魔法少女VS特撮ヒーロー。世界終末を添えて
少女
思いついたのをノリと勢いだけで語る存在。暇人。
拘りのある変身シーンが好き
少年
多分理解力高い質問役。暇人。
ベルトじゃないライダーが好き
「やぁ少年」
「なんだお前。何しに来た」
「暇をつぶしに来ました。どうせ暇でしょうに」
「そりゃ否定しねーが、だからって何で俺のところに来るんだよ」
「それよか聞いてくれ給えよ私の脳内にあふれるネタの数々を」
「話聞けよ。暇だが暇じゃねーんだよ」
「とりあえず世界観から話すのだけど」
「無視か」
「なんかこう、時代背景的には現代にしたいんだけどさ」
「平然と現代って言ってるがここが現代なのか?」
「割と都合のいい博士的存在がいると楽かなーと思って近未来的なSFって感じの世界観が良いと思うんだよね」
「相変わらず強制的だな…都合のいい博士ってなんだよ」
「結構どこにでもいるじゃん都合のいい博士とか開発者系の存在」
「そりゃわかるが、お前が何を想定してそれが必要か聞きてーんだが」
「魔法少女とか特撮ヒーローには変身アイテムがマストでしょ」
「どっから出てきた魔法少女と特撮ヒーロー」
「そんでまぁ、なんでそんな技術発展した世界観かっていうと。やっぱこう、上位存在は欲しいよなって思って」
「別にそこは疑問に思わねーが」
「だから生きとし生けるすべての方向性、星の在り方と生命体の進化の方向を過去の情報を元にすべて操作している存在を作りました。情報思念体君です」
「それに異議を唱えるつもりはないが本当に必要か?それ」
「情報思念体君は全ての情報を集め星の在り方を決めていきます」
「俺の疑問に全部答えるわけじゃねーのか」
「しかし彼にもわからないモノがありました。知識生命体の思考回路です」
「情報思念体とか呼ばれてるんなら思考回路ぐらいすぐわかりそーだが」
「いや、勝手に私がそう呼んでるだけ。ヒトに感知されてない」
「本当に必要か?その存在」
「何でもわかる情報思念体君。でもヒトって生まれてからまだ日が浅い」
「浅い…まぁ確かに浅いかもしれねーが」
「全体的な生命体と比べたら浅いよ。動物に宿る本能とかは理解してると思うよ」
「ヒトだけ理解できねーってのもどうなんだ?」
「ヒトの思考回路って不思議じゃない?本能的な行動に近いモノはあるけど」
「言いたいことはわかるが、じゃあ何がわかんねーんだよ」
「勝手にルール設けてそれに従う有様?」
「生き残るための知恵だと思うが」
「そうかもしれないけども、本能に基づいた行動かと言われると違うじゃん?まだ情報思念体が観測し終わってない領域なのよ」
「あー、まぁ他と比べりゃ確かに時間は足りてねーだろうが…その情報に何の意味があるんだ?」
「普通に進化の方向性定めるのと…えーと、『分からないなら調査をしようじゃァねェか…善の感情とやらをよォ…』って話」
「誰だよ。あとどういうことだよ」
「あれピンと来てないのか。つまりだね、情報思念体君はヒトの正義の感情、善の感情が知りたいわけだ。善の存在とは何か、ヒーローだね」
「そうか?」
「そういうことにしておいて」
「そこは雑なのか。要所要所雑だな」
「情報思念体君は考えた。善の感情を学びたい、それならば善の感情を強く持つ存在を一つにまとめて観測すればいい」
「まぁ、効率的だな」
「しかしただ生きるだけでは効率的な観測ができない。ならば…あえて悪をぶつけてみるならどうだろうか、と」
「これヒーローの成り立ち話か?」
「多分そう」
「多分かよ」
「そうして生まれたヒーロー第一号君。しかしヒトを敵としてぶつけたとしてもそこまで効率的ではありません」
「そもそも敵をぶつけるのは効率的なのか?」
「情報思念体君は次に人類ではない脅威を生み出しました。魔王です」
「ファンタジーの勇者と魔王じゃねーか。SFどこいった」
「しかしそれでも効率的にはなりません。むしろ魔王側によってなんか人類が面倒なことになってきました」
「俺の知ってる魔王って存在なら、一緒に魔物とか生まれてそうだしな」
「なので魔王は討伐されたあと二度と復活することはありませんでした」
「効率的だったら復活する予定だったのか。完全に路線が王道ファンタジーになりそうだったが」
「ヒトでも駄目、ヒト以外でも駄目。そうなったら仕方がない。情報思念体はそこら辺に存在している現象をつまんで肉の器に埋め込みます」
「平然と腕生やしてとんでもねーことしてるな情報思念体」
「こうして出来上がったのが、現代まで続く悪役です」
「まだ過去話か?これ」
「ルールでがんじがらめにしてヒーローに敵対するだけの存在の悪役。感情を知らず欲だけで動く悪役は効率的にヒーローを追い詰め、成長を促し、善感情を引き出します」
「本当に効率的なのか?」
「うっかり悪落ちする存在も居るけどご愛敬」
「効率的って話どこ行ったんだ」
「無論ヒーローはいくら力を持っているとはいえただのヒト。寿命で死に、病気で死に、事故で死に。そうしてまた新しい人柱…じゃなくてヒーローへと世代交代を繰り返します」
「人柱…いやまぁ人柱かもしれねーが、ヒトから見たら普通にヒーローとして真っ当した存在だろーに」
「なお悪役は倒されたとしても肉の器を失うのみ。次のヒーローが現れるころには同じ存在が復活します」
「だいぶめんどくさくねーかその存在」
「んでやっと現代。今代のヒーローは魔法少女だぜ!魔法少女は悪役の作り上げた人造の怪物といつも通り戦いをしていたぜ!」
「急に楽しそうだな」
「そこに現れる謎の三人衆」
「話変わったな」
「背中に爆発を背負い現れたのは、ヘルメットをかぶった謎の集団」
「自警団か何か…は?爆発を背負ってんのか?」
「名乗りを上げて魔法少女の味方をするように現れた彼らは…まぁ名前決めてないけど、とりあえず特撮ヒーローってしとくか」
「だから爆発か。どっちにしろ異色な組み合わせだな」
「それを端から見てたら悪役は考える。なんで二組いるのかと」
「一応異常なのか」
「まぁ別に何組もいても良いけど流石に組み合わせバラバラ過ぎるでしょ。博士何人いなきゃいけないんだ」
「お前にとってのヒーローって博士とセットなのか?」
「さすがに異常なのでヒーロー側、悪役側ともにどういうこっちゃと調査をする。無論情報思念体の存在を知る悪役達が一つの事実に気が付く」
「どうでもいいが悪役は増えないんだな」
「増えても一つだし」
「良く分かんねーんだがそれ」
「あれだよ。なんで二組いるかって、平行世界の情報思念体が真でその情報がこちらにめり込んできた結果におきた副作用だよ」
「結構重要な情報だろそれ」
「悪役って現象だし、同じ現象が二つってわけわからんだろ」
「その理論は全部に当てはまりそうな気がするが」
「まぁほら、ただ混ざっただけだから全部が混ざったわけじゃないし。建物とかも一部混ざってぐちゃぐちゃしてると思うよ」
「あー…なかった建物があったりとか、か?」
「名前だけ変わってたり市長がちょっと違ったり」
「思った以上に小さな変化だな」
「観測されている側とその駒であるヒーローと悪役はその違和感に気が付くけど、普通のヒトはそれを気が付くことはできないんじゃないかな」
「…まぁ、世界観はわかった。結局この話ってどういう話なんだ?」
「うーん…タイトルをつけるなら、『魔法少女VS特撮ヒーロー。世界終末を添えて』」
「何でちょっと料理名みたいになってるんだよ」
あったかもしれないあらすじ
魔法少女(仮称)である二人は、今日も人々を脅かす“魔物(仮称)”と戦っていた。
その存在理由も正体も定かではないが、ただひとつ言えるのは——放っておけば多くの命が失われるということ。
けれどある日、その“日常”は音を立てて崩れ始める。
いつものように魔物と対峙していた彼女たちの背後で、突如爆発が起きる。
煙の中から現れたのは、三人組のスーツとヘルメットに身を包んだ別のヒーローが現れる。
彼らは彼女たちとは別のルールで動き、同じ敵を追っていた。
交錯する正義と、噛み合わない常識。
そして、そのすべてをどこか楽しげに見つめる“謎の少女”が現れる。
好奇心のままに語る彼女は、どこか知っているようで、どこか嘘をついているようだった。
——少女は言う。「なんかね。この世界、ちょっと変なのよ」
繰り返される戦いの果てに、彼らは“世界の真実”と向き合うことになる。
これは、正義を知るためにつくられた、SFダークファンタジー。