王国と精霊と吸血鬼
「精霊と吸血鬼、ですか?」
頷くリリアーナ達。
「私が出会ったのが九歳の頃。オリカから少し聞いてると思うけど」
「あぁ、お前が家出ばっかしてたって聞いたぞ?」
「まぁ、それは置いといて」
(いや、閉じ込められてたとはいえ一応お姫様が家出しては困るだろ!?)
カルマは心の中でそう思った。リリアーナと二人なら普通に突っ込んでいたが、現在、アークレと王国の国王に王太子、王太子妃、そしてとても有名な騎士という他の国とはいえ並べく国との交渉以外会いたくない存在が目の前にいるのだ。言葉の使い方を気を付けないといけない。
「それで、森をうろうろしたら魔物に襲われているオリカ達を見つけたの」
「それで助けたのか」
「そう。それで精霊と吸血鬼を敬うアークレト王国の王に会いに行くことになって…」
「それで、リリアーナの悲惨な事情を知って、仲良くなったんだよ」
つまり、精霊達を助けたおかげでこんな豪華な人たちと仲良く慣れたということだ。
「そういや、吸血鬼のことを話していたがどこにいるんだ?」
「あ〜、多分…温泉かと…」
「「温泉…?」」
カルマと北斗に?マークが浮かんだ。他の皆はやれやれ、という顔をしている。すると見たことある魔法が目の前に現れた。
「おや?リリ、来てたのか?」
「うん、久しぶり。お爺様」
「久しぶりだね〜、ちゃんと魔法の練習してるかい?」
「うん!この前爆発魔法を作って…あ」
すると、リリアーナの頭に雷魔法が降り注がれた。
「バカもん!一体何度言ったら爆発魔法をやめるんだい!?」
洗脳魔法ならまだいいものを…と言っている一人の老婆。
(いや、本当は良くないからね?)
カルマはそう思った。だが、それは言えなかった。それは世界中が知っているかもしれない二人がいたからだ。
「ん?誰?」
するとびっくりする人の美人が出てきた。中学生くらいだろうか?リリアアーナに負けないくらいの美人だ。
「あ〜私の夫と召喚者」
「ふん、そう」
(あれ?あの子は動揺してないな)
「リリ…結婚したのか!?」
その代わりに老爺はものすごく驚いている。
「うん、でも一応私の意思だから。やだったら洗脳してるし」
「まぁそうか」
(さらっとやばいこと言ってやがる…)
カルマと北斗は自分が洗脳をかけられると思うと体が震えた。
「あ、初めまして。クリス殿、アリス殿。カルマ•アンナです。」
「アンナ帝国の人だったのかい。リリをよろしく頼むぞ。」
「まさか、あのリリが大人の階段を登るとはね〜」
「ちょっ、お婆様!?」
リリは少し頬を赤くし、王太子妃は真っ赤かだ。
(いや、焦ることないだろ)
と思うカルマだが、少し思い出せばあったような…と感じてしまい、頬が赤くなってしまった。
「まだ!そこまでのことはしてないから!」
「そこまでね〜」
悪い顔をするアリス。
(まさか、あの人間ではないと言われるほどの魔力を持った元国王と元王妃がこんなにリリと仲がいいとは…しかもお爺様お婆様呼び…)
「あぅ…」
リリアーナは顔を真っ赤にしながら俯いてしまった。
「そういや、最近剣の練習してないだろ。ほらリク、教えてあげろ」
「ぎくっ!」
「かしこまりました!」
そしてリクはとってもいい笑顔をし、リリアーナを引っ張った。どうもリリアーナは剣の練習が相当いやらしい。
「お前…剣まで使えたのか…」
カルマは少し羨ましそうに言った。
「そういえば、言ってなかったね。お爺様とお婆様には魔法を教わったの。ゲートもその一つよ。そして…リクには剣を教えてもらって…」
「ほらさっさと行きますよ!」
「いゃぁぁぁー!!」
(リリがこんなに否定するのは相当嫌だということだな。)
上級魔法を…即死魔法をとても楽しそうに使うリリアーナに嫌いなものがあったというのには驚いた。特に北斗は目を見開いていた。
「そう言えば、アーナ様。全然結婚のことも聞いてもなんも反応しませんでしたね」
「いや、元々知ってた。お姉様の行動は全て私も知ってる。魔人族をすぐに倒していたりするところも…」
少し羨ましそうにいうアーナ。
「ほんと、あの子は何をやってるんだろうな…」
「アーナ様は本当にリリアーナ様が好きですよね〜溺愛吸血鬼の姿なんてそうそう見れないですよね〜」
「「吸血鬼!?」」
「?私はアーナ•クリス。吸血鬼クリス一族の一人。」
「クリスって確か…」
「えぇ、クリス一族のことが大好きだった祖父が父の名前をつけたと言われています。」
(吸血鬼は怖い相手だと思われていると思ったが、アークレト王国は元々敬われているから他の国とは違って警戒心がないんだな…)
北斗は納得した。この世界に来てから少し勉強した時に、知ったことがあった。それは、
『吸血鬼族は怖がられているが、アークレト王国は助けてもらったことがあるので吸血鬼族を敬っている。と言われている。』
という、本当かどうかも分からないことは確かめないと分からないので少し頭の隅に入れといたのだ。
「はぁはぁ…やっぱり鬼…」
「やっぱり少しなまってますね。また来月来てください。」
そう汗を流しながらリリアーナに命令する
「ごめんだけど無理だわ。その時大変だもの」
そうため息をつくリリアーナ
「まさか魔人が来るのか!?」
カルマはリリアーナに問う
「違うわよ。私がそろそろ消されるから逃げないといけないのよ」
「消される…?」
そのリリアーナの言葉を聞いた瞬間その場は静寂に包まれた。
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