魔人化と襲撃の理由
魔人化が起こると分かってからはや1ヶ月。未だ解明に至っておらず、アークレト魔法大学校は休校中だった。実はアークレト王国の初等部から大学校まで全部休校となっているのだ。なので、簡単に出歩けなくなったのも事実である。
「北斗くんはオリカの家に泊まっているんだよね?」
「はい。寮に入れなくなったので。毎日模擬戦ですが…」
「それは…大変だな。北斗」
お茶を飲みながらほのぼのと話している3人の男達。
「見つけた!」
「ひぃっ!」
3人の男達の1人、北斗はハルキを盾にする。国王であるキーナもお茶を飲んでいたが、ちょっと驚きながらいつもの光景に微笑む。
「大丈夫よ。模擬戦やらせるために見つけに来たわけじゃないから。」
「そ、そうか?」
「3人に話があって」
リリアーナは3人に向かって真剣な表情で言う。
「魔人が、なぜ襲撃したのか。そして魔人化がなぜ起きたのか。分かったの」
「嘘だろ!?もう分かったのか!?」
北斗達は立ち上がり、そこにいる侍女達も驚いている。
「考えれば、あーなるほど。って思うことだったんだけどね」
そして溜息をしてリリアーナは3人に真実を話した。
「魔人族がアンナ帝国に襲撃した理由、それは近いからって言う理由もあるけど、他にも理由があったの」
「理由?」
「えぇ、理由はカルマよ。」
「「「!」」」
「な、なぜカルマくんが?」
「カルマは有名だった。小さい頃から魔法や騎士としての才能があり、期待もされていた。恐らくだけどアンナ帝国だけじゃない。他の国にも伝わってる。ということは?」
「魔人族が姿を変えて知っててもおかしくはないか…」
リリアーナはとても疲れたような顔をした。
「魔人族に洗脳師が生まれ、カルマが自分達に有能だと思った魔人族はカルマを洗脳し、持ち帰ろうとしていた。1回目は殺されかけたところを襲撃してさらうつもりだったんでしょうけど、私が阻止した。2回目はその洗脳師を殺しちゃった。それで説明がつくわ」
魔人族の考えにも驚いたが、リリアーナに出来事に驚き、座っていながらも後退りする。
「でも魔人化の原因にはならないだろ?」
「魔人化の原因。それは魔力が少ない人間がオーバーヒートを起こすことよ」
「オーバーヒートだと…?」
原因がオーバーヒートだと知り、3人とも驚いているようだ。
「オーバーヒートは魔法が使える人間が負の感情や自殺に追い込むほどのストレスがあった際に魔力が荒ぶる時に起こること。だけど、騎士大学校生は?私やカルマ、北斗も魔道具があればどうにでもなるけどほとんどの人間は魔法が使えない。と言うことは?」
「普通はオーバーヒートを起こさない…」
こくりと頷くリリアーナ。
「おそらく、魔力の譲渡でも行なったでしょう。そして魔力が多すぎて体が耐えられず、負の感情もありオーバーヒートを起こして魔人化した。私のことも知ってたでしょうから雑な誘導洗脳魔法だったけど私を殺せって洗脳して、魔法大学校に来た。」
「話をまとめると、魔力量が少ないものが魔力を急激に増えてしまうと、オーバーヒートし、負の感情を持っていると魔人化してしまう。そういうことか?」
「そういうこと」
「カルマくんがリリの援助を受けていることをどこからか知ったのだろう。リリを足止めすればカルマくんを自分達のものにできるとでも思ったのかもな」
「はぁ〜、魔人化と襲撃の理由どこで分かったんだ?」
リリアーナはちょっとまずいかもみたいな表情をしながら口を開いた。
「魔人化の理由は薄々気づいてたけど、ちゃんとした証拠がなかった。だから、魔人領にアーティファクトを飛ばして盗聴した」
ギョギョ!という顔をする3人。
「どんだけ危ないか分かってるのか!?」
「リスクを承知の上よ。だから、雪乃に頼んだ」
雪乃というのはレベル3大迷宮だ。まさか何万年前の人間が生きてるとは思いもしないだろう。そしてまさかシスコンだとは…
「なるほど…まぁ、それなら大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
サムズアップをするリリアーナ。キーナは少しため息をしながら口を開いた。
「これは正式に国家面談が必要かもな」
そして3人は真剣な表情で頷いたのだった。
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