入学パーティー
「改めて、ハルキ、アーナ、リリアーナそしてホクトアークレト魔法大学校入学おめでとう!」
『カンパーイ!!』
王城の小さなホールでリリアーナ達の入学パーティーが行われていた。
「明日から、寮に入るのだったなホクトは」
「えぇ、あくまでも私は一般人ですし、リリにもそうした方がいいと言われたので」
「私も寮が良かったんだけどね〜」
リリアーナは食事をしながら口を開いた。
「お前、皇太子妃っていう自覚あるか?」
「最近忘れかけてるんだよね〜」
リリアーナがそういうとそこにいたものは全員溜息をついた。
「そういえば、魔法の教師として4人が出るんだったな」
「えぇ、無詠唱で使えるのはここにいるものとおそらくカルマ殿下しかいないはずなので」
「そうね〜、あと使えるとしたら雪乃くらいかしら」
リリアーナがそういうと首を傾げた。
「あぁ、大迷宮レベル3の守護者よ」
『はぁ!?』
その瞬間全員がリリアーナの方を見た。リリアーナは言わなかったっけ?みたいな顔をしている。
「魔法教えるのめんどくさい」
「いやいや、あなたは私よりも元々の魔力多いんだからやってよ」
アーナはレベル3の雪乃には興味がないらしい。というのもアーナはリリアーナ大好き吸血鬼なのでほとんど監視しているのだ。キャルルの次にリリアーナに詳しい者なのだ。
「まぁ、今日は入学式で疲れているだろうし、リリアーナは今日泊まるか?」
「ううん、ゲートで帰るわ。カルマも待ってるだろうし」
「カルマ君は大変そうだね〜、父親がちょっとやばいってこともあるけど。リリアーナ、ちょっと皇帝とかの頭を“あれ“してカルマ君連れてきたら?」
ここにいたものは全員思った。
(国王が言っていい言葉じゃないことさらっと相変わらず言いやがる…)
と。
「まぁ、おじさんとカルマの関係も関係だからな〜、カルマは会うたび緊張してるらしいわよ」
「え〜、普通にきてくれればいいのに〜」
酔い始めてるキーナはそんなことまで言っちゃう。ちなみに他の者もというか18歳以上からこの世界は成人なので飲酒OKなので北斗以外お酒を飲んでる。リリアーナはアーティファクトでほろ酔い程度しか酔わないようにしているので全然酔ってないが。
「さて、そろそろお開きにするか。私も明日も一応仕事あるし」
「そこはちゃんと分かってるからいいけど…治癒で治そうか?」
「いや、リリしなくていいさ。よって明日頭痛くなって反省すればいいんだから」
アリスは実の息子にも容赦しないらしい。クリスは遠い目をしている。
「じゃあね、ハルキ達はまた明日!」
「おう」
「お姉様、血を吸わせて〜」
「アーナあなた酔ってるわね?」
ホクトはアークレト王国の王太子と王太子妃とはまだ気軽に話せるが、この雰囲気には馴染めないらしい。大迷宮で壮絶な戦いをしているので、元クラスメイトが驚くほど口調やら雰囲気は変わってるが、一応王族に対する態度はまだ持っているらしい。リリアーナとカルマを除いて。
「ほら、行くよ。北斗、オリカ達も」
学校話にはほとんど参加していなかったが、パーティーメンバーにはオリカ達がいたのだ。そしてリリアーナがゲートでオリカ達の隠れ家に向かった。
「そういえば北斗、あのアーティファクトできた?」
「あぁ、もうすぐゲートが使えそうだからできるはずだ。アリス様達には感謝だな」
そのアーティファクトとは本当の『どこでも◯ア』だ。オリカ達の隠れ家に作ったものでゲートが使えないものでも自由に移動できるという優れものだ。他の国が知ったら大事になるので絶対にバレてはいけないのだが。そのアーティファクトを現在北斗が1人で制作しているのだ。北斗に作らせている理由は、リリアーナのおかげ?で修復師から錬成師レベルに慣れたからだ。だがまだ、リリアーナより遥かに錬成に関してはできていないのだ。そしてこのアーティファクトは結構な魔力と大迷宮で得た魔法、そしてゲートを使わないといけなく、いい練習になるので北斗が適任だとリリアーナが思ったからだ。リリアーナがやれば一瞬で終わってしまうのだが。ゲートは元々アリスとクリスが共に作った魔法でリリアーナより当の本人から教えてもらった方が早いとリリアーナが思ったのでアリスとクリス直直にゲートを北斗は教えてもらったのだ。世界にそんなこと言ったら気絶するものが何人もいるだろうが。
「じゃ、また明日。寝坊しないでね」
「そっちこそ。カルマともほどほどにな」
「はぁ〜、その感じ小さい頃の優斗にそっくりだわ。」
そんな話をし、リリアーナはまたゲートで帝国の帝城に向かった。
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「ただいま〜ってどうした!?」
リリアーナが見たのはほとんど魂抜けてるよね?という状態になっているカルマだったのだ。
「あ…おかえり。リリ、大迷宮の攻略疲れた。魔人族も…うっ」
ベッドで嫌だ嫌だと駄々をこねる子供みたいにジタバタ動くカルマ。リリは前世でもこの姿は3度くらいしかなかったので驚いた。
「ほらほら、落ち着いて。話聞くから」
リリアーナは慈愛に満ちた声でベッドに座った。するとすんなり起き上がったカルマ。リリアーナ効果恐るべし。
そしてリリアーナが話を聞くとこういうことらしい。現在、15名ほどが大迷宮攻略に向かっており、40階層まで行ったらしいが、中ボスが現れたらしい。チートを通り越してるリリアーナやカルマだったら瞬殺なのだが、チートな召喚者の方々は手こずったらしい。最終的には攻略の証をその魔物だけに見せるように絶妙なところにカルマが行き、カルマが倒したように見せたらしい。信じやすくするためにちょっと洗脳して。その後はそのループだったらしい。中ボスに慣れてきて倒せるようになっても最後の一発がほとんどできなかったらしく、カルマがみんなが倒したように見せかけて攻略の証を使うという繰り返し。それにはさすがにリリアーナも同情するしかなくカルマの頭を撫でた。そして帰ってきたらきたでキャルスに暴言(特にリリアーナについて)を言われ、魔人族の襲撃が後1ヶ月もすれば来るかもという国境警備から伝達があるという怒涛の1日だったらしい。体力的にも精神的にも疲れたらしく最終的にはリリアーナに膝枕されてその後寝た。妻の愛情はやはり体力も精神も治っていくらしい。そして、2人はぐっすりと眠りに落ちたのだった。
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