、確かにそうするしかなさそうです。」
四条債賀「ここまで倒すのに時間がかかったのはお前らが初めてだよ。ずっと武召喚ってやつもせず圧勝してたからな。ならばせめて、、圧勝はしなくても快勝くらいは治めないとな。」
このとき二人は本能的に察した。確かにこの化け物を相手に我殺狂助も飯島聡も互角に渡り合えていたのはまぎれもない卓越した実力があるからだろう。
ただ、渡り合えていたときの四条債賀の力は
まだ本気じゃない。
肝田葛葉「はぁ、はぁ、」
このとき肝田葛葉は焦っていた。四条債賀によって我殺狂助と飯島聡が倒されてしまうのではないかという不安ではない。ましてや、ホテルにに戻った榎宮愷と坂縞樹、今ホテルで何かしらの襲撃を受けているであろう桐生亜衣や嵯峨野健児の心配をしているわけでもない。ただただ、この男はある場所へと向かっていた。闇雲に走るわけではなく、きちんとした目的の場所。
肝田葛葉「はぁ、はぁ、着いたーーー。」
彼が辿り着いた場所は教会。そこにある人がいると信じ、突如訪れたチャンスを逃さまいと全力で希望を持ちながら焦っていたのだ。
肝田葛葉「福山ーー。いるかーーー。」
福山幸多「やぁ、肝田くん。スパイ活動はどうしたんだい?」
肝田葛葉「その話はあとにさせてくれ!とりあえず、人を集めて俺が案内する場所に向かってほしい。」
福山幸多「……そこに何があるんだい?」
肝田葛葉「お前が倒そうとしている男、そしてお前と地下鉄で交渉していた男がいる。」
ゲーム開始から2日
残り参加者460人
最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。初の投稿作品ですので、まだ粗削りで不出来なところもあるでしょうが温かい目でこれからこの作品を見守って頂ければ幸いです。めちゃくちゃ投稿が遅れました。大変申し訳ございません。週一投稿は無理かもという予防線は張っていましたが、2.3週間も投稿しなかったことには頭が上がりません。言い訳をしないことが人生で生きていくには大事なことだと学んだので、弁明など一切ございません。ごめんなさい。これから10月、9月のときと同じような投稿頻度にできるようにし、、たい、です。。。




