魔物討伐
魔法実習から1ヶ月が経った。無詠唱で出来たのはやはりSクラスの者だけ。だが、その魔法の授業のおかげでリリアーナとの絆も徐々に深まっているようだ。
「久しぶりの魔物討伐ね!」
「お前はなんで嬉しいそうなんだか…」
話しているのは馬車の中。でかい馬車で現在14名が乗っている。誰かというとアークレト魔法大学校の6人とアークレト騎士大学校の6人。そして魔法師団と騎士団が1人ずつだ。だが妙に空気が悪い。理由はアークレト魔法大学校とアークレト騎士大学校の仲が悪いからだ。リリアーナとホクトは知らなかったのでその話を聞いた途端めんどくさという顔になった。
「お前達は出なくていい。私達騎士学生がやる」
「そうですか。ですが、こちらも成果を挙げないといけないので魔物探知で知らせるくらいはさせてくださいね」
そうリリアーナがとてもいい笑顔(とても黒いが)いうと男子がハートを撃ち抜かれたみたいに胸を押さえた。いつメンは思った。
(出来なかったらこっちも容赦しないからなっていう笑顔だなこれ)
北斗達は微妙な顔になった。まぁでも騎士学生が自分達がどれだけ実力がないかが分かるかと思ったので何も言わなかった。北斗は2人の顔を見てドSだ。と思った。そしてリリアーナ達は馬車を降りた。
「あなた達は奥の方に行きます。リリア…私達がいる限り大丈夫でしょうが災害級もいるでしょう。すぐに戦闘態勢に出来るように準備をしてください」
リリアーナ達は思った。
(今、リリアーナがいるから大丈夫って言ったよね?)
分からなくもないというか近くで見ていたから尚更なのだろう。そのことを言った騎士はリクなのだから。
そしてリリアーナ達魔法大学校組は魔力探知で魔物の魔力を探す。
「リク!」
そしてリリアーナが魔物を見つけた。
「お前よくわかったな。ってまさか!」
北斗は勘付いたようだ。リリアーナはサムズアップをした。ナルとハナ、そして騎士大学校組以外は全員気づいたらしく溜息をついた。リリアーナはアーティファクトを着いた瞬間からバレないように飛ばしていたのだ。
「よし!騎士の皆さん!魔物が来ます!大型です」
リクがそういうと騎士大学校組は剣をとった。緊張しているのか手が震えているが。
(みんな、聞こえる?)
(え!?これって念話?)
(そう、落ち着いて聞いて。多分騎士大学校組だけでは大型は絶対に倒せない。だからみんな魔法を準備して。だけど全力は出さないで。二分の一でいいわ。ホクトとハルキ、アーナは四分の一で)
(((((了解!)))))
リリアーナが念話で魔法大学校組に指示をした。そして案の定リリアーナが言った通りになった。
「いや…やめてくれ!!」
「大丈夫よ!まだ…がぁっ!」
「これが魔物…うわぁっ!」
「魔法大学校組、準備して!」
リリアーナがそういうと全員が準備をした。そして一斉に魔法を撃った。
「うん!大丈夫だね」
リクは何とも言えない顔になっていた。そしてリリアーナをジト目で見ていた。おそらく、リリ、あんた魔改造しやがったなという感じだろう。リリアーナは目をそらす。
「魔法大学校組が一撃で…」
騎士大学校組はプライドが折れたらしい。
「皆さん!大丈夫ですか!?」
「治癒魔法をかけますね!」
優しいナルはすぐさま騎士大学校組のところに向かった。ハナも治癒魔法が得意なのでついていく。リリアーナ達は少し遠いところにいたので聞こえなかったが、おそらく何か優しい言葉をナルが言ったのだろう。男子がハートを撃ち抜かれたように胸を押さえている。北斗がそのことに気づき騎士大学校組を睨んでいる。
「ほらほら、取られちゃうわよ?ちゃんと隣にいないと」
リリアーナがニヤニヤしながら言う。その隣ではハルキもまたニヤニヤしている
「そ、そんなん関係ねぇだろ」
北斗は誤魔化すような言い方をした。そのせいでリリアーナ達のニヤニヤは増す
「「「「「!」」」」」
「リク!もうすぐ魔物の大群が来る!」
「何体だ?」
「おそらく100、いや200!災害級も多い!50体以上!」
「それはやばいな…」
「なぁ、リク…それ俺がやっていいか?」
北斗が暗い声でリクに頼んだ。
「まぁ、そうだな。だが、数が数だ。リリも入れ!」
「地形変えていい?」
「…今回は許す…」
そうリクが言うと北斗とハルキは頭を抱えた。
「そんな!ホクトくんとリリアーナさん2人だけでなんて!」
「大丈夫、あの2人は世界で上位クラスの人間だから」
「みんな避難しろ!」
「ですが!」
「お前達は死にたいのか?リリとホクトの魔法は間違ったら死ぬ可能性すらある。500メートルは後ろにいろ!」
ナルや騎士大学校組がリクに言い返すがすぐに黙った。騎士大学校組は舌打ちをしながら下がったが、ナルは不安でチラチラと北斗とリリアーナの方を見ながら下がった。だが北斗がサムズアップをすると少し安心した顔で走った。
「北斗、イライラしてるんならここで晴らしちゃいなさい」
「分かってる。」
北斗から俺今すごく怒ってますオーラがあるのでリリアーナが言った。そして2人とも不敵の笑みをした瞬間、爆発が起きた。爆発魔法は北斗だ。そして数が多く災害級が倒せなかったのでリリアーナが洗脳し、自爆させた。まさに悪魔の仕業!
「お前…ガチでやべぇよな」
「ふふっ、こんなもん瞬殺よ」
ちょっと香ばしい感じが出ているのはスルーするが、瞬殺は流石に怖い。
「ホクトくん!リリアーナさん!大丈夫ですか!?」
ナルがすごい速度で向かってきた。リリアーナも言っているが向かっている先が違う事を指している。
「大丈夫だよ、ナル。だからちょっと…離れて…」
「え?あ…はぅ…」
全員に凝視されている事を知ったナルは北斗の後ろに隠れてしまった。ほとんど恋人くらいに近いので何にも変わらないのだが
「殿下、あの2人付き合ってるんですか?」
「いや、まだだが時間の問題だろう。絶対に告白を見てやる…フフッ」
北斗はハルキのことを睨むが何にも感じていないようだ。リリアーナの近くは精神状態が異常だ。そんな中全然違う事を考えてる人達がいた。
「あの表情は…!」
「あいつ…!!」
それはもちろん騎士大学校組だ。ほとんどの騎士大学校の男子は北斗を睨んだ。その瞬間目を逸らした北斗だがナルが近づいていて嬉しいのか照れているのかもしくはどっちもなのか分からないが、赤くなって微笑んでいた。
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