入試結果と衝撃の決定事項
「はぁ〜、流石に緊張するな」
リリアーナは溜息をついている。今日は入試結果が出る日なのだ。
「それ、肉食べてる人間が言うことじゃないが?」
そう。リリアーナはお肉を食べながら試験会場に向かっているのだ。
「まぁ、いいじゃない。そこに王太子と吸血鬼がいるのが驚きだわ」
「久しぶりの外だな。王太子になってから外に出歩くことが減ったからな」
「お姉様…血、吸わせて」
「ダメよ。家に帰ってからね」
(うん。ここの全員緊張してないな)
北斗は内心でため息ついた。まず王太子と皇太子妃がここに並んでることがまずおかしいし、吸血鬼がいるということですごくヤバい連中だ。そして道を歩いているとリリアーナ達に目線が飛んでくる。当然だ。なんてったって美人とイケメン勢揃いなのだから。
「お、着いた」
そしてリリアーナ達は合格発表の紙が貼られている場所に向かった。
「なんか、大学の合格発表を思い出すわ」
とリリアーナは懐かしそうに小声で言う。そして掲示板で自分の番号を探す
「あ、あった」
「どうやら全員あったようだな」
「ふ〜、緊張したが良かった」
全員で笑いあった。
「お、合格した人はあっちで制服やらをもらうみたいだな」
「じゃあ、行くか」
そしてリリアーナ達はその場所に向かった。
「あら?もしかしてハルキ殿下ですか?」
「あぁ、そうだ」
「実は、ハルキ様方にお話ししたいことがあります。そこで制服等をいただくことになります。ではこちらに」
制服の受け渡し場所にいた人に声をかけられると、その女性が他の部屋へと案内した。
「なんで私達だけ?」
「お前は…全く。お前の…私達の地位と魔法能力を見れば話したいことがあるのは当たり前だ」
「あ、そっか」
そしてリリアーナ達は学校の応接室に案内された。
「お、来たようだな」
(校長先生かな?)
「まずは座りたまえ」
「あぁ、失礼する」
「最初に、合格おめでとう。と言うべきだな」
「「「「ありがとうございます」」」」
リリアーナ達は深々と頭を下げた。
「本題に入るとしよう。君達はなぜ無詠唱で魔法が使えるんだ?」
「努力の結果、と魔法レベルが高いからだと思います。」
「その努力というのを教えてほしいのだ。本当は機密なのだが…魔人族の戦争が始まる可能性が高いのだ」
(なるほど…元々予想はしてたけど、まさかもう情報が入ってるなんて…)
リリアーナはアークレト王国にも来るとは思っていた。が、アンナ帝国に来たばっかなので立て直す時間が必要だと予想していたのだ。
「アンナ帝国には二度の侵攻がされている。その時はなぜか正体不明の皇太子の知り合いに助けられたようだが…」
その瞬間リリアーナは目を逸らした。他の北斗達はリリアーナをジト目で見ている。
「それで、無詠唱のやり方を知りたいということですか」
「あぁ。君たちの立場は学生だ。しかも私達がお願いしても簡単には了承ができない立場でもある。だが、国の一大事だ。アークレト魔法大学校の生徒、職員達に教えてくれないか?」
リリアーナ達は頭を悩ませた。そしてリリアーナが口を開いた。
「無詠唱はまずレベルが高くないと使えません。まずはSクラスの生徒に教えるという形はどうでしょうか?レベル上げは時間がかかるので」
リリアーナが提案すると、校長は頷いた。
「そうだな。君たちはSクラスでカルテくんは主席だからな」
「え…?」
リリアーナはしまったという顔をしている。一応期待を込めて質問した
「それって決定事項…ですよね?」
「当たり前だ」
「ですよね〜」
リリアーナは苦笑いをしている。少々顔を引き攣っているが。
「というわけだ。2週間後から学校が始まる。魔法練習の訓練指導楽しみにしている」
「あぁ、分かった。では失礼する」
そして扉を閉め、少し人がいないところにいくとリリアーナが四つん這いになった。
「サイアクだ〜〜!!!」
「お姉様はあわれ」
「追い打ちかけんじゃないわよ!」
涙目になっているリリアーナ。首席はもちろん入学式で代表挨拶をしないといけない。それが嫌なのだ。ものすごく。
「大丈夫だろ、リリ。お前結構表にでてたよな?」
「それはそれ、これはこれよ~!!」
実はリリアーナもとい舞美は元若手有名デザイナーだったりする。海外でも活躍する有名人だったので表に立つことも多かったのだ。
「いい機会じゃないか。お前は一応アンナ帝国の皇太子妃だ。前に立つことも今後増えるだろう」
「うぅ…」
リリアーナは、そうだった…と溜息をついた。
「ほら、そろそろ行くぞ。父上にも報告せねばならない」
「あ、確かに」
そしてリリアーナ達は王城に向かった。
「相変わらず凄いよなこのどこでも◯ア」
王城に向かったと行ってもゲートで向かった。歩くのも面倒くさくなったので路地裏に行き、ゲートを開いたのだ。
「お、リリアーナ!来たのか!」
「おじさん、いろいろありがとう」
学校に通えるのも家名が使えたのもすべてキーナのおかげなのだ。
「いいさ、いいさ。カルテ王国と築いておくと何かしらといい感じになりそうだしね」
「それで、どうだったんだ?」
「全員Sクラス!」
そして近くにいた騎士や使用人が感嘆の声を上げた。Sクラスはそれはもう、努力しないと入れない場所だ。
「おめでとう。まさか4人とも入れるとわな」
「ありがとう。後もう一つ、首席から四席まで私達!」
キーナは驚きの顔をしたがすぐに微笑んだ。
「さすがだな。もしかして首席はリリアーナか?」
「うん…最悪…」
やりたくないオーラがすごい。そのせいか魔力が荒ぶっている。ほんの少しだが。
「じゃあ、カレンにでも教えてもらえばいいんじゃないか?カレンは首席だしな」
「うん…分かった」
まだ納得してないリリアーナ。その時、アーナがリリアーナに飛びついた。
「うわっ!」
「お姉様の血は美味しい…」
ちゅっー、と音をたてながらリリアーナの血を吸う。その光景を見ていた皆が思った。
(尊い!)
美人二人がくっつき状態なのだ。しかもアーナは小柄なのでリリアーナがおんぶしている。尊いという言葉しか見つからないのだ。そしてアーナは最後に吸ったところを舐めた。一応止血のつもりらしいが。
「ごちそう様でした」
そしてアーナはリリアーナの背中から降りた。
「カルマにも伝えてくるわ」
「あぁ、行ってらっしゃい」
そしてリリアーナはアンナ帝国に向かった。
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