暴露
「何?学校だと?」
「えぇ」
アークレトから帰ったカルマとリリアーナはすぐにキャルスのもとに向かった。
「ふっ。魔法が使えない無能のお前が行けるはずが…」
その瞬間リリアーナは魔力で威圧した。キャルスは気を失いかけたがギリギリ耐えた。
「こんな濃い魔力感じたことがないぞ!?」
そして近くにいた騎士は倒れている。その光景を見たカルマはリリアーナを見た。
「ほら、リリ。少し抑えろといっただろ」
「え〜、これ私の二分の一だけど」
リリアーナにはどうって事なかったらしい。カルマにも言える事だが。
「ほんとにお前は…」
カルマは呆れ遠い目をしている。
「どういうことだ!?」
キャルスは驚きを隠せなかった。そしてリリアーナは事実を話し始めた。
「確かに産まれたばかりの私は魔力の量が低すぎた。」
リリアーナは話を続ける。
「でも私は5歳の頃覚醒した。私は魔法の練習をしてこのように出来るようになったのです」
「私よりもリリは魔法を使えます。剣も使えるそうです。」
カルマがそういうとその場所にいた全員が息を飲んだ。その瞬間キャルスは笑い出した。
「ハッハッハ!君はやはり私が思った通り有能だ!アークレト王国ではなくアンナ帝国にいろ!そして魔法師団に入るんだ!」
キャルスは自分のものだと言うばかりな発言をした。
「はぁ。私を殺そうとしてた人が何言ってんだか」
リリアーナはため息をつき呆れた顔をしている。
「な、なぜ!その事を!?」
キャルスは衝動的に言ってしまった。しまったという顔をしている。
「私の魔法能力はこんなもんじゃない。私の父が私を干渉しなかったことに感謝しますよ」
「まさかお前…!」
さすが帝国の王。感がいい。
「お察しの通りです。あなたのことは怪しいと思って監視してましたよ。来る前からずっと」
「許される事だと思っているのか!」
キャルスはいい返した。確かにリリアーナがやったことは犯罪に近しいかもしれない。だが、
「あなたの方が犯罪を犯しているわ!」
何も言えないのだろう。キャルスは黙った。そしてリリアーナは微笑んだ。その場にいたものは震えた。
「まぁそれは置いといて、私はカルテ王国の王女殿下だった事をバラします。あなたにも火の粉は飛ぶでしょうけど、あなたのような揉み消しが得意人ならすぐ無くなるでしょうね」
「貴様!私を煽るとは何様だ!」
キャルスは血管が浮き出るほど怒った。カルマも流石にこれはやばいと思うくらいに。
「ただのアンナ帝国の王太子であるカルマの妻でカルテ王国で隠されていた王女ですよ」
リリアーナは不敵の笑みを浮かべた。カルマは話を聞きながら少し震えていた。
「あ、カルマとの結婚はそのままにさせていただきますね。お互い相思相愛関係になりましたし。次の婚約者もヤバそうなので」
そう。次の婚約者もリリアーナの妹(仮)である雪乃が調べていたのだ。その婚約者は男を毎回落としてはまた次の男に行くという男たらしでその親も犯罪を犯しては揉み消すやばい家族なのだ。
「相思相愛だと…?」
カルマに向けてキャルスは圧をかけた。いつもだと言うことを聞くカルマだが今回は違う。
「そういうことです。例え国が関わるとしても夫婦関係は変わりません。」
「私が国のためにやめろと言ってもか!?」
「えぇ、その通りです。」
「それでも王太子か!?」
「それはこっちのセリフです!国王がすることは悪事を揉め消すことですか!?国王がやることはこ国民のために働く事でしょう!」
(かっこいい…カルマがかっこいい!!)
リリアーナは隣でカルマを凄いという目で見ていた。その周辺にいたもの達も素晴らしいという眼差しで見ている。だがキャルスは止まらない。
「そ、それにカルテ王国ともアークレト王国にも許可が…」
「その点は大丈夫です。アークレト国王が直々にカルテ王国に足を運んでいますから」
リリアーナには助っ人がいる。それもとんでもない人達が。
「な!そんなはずは!?」
「そんなはずがあるんですよ。結果は私にとってとても嬉しいことになるでしょうね」
(よろしね、キーナおじさん)
リリアーナは微笑んだ。そしてキャルスは何も言えずアークレト王国の国王であるキーナが来るまで待つのだった。
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「リーク様、ある方がいらっしゃっています。」
「何?客は呼んでいないが?」
「急遽来まして…」
秘書がオドオドとしている。それほど地位の高い人間なのだろう。
「そろそろいいか?」
「あ、はい!どうぞ!」
すると勝手に入ってきたのは男性だった。
「!」
リークは驚いた。恐れ多い人間だったからだ。発言を間違い喧嘩を売る形になったらすぐに国が取られてしまう可能性が高い人物。
「久しいな。」
「お久しぶりです。キーナ国王」
そう。アンナ帝国と同等な権力を持っており、ここ数年でまた権力あげている。その理由はリリアーナだが。リリアーナが政治のあり方に指摘を入れた場所をキーナが治していくとあっという間に世界で一位というくらいの権力を持つことができたのだ。そんな娘のように思っているリリアーナが閉じ込められているのを知った時、キーナはとてつもない怒りを持った。その怒りをぶつける日が来たのだ。
「今回はどんなご用件で?」
リークは緊張をしているが表に出さないよう頑張っている。キーナにはバレバレだったが。
「リリアーナ。知ってますよね?」
その時リークは息をのんだ。
「何の事でしょう…?」
「流石に口を割らないか」
キーナは予想通りという不敵な笑みを浮かべた。リリアーナには見せない表情だ。
「リリアーナは魔法の才能がないと思われずっと閉じ込められていたが、魔法の才能が開花され毎日のように家を抜けては魔物を狩り、私と仲良くなった。娘のような存在だ。」
「!抜け出した…?」
(食いついたか…)
「あぁ、しかもリリアーナはカルテ王国で産まれたそうだ。そしてお前の娘だと言っていた。」
「あいつ…!こっちが頑張って婚約者を用意したと言ったのに…!」
「なんだ?リリアーナに隠されてたのが気に喰わないのか?」
キーナは少し笑いながら質問をした。リークは気づいていないのだろう。自分がリリアーナの娘だと言ったように話していることを。
「そうだ。リリアーナからの伝言だ。」
「何だ!?」
「『干渉しなくてありがとう』だそうだ」
「あいつ…!」
「まぁ、これはあくまでついでの話だ。本題は違う。」
「何だ?」
リークの口調が変わった。おそらく自分でも気づいていない。キーナに対する怒りが心の中で爆発しているのだろう
「リリアーナをアークレト魔法大学校へ通わせたい。そこで苗字としてカルテを使う許可が欲しいのだ」
「やだな。あいつにはもうアンナという苗字があるじゃないか?」
リークは上から目線で言った。
「あいつはアンナ帝国に消されようになっているが…?」
「何だと…!?」
(そんなことも知らないのか…この国もそろそろやばいかもしれないな…)
「そういうことで提案だ。リリアーナを隠していた事を国民に話し、カルテという苗字をリリアーナに使わせる。そうすればリリアーナを保護し、カルテ王国の援助も少しだがしてやる。なんせ娘の故郷だからな」
そして、交渉が成立した。だが、キーナはあることに気づいた。それは
(リリアーナの話を投げるとすぐに了承したな…一応リリアーナにも言っておくか…)
そしてリリアーナの入学条件は揃ってきたのだった。