第12話 イレギュラーなレギュラー
この作品は全三章で構成するつもりです。話の更新される日が不安定なことがあります。一応週一以上の頻度で更新するつもりですが、できなかった場合はどうかご容赦ください。
坂縞樹「さて、それでこれから俺たちは何をすればいいんだ?」
桐生が作ってくれた料理をホテルの食堂で集まり、それぞれがそれぞれのペースで口に運ぶ。飯島さんが作ってくれた軽食とは違ったおいしさがあって何というか、とてもいい。飯島さんのは安心感のある味、桐生のは本格的なおいしさを求めた味といったところか。そう浮かれつつも、これから自分達は何をするべきなのか、そこは自分も知りたい。あの福山グループを倒すにはどうしたらいいのか。
嵯峨野健児「我殺さん、彼らにはどこまで話したんですか?」
我殺狂助「とりあえず、俺がこいつらを助けた理由とさせたいことは伝えた。あとはクラッシャーについて少し。俺が教えた重要な情報はこのくらいだな。」
嵯峨野健児「なら、【ベーシック】と【数値の振り込み】のことは今、追加で教えといた方がいいと思います。後回しにしてもいいですが、これからのことも考えて余裕があるときに教えといた方がいいです。」
我殺狂助「そうだな。だが、また俺がべらべら話すのはちとめんどい。嵯峨野。今回はお前が説明してくれ。」
嵯峨野健児「わかりました。さっきの坂縞さんの質問の前にまず、僕から二つの説明をさせてもらいます。最初は数値の振り込みですかね。お三方、時計を起動してみてください。」
時計を起動すると数値が12と表示されている。俺の武召喚数値の初期設定数は5。そしてここにくるまでにファーストを二回使っているから、本来は3と表示されるはすだ。
桐生亜衣「あれ?何か増えてる。12ってかいてあるよ」
坂縞樹「俺も12と表示されているが、その振り込みという言葉から察するに【お前らが俺たちに数値をくれた】ってことなのか?」
嵯峨野健児「はい。大体その通りです。この武召喚数値は使う、奪うだけじゃなく、【与える】こともできるんです。ただし、同じ種性核同士の人ですか武召喚数値の振り込みはできません。」
我殺狂助「桐生と坂縞はクラッシャー、俺と同じ種性核だから二人の数値は俺が振り込んだ。」
榎宮愷「じゃあ俺は誰が?」
嵯峨野健児「斑目さんですよ。」
斑目遅刃「あ、あ、はい、、、」
おどおどしながら、か細い声で返事をする。
桐生亜衣「斑目くんも愷くんも同じ種性核なの?」
嵯峨野健児「なんなら僕も飯島さんとこの二人と同じ種性核ですよ。」
飯島聡「私たちの種性核はベーシックなんです。」
榎宮愷「ベーシック、、あの原田という老人も言っていたな。」
我殺狂助「あぁ、だからお前がベーシックって分かった。」
榎宮愷「きいていたのかい?」
我殺狂助「結構最初の方からな。」
桐生亜衣「なら、なんで奏さんを見捨てたの?」
坂縞樹「桐生、やめろ。理由なんか分かっているだろ。」
桐生亜衣「でも!」
坂縞樹「確かにこいつの行動は不可解なところが多すぎる。気に食わないのもわかる。だが今のとこ俺たちに不利益や危害が生じてるわけじゃない。勝ち残るためにも、ある程度多い人数で協力し合うべきだ。友好関係じゃなく、協力関係を結ぶだけでいい。」
桐生亜衣「ん、、」
実際、桐生のいうこともわかる。我殺狂助という男の行動には疑問しかない。俺たち三人は地下鉄にいた。当然のことをいうが、助けられたいうことは我殺狂助もその俺たち三人がいた場所、地下鉄へと来たということ。なぜ?人手を増やすのが目的なら例の住宅街に行って協力者を集めればいい。それに、あのとき福山グループに対して倒すどころか、戦う姿勢も見せず、痛み分けで終わらせたのも引っ掛かる。どうにも、この男に信頼や信用を持てないな。
我殺狂助「…すまない。言い方が悪かった。俺が地下鉄に向かった頃にはそのエスケープはもう失格になっていた。とはいえ、助けられなかったのは俺のせいだ。」
桐生亜衣「いや、もういいよ。話を蒸し返すのはもうやめる。こっちもごめん。」
嵯峨野健児「ん、んつ、、話を戻しますね。ベーシックは簡単にいえばバランス型。特に突出した能力も欠陥しているところもない。文字通り基本的な形です。武召喚の武器のサイズも威力も平均的なもの。この種性核を持っている参加者が一番多いでしょう。」
榎宮愷「じゃあ肝田くんは?」
肝田葛葉「おりゃぁ、クラッシャーでもベーシックでもエスケープでもねぇよ。ただ、何の種性核か俺もわかんねぇ。」
我殺狂助「俺もこいつの種性核は分からない。その三つではないことは分かっているが、数値の振り込みができない以上、ファーストをさせて調べるわけにもいかないしな。」
飯島聡「肝心なところで役に立たないですよね。前回の幸奪戦争で何を学んだんだか、、」
相変わらず我殺に対して辛辣な飯島さんだった。
坂縞樹「種性核については一旦いい。結局、俺たちは何をすればいいんだ?人手を集めればいいんだろうが、適当に集めても裏切りや福山グループのスパイの危険性が出てくるだろう。」
我殺狂助「あぁ、だからエスケープを探す。」
桐生亜衣「……理由は?」
飯島聡「エスケープは戦闘に不向きな種性をもってる。そして位置情報もエスケープ同士で共有し合える。」
嵯峨野健児「この序盤のゲームでは誰も味方につけたがらない。」
…そう……だな。衛藤奏も必死に助けを求めていた。でも、
俺たちは彼女を見捨ててしまった。
我殺狂助「ただ、エスケープは福山グループを倒すことにおいて一番有力な種性核だ。」
桐生亜衣「んーと、いまいち話についていけない。。。」
我殺狂助「福山グループは最低一人エスケープを取り込んでいる。」
坂縞樹「……! そうか、だからエスケープが必要なのか!!」
榎宮愷「そういうことか!」
桐生亜衣「え?ついていけてないの私だけ??」
榎宮愷「桐生、福山グループって何がしたいんだっけ?」
桐生亜衣「えーと、参加者を減らす??」
榎宮愷「減らすっていってもやみくもに探すのは効率が悪い。他の参加者の位置が分かれば楽だよな。」
桐生亜衣「そんなのできな、、あ!」
榎宮愷「福山グループは地下鉄のとき、エスケープを一人連れていた。衛藤奏とそのエスケープの位置情報が共有されて、俺たちの居場所がわかった。」
坂縞樹「でもそのエスケープはすぐに殺された。エスケープが一人もいない状態だと、効率的に参加者を倒せない。事前にエスケープを複数取り込んでいれば話は別だけどな。」
榎宮愷「福山グループや俺らを除いた他の参加者はエスケープを見つけたらすぐに倒そうとするだろう。かといって福山グループについても、利用されて使い捨てられるだけ。そもそも殺戮を繰り返してる人間の配下につこうとはそうそう思えない。」
我殺狂助「そんな路頭に迷っているエスケープを俺らが拾う。エスケープもこっちの味方になるのに断る理由はないだろうし、それで福山グループの正式なアジトまでは分からなくても、それを知っている人間にはたどり着ける。」
桐生亜衣「なるほど。でも、エスケープだけは戦力的に考えてさすがに心細くない?最後まで残れば大幅強化されるといっても、あっちもエスケープを所持してる以上、福山グループと戦う際に強化はできないだろうし。」
飯島聡「そこは探す際に勘で推薦するしかないですね。」
肝田葛葉「そこはどうしても、確実性を得られないよな。」
我殺狂助「とりあえず、エスケープを優先的に探す。他の種性核者は自分の直感を信じるしかない。理解できたか?」
桐生亜衣「うん。わかった。」
飯島聡「あとは探す人とここに残る人ですね。どうします?」
嵯峨野健児「肝田さんは自分の種性核を調べるためにも探す側に回った方がいいですよね。」
肝田葛葉「確かにな!戦力的には我殺は探す側。斑目は残る側だろうな。」
嵯峨野健児「残る側の人間にもある程度の戦力はほしいので僕は残ります。」
桐生亜衣「私はちょっと残らせてもらおうかな。」
坂縞樹「俺と榎宮は行く。それでいいよな、榎宮?」
榎宮愷「え、う、うん。全然いいけど、、」
少し戸惑いを隠せなかった。何か言いたげな目で自分を見つめてくるからだ。一体何なのだろう?
飯島聡「私も今回は探す側に回ろうと思います。」
我殺狂助「よし!決まりだな。飯を食って準備したらすぐに出よう。残る側もいつ襲撃にあってもいいように備えといてくれ。」
そうして、各自食事を済ませ、榎宮愷、坂縞樹、肝田葛葉、我殺狂助、飯島聡の五名はエスケープ探しへと向かった。
~三時間後~
飯島聡「どうします?我殺さん。」
我殺狂助「各自、自分の身は自分で守ってくれ。援護できる余裕はない。」
大混戦が起きていた。俺たち五人がエスケープを探しに向か
った三時間後、10人以上の参加者が姿を現し襲い始める。
単に10vs5というわけではない。2.3人のグループが合計で4組存在し、三つ巴ならぬ、5つ巴状態になっている。そして今、榎宮愷は二人を相手にして戦っている。
榎宮愷「はぁ、はぁ、はぁ、」
栗原夕凪「あら、もう終わりかしら?味気ないわね。」
齋藤柚「夕凪、そんなこといったら可哀想でしょ。まぁ、もう存在が可哀想だけど」
お嬢様口調で喋っている人はさすまた、存在が可哀想とかいったやつはナイフを使って戦っている。至近距離と遠距離。
連携が完璧に取れればかなり厄介だ。実際数値を三つ使っているが膠着状態が続いている。二人相手な以上、先にこっちの体力が消耗する。
栗原夕凪「あら、ファーストが切れちゃったわね。」
さすまたが灰と化す。一定の時間やダメージを越えるとそうなるのだろう。
栗原夕凪「まぁ、数値はまだ15はある。どんどんいくわよ。ファースト。」
またさすまたが投影される。このままだとまずい。他の四人も自分の身を守るので精一杯だ。
栗原夕凪「さぁ、終わりよ。」
四条債賀「ほぉ、そんなことができるのか。」
栗原夕凪「!?」
え、誰よ。いつの間に私の背後に?気配なんてなかった。
四条債賀「ファースト」
栗原夕凪「え」
栗原夕凪 失格
ゲーム開始から一日と20時間
残り参加者 480人
最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。初の投稿作品ですので、まだ粗削りで不出来なところもあるでしょうが温かい目でこれからこの作品を見守って頂ければ幸いです。作品を読む際に【ハッピーエンドとはどういうものなのか】このことを念頭に置きながら読んで頂ければ、より一層深くまでこの作品を楽しめると思います。これからもこの作品を皆さまに楽しんでいただけるよう、精進して参ります。




