カルマ暴走
「カルマ様!来ます!」
「あぁ、一匹たりとも逃がさん」
カルマの声がリリアーナと話している時の優しい声ではなくなっていた。
「ちょっとカルマ、最初から体力使わないでね。後々大変になるのは目に見えているんだから。」
「あぁ、問題ない」
もうこれは止めても終わらないとわかったリリアーナ。リリアーナは遠くから望遠鏡でカルマを見て呆れた。
『リリアーナ様、止めなくていいの?』
「いいわよ。もう思う存分暴れて倒してくればいいわ。一応死んでも治せるし…」
キャルルとリリアーナの会話の内容は少し、いや結構気になったが結局誰にもカルマは止められないということだ。
「来ました!魔物です!」
兵士がいうとカルマと兵士らは走って魔物を倒した。
(確かにリリアーナの身体強化的なものでレベルがアップしてるな。あれを使うのが早くなるかもしれない)
カルマは心の中でそう思った。
「カルマ、5分後に空から魔族が竜みたいなのに乗って上から攻撃してくるわ」
通信機の向こう側では予知能力で危ない事があると教えてくれる最高のパートナーがいる。
「騎士と兵士たちに伝える。どの方角だ?」
「北東よ!10km先だけどスピードが早すぎて見えないくらいよ。予測より早く来るかも」
化け物めとカルマは怒っていた。いや、もしかするとリリアーナも怒っているのかもしれない。
「分かった。何かいいアーティファクトはないか?お前なら作れるだろ」
カルマの言う通りだ。マシンガンを作ってしまうリリアーナは何かしら用意しているであろう。
「最後に使おうと思っていたけど、まぁいいわ。1個だけ貸してあげる。キャルルに持っていかせる。場所を動かないで」
「あぁ、感謝する」
キャルルがどうやって届けるんだ?と思ってたカルマだがすぐに分かってしまった。だが、その光景に驚いた。目がまん丸だ。
「あいつ空飛べるんだ…」
しかも、カルマは洗脳魔法も使えるのでわかったが、リリアーナの魔法でカルマ以外キャルルの存在に気づかれないようにしていることを。
『カルマ様、これを』
キャルルは自分のお腹についてるのをカルマに渡した。
「これは…でっかい盾?」
大きさ3mの鉄のようなとにかく硬く高い盾だ。
「カルマ様!後方から魔物が飛んで来ていてそこに魔人族が乗っているそうです!後…失礼ですがそちらの盾は?」
「あぁ、これは俺の知人が少し前に作ってくれたんだ。それよりも上から来る場合前からも責められる場合が多い。気をつけろ」
「は!」
騎士が敬礼し去っていくとキャルルはいなくなっていた。
「予想異常に早いな…」
リリアーナが予測していた時間より圧倒的に速い。予測を超えるとリリアーナが言っていたのはこれのことだろう。
「カルマ!私、雪乃がそろそろ来るからもう一回出るわ!」
「あぁ、今度は体隠せよ!」
そしてリリアーナはまた城からでた。
(カルマ、頑張ってるわね。私も頑張らなきゃ。)
『そうだね〜リリ姉』
リリアーナがそう思っていると隣に雪だるまがいた。雪乃だ。
「びっくりさせないでよ!雪乃!というか心読まないで!」
『ごめんなさ〜い。そろそろ中盤かな?』
「えぇ、カルマらへんにはほとんど来てない。でもこれは中盤ではなく序盤なのかも…」
『序盤?』
リリアーナよりも可愛い声で質問する雪乃。
「ん〜、なんというか多分私たちが思う序盤は後方が見せどころなのよ。中盤は前線が魔物や魔人族と戦い、後方は援助をする。終盤も同じよ。」
「だから今は前線達の序盤ということよ」
『なるほどね〜、あたし達が思う中盤はまだ兵士達に対しては序盤ということね〜』
そんなことを話しながら空を飛んでいると二人は異変に気付いた。
『どうする?リリ姉。魔人族も今回はちゃんと準備してそうだよ。』
「えぇ、厄介だわ。全くあのマシンガン使っちゃたし…」
『どうする?私の魔法で森ごと吹っ飛ばす?』
雪乃も怖い。姉妹の話の内容が怖すぎる。
「それもいいけどなんかあった時に取っときたいな。地上に降りて浄化魔法使うかそれともまた敵を味方につけるか…どっちがいいと思う?」
『う〜ん。浄化魔法の方がいいかも。私が魔人族を惹きつけるからリリ姉はその時に魔法を使って!』
「ありがとう、雪乃」
「カルマ!聞こえた?」
「あぁ、こっちも中盤に入ったが身体能力が魔法でアップされているようで兵士の体力が持っていない。飛行部隊にも援助を要請したが、間に合うかどうか…俺も一回魔物にやられかけた。今は大丈夫だが…」
「気をつけてね、意外と危なっかしいんだから。私は雪乃と協力してまた魔物を倒してくるわ」
「あぁ、頼んだ」
そして雪乃とリリアーナは地上に降りた。もちろん姿を消して。
「人もいない。進め!」
『もう、君たち確認が甘いから迷宮攻略できないんだよ』
雪乃が姿が見えない中、魔人族に喧嘩を売る。
「誰だ!」
《浄化魔法》
リリアーナは手を動かし広さを確認した。そして浄化魔法で一瞬にして魔物が消えた。
「はあ!?どうなっているの…」
「手間欠かせやがって…全員ぶっ殺す!リーダーは誰だ!?」
姿が魔人族側からは見えないのにナイフで5人以上を抹殺した。
「い、いや、やめろ!どこだ化け物!」
『いや、姿見せるわけないでしょ。化け物なんだから』
そう雪乃が言った瞬間リリアーナが魔法で殺した。
《explosion》
「『いい景色だわ〜』」
爆発を見ていい景色というのはまずおかしすぎる。二人は本当に化け物なのかもしれない。
「よし!帰ろうか!」
『うん!お城で応援しよ!カル兄達を!』
二人笑って帰る途中、通信機から音がした
「カルマ様!カルマ様!」
「心肺停止だ!早く治癒魔法が使える奴らを…」
「ダメです!全員他の兵士の治療をしていて…」
「カルマ…?」
『カル兄…?』
二人の顔色が変わった。そして全速力で向かった。