模擬戦?とアークレト王国
「やるじゃない!」
「お姉様こそ相変わらずですね!」
魔法が次々とお互いに向かって発射させられる。
「えーっと、これは…」
「あ〜、模擬戦です」
「模擬戦?」
カルマと北斗はオリカの話を聞いた。
「はい。俺たち精霊は力が異常なんです。そして、俺達は魔法ではなく、精霊術を使います。」
「精霊術とは魔法と異なるのか?」
「えぇ。でもほとんど同じです。イメージをすれば精霊術が発動する。でも一つ異なります。」
「それは、魔法のように自分では作れないのです。」
カルマと北斗は驚いた。魔法はリリアーナのようなチートだと普通に作れてしまうが、精霊術はどんだけ強くても作れないらしい。
「でも、姉上が魔道具をくれて…それで魔法が使えるようになったのです。」
リリアーナならあげそうだな、と思うカルマと北斗。
「リリとはどこで出会ったんだ?」
「俺たち三人が魔物に追われていて…そこを見た姉上が助けてくれたんです」
すごいな、と思う北斗。カルマもそうだがひとつ気になったことがあった。
「初めて会ったのっていつだ?」
「え~っと、姉上が九歳のころですね。よく家出してましたから」
「え?お前が?」
「いえ、姉上です」
(何やってんだあいつ!?)
カルマは後で事情を聞くべきだと確信した。
「後、いろいろ知り合いいるんで今日そこに行くと思いますよ」
「知り合い?」
北斗が尋ねる。
「えぇ、でも驚くでしょうし、姉上が来てからにしましょう。貴方方でも気絶するかもしれませんね」
「「は?」」
二人は分からなかったが、一旦オリカのことを聞くことにした。
「リリお姉様の勝ち!」
そしてリリアーナ達の模擬戦も終わったようだ。
「さて、終わったことだし会いに行きますか。」
リリアーナは森の中を修復魔法で倒れていた木を戻し、ゲートを開いた。
「そういや会う人って誰だ?」
「秘密だけど、カルマなら知ってるかも」
「俺が知ってる?」
リリアーナの言葉に心当たりがまったくないままゲートをくぐった。
「…ここは!?」
カルマは驚愕した。なんてったって一度行ったことのあるアークレト王国の城にそっくりだったのだから。
「久しぶりね〜、約一年ってところかしら」
その瞬間何かが通った。
「リリアーナ様お久しぶりです。相変わらずの身体能力ですね」
カルマは目を見開いた。なんてったって美女で有名であり、騎士としても勝てる相手は少ないと有名なリク・ナースだったのだから。そしてリリアーナはその目に見えないほど速いパンチを避ける。
(あの有名騎士がなぜここに?…まさか…)
カルマが思ったそのまさかは当たっていた。
「おや?リリアーナじゃないか!」
嬉しそうに早歩きで来る男性。リリアーナは呆れた顔でその男性を見る。そしてカルマは目を見開いて止まった
「久しぶり!キーナおじさん」
(アークレト王国の王様をおじさん呼び…そしてタメ語…)
(これはとてつもない裏がありそうだな…)
カルマと北斗は顔を見合わせため息をついた。まるで本物の親戚のようだ。
「リリ!」
するとドレスで走る女性。
「あの方は…!」
「お久しぶりです。お姉様!」
きれいにリリアーナがカーテシーをするとそのお姉様というものもカーテシーをした。
「何の騒ぎだ?って…あ~リリか」
「リリか…じゃないわよ!お姉様からあなたのことを聞いてどんなに怒りを覚えたか!ちゃんとお姉様のことを考えなさい!この王太子!」
(王太子にそんなこと言っていいのか!?)
北斗は性格が大迷宮のせいで豹変したが、さすがに身の程をわきまえるというのはわかっている。カルマも額に手を当ててため息をついている。
「あの、お話中申し訳ありません。私リリアーナの夫になりました、カルマ・アンナと言います。何卒よろしくお願いします。」
さすが帝国の王太子。綺麗なお辞儀だ。
「夫だと…?」
カルマは何だ?と思い顔を上げるとそこにいた全員が震えだした。
「リリアーナ!結婚なんて聞いてないぞ!?あのクソ王が勝手に決めたのか!?」
「こっちのほうが権力を持ってるわ。さっさと離婚を…」
「ちょ、おじさんもお姉様も焦りすぎ!確かに私の父親が決めたことだけど、カルマとの結婚を決めたのは私だから。大丈夫、何かあったらまた報告しに来るから」
いたずらっ子のような笑顔を見せた。意外とカルマは可愛いと思っていた。
「それならいいが。カルマくんと言ったね。まぁでも初めてではないけどね」
(キーナ国王のふんわり笑顔初めてみたぞ!?)
カルマは少し違うところに驚いた。
「あ、はい。お久しぶりです」
「リリアーナとは父親と娘のような関係でね。まさか半年ぶりにあって結婚なんてしてるとは思ってなかったよ。これはアークレト王国の国王ではなく、リリアーナの父親として聞いてほしい。」
「リリアーナを、娘を頼んだよ」
「はい。リリアーナさんを必ず幸せにします。」
そしてお辞儀をした後二人は握手をした。リリアーナはその姿をみてとても照れていた。その他のものは暖かい目線でリリアーナとカルマ、そしてキーナを見ながら。北斗は目を逸らしていた。
(前世の叔父と叔母の結婚の了承は甥と見たくないな…)
北斗はため息をついた。そしてカルマと北斗はアークレト王国の城で驚きの事実を知ることになった。