表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/20

2.森、進一です。

初投稿作品です。どうぞお手柔らかに。m(_ _)m


 先日、夕方に外を歩いていたら、目の前の壁に4mくらいある人影が、複数シャッって走っていったので、なんだ??と思ったら、学生2〜3人が学校の渡り廊下をシャッって走っていったのが、結構離れた壁に写っただけだったんですね。驚きました。



「うぅん......」


 むくりと体を起こすと、日が当たっていて眩しく感じる。樹々の隙間から日光が差し込んでいた。


 きもてぃー森だなぁ.....


 さっきの白い部屋はなんだったのだろうか。子ども二人もいつのまにか居なくなっている。


 夢でも見てんのか?最近見たことは無かったけどな〜。


 夢だとしても、ここ何処だろうか。辺りを見渡しても、知らない景色が広がっているだけだ。家にも職場の近くにもこんな自然は無かった。


 お約束。頬を目一杯、夢から覚めろと願いつつ叩いてみる。


 パチンッ!


 ただただ頬が痛むだけだった。


 意識もはっきりしているし、今までの出来事も覚えている。夢だとすると、特殊過ぎる夢だ。


 美少年のサラちゃんに美少年のエリアスくん、だったよな。


 白い空間で会った、子ども達の話も全て覚えている。


 確か、鑑定に聞けば何でも分かると言っていた。


 口に出したら良いのか?ちょっと恥ずかしいけど....


 「鑑定」


 ステータスウィンドウ

 名前 鈴木国子

 年齢 15歳

 スキル

 [New!]<鑑定Ⅰ> [New!]<言語取得Ⅹ> [New!]<舞姫Ⅰ>

 称号

 「慈愛神の加護」「舞神の加護」

 ステータス

 HP 12/12

 MP 5/5

 攻撃力 7

 防御力 6

 素早さ 7

 精神力 12


 目の前に、さっきと同じ文字が浮かんだ。


 「本当に出た...」


 子供達の会話を思い出すと、私は20歳で死んで、異世界に15歳として飛ばされてしまった。ということらしい。


 これ、めっちゃ死んだっぽい。


 私の父も、私が生まれる前に死んでしまったらしいしなー。

 

 遺伝かなぁ...お母さん、悲しんでるよな。


 人って呆気なく死ぬもんなんだな。


 死んで実感する事になるとは。


 ダンサーとして一流になって、人気者で、前世での生活はとても楽しかった。友達や、親のことも好きだった。


 順風満帆な良い人生だったと思う。


 自分は死んだと言う現実を突きつけられたのに、不思議と涙は出てこなかった。


 私は懸命に生きたもの。毎日踊って、やりたい事をして、幸せに生きた。


 頭の中で、何度も聞いた音楽を再生する。

リズムに合わせて、以前と同じように踊った。私が、前世の人達に対しての感謝を表せるのは、これくらいだ。


 前世との決別。今までの人生への感謝。


 死んだならしょうがない。また頑張るまでだ。


 一曲終わる頃には今までの迷いが吹っ切れた。全力で子供達に与えられた人生を生きる!


 またダンサーをやろう。トップダンサーになって、子供達の依頼も受けて、この世界にこれて良かったと思えるように全力で生きよう。


 そう固く決心した。


 ピロン♪


スキル<舞神Ⅰ>を取得しました。


 突如として頭の中に音が鳴り響いた。


 浮かんだ文字を読もうとする。


 「なに...?あぁ...消えちゃった。」


 一瞬だけ浮かんでいた文字は、すぐに消えてしまった。


 しかし、今いる場所といい、この文字といい、さっきの子ども達。


 あの子ども達(神様?)の言葉から察するに、地球とは違う場所に飛ばされてしまったという可能性が浮かぶ。


 異世界だとしたら、どうやって生きていけば良いんだ?


 兎に角、今の状況を確認するべく鑑定に頼る。


 「鑑定」

 

 やはり、この言葉を口に出すと、さっきの文字が浮かぶようだ。

 

 もう一度、ステータスの欄を見ると、HPと精神力が突出している。

 

 今まで一晩中踊っていたから、そこだけ強くなったのかな?あれって意外と疲れるからな。


 にしても、ここは何処なのか、今は何年なのか。そもそも年という概念が有るのか。ステータスの効果や、スキルも、分からないことだらけだ。


 「はぁ、不安....」


 ともかく、少しずつ状況を理解していかなければ何も進まない。


 わかることから一つずつ。全力で生きるって決めたんだもんな!


 「鑑定」


 ピロン♪


<鑑定Ⅰ>が<鑑定Ⅱ>にレベルアップしました。


 さっきと同じ音と文字!今度はちゃんと読めた。


 <言語取得Ⅹ>

・言語を理解しやすくなる。最大まで強化されています。 


 <鑑定Ⅱ>

・物の名前と、効果がわかる。


 <慈愛神の加護>

慈愛神に気に入られた物だけが得る恩恵。

・人を助ける時、全てのステータスが50%上がる。10秒持続。5時間に1回使用可能。


 <舞神の加護>

舞神に気に入られた者だけが得る恩恵。

・踊っている時、全てのステータスが20%上がる。

 

 <鑑定Ⅰ>が<鑑定Ⅱ>になっている。<言語取得>はⅩだったから、最低でもⅩまではレベルが上がるのかも。

 

 さっきの機械音は、鑑定の性能が向上したことを告げていたんだろう。


 それに加え、確かレベルアップしたのは、鑑定を使ったすぐ後だった。


 「使用回数でレベルアップするのかな?」


 この考察は正しい筈だ!今のところデメリットも無いわけだし使いまくる以外ない!色々なものに向けて使ってみよう。


 今思い出したが、昔から考え無しに行動していた。そのせいで親を度々困らせたな。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 「鑑定!鑑定!鑑定!」


 走り回りながらそこかしこの物を鑑定していく。新鮮で、童心にかえった様だ。


 <リリス樹>

・建築に適した木


 <石ころ>

・ただの石の破片。


 ふむふむ。リリスというのは地名のようだ。これも鑑定できるのかな?謎解きのようで面白い!


 MP 2/5


 元々5だったMPが1まで減っていた。 鑑定を使うと、MPを消費するようだ。


 一日五回までしか鑑定できないのは不便極まりない。


 MPってどうしたら増えるんだ?


 「鑑定」


 <リリス地方>

・大陸の最西端。


 鑑定の文を更に鑑定できる!


 私がいるのは大陸で、孤島ではないらしい。


 それは喜ぶべきだが、人は住んでいるのだろうか。私も年頃の乙女だ。野宿はしたくない。


 人がいる村か、町があれば良いんだけど。


 サラちゃんの望みは、踊りを広めて欲しいと言う事。私の望みはトップダンサーとして気ままに生きる事。


 サラちゃんと私の望みは、似たところに有る。


 エリアス君の頼みは慈愛の心を広めて欲しい。だったか。それは少し難しい。成り行きでは達成できそうに無い。


 だが、第二の人生を与えてくれたのだから、恩に報いるのが道理だろう。


 まずは人に合わないと始まらないな。


 「人は何処に居るんだーーーーー!!!」


 大声でそう叫ぶと、物音が聞こえて来た。


 ガサッガサッ


 茂みに何かいる。


 「なんだ?人か?猫か?」


 結果。音の主は人でも、可愛いもっふもふのかわかわ猫ちゃんでも無かった。


 「うわっ!!」


 出て来たのは凶悪な顔をしている白い兎。前世でこんな兎は見たことが無いので、異世界ならではの生き物だろう。


 ここは地球とは違うのだ。危険な生物が彷徨いている可能性も考えるべきだった。


 殺気だった兎は私を追って来る。


 とにかく走る!逃げないと殺される。


 「ハァ、ハァ、ハァ」


 ピロン♪


スキル<危機感知Ⅰ>を取得しました。


 タッタッタッタッタ


 力強い足音が近づいてくる。すると背中にピリッとした感覚があった。その瞬間、背中に鈍痛が走る。


 ドンッ!


 兎の攻撃を背中に、モロに受けてしまった。倒れそうなくらい痛い。それでも何とか走り続ける。


 「痛い!これは大ピンチ!」


 ピロン♪ピロン♪ピロン♪


スキル<痛覚遮断Ⅰ>を取得しました

スキル<突進Ⅰ>を取得しました

スキル<耐久Ⅰ>を取得しました


 新しいスキル!何かこの状況を脱するものは無いのか!

 

 探せ...!


 「ッ!<突進Ⅰ>!」


 MP 0/5


 一番使えそうなスキルを咄嗟に口に出す。すると、不思議に体が勝手に動き、兎に向かって突進した。


 うぉぉぉ!何だこれ!


 体の主導権が奪われた感覚だ。


 「ギュィィ!」


 確かな手応えがあった。汚い断末魔をあげ、兎は絶命した。後には石のようなものと、兎の死体が転がる。


 ピロン♪


 レベルが1→2にアップしました。


 「ハァ、ハァ」


 咄嗟の判断だったが、上手くいった。やはり<突進Ⅰ>はその名の通り突進するスキルのようだ。


 「はぁぁぁ....」


 気が抜けてへたり込む。


 「よかったぁ......」


 てか何あの兎。こっわーー。絶対殺しに来てただろ。


 対処できたから良かったものの、二度とこんな思いはしたく無いと思ったのだった。


 しかし、さっきの戦闘でスキルをたくさん取得していた。それに、レベルも上がった。


 「鑑定」


 ステータスウィンドウ

 名前 鈴木国子

 年齢 15歳

 レベル 2

 スキル

 [New!]<鑑定Ⅱ> <言語取得Ⅹ> <舞姫Ⅰ> <舞神Ⅰ> [New!]<危機感知Ⅰ> [New!]<痛覚遮断Ⅰ> [New!]<耐久Ⅰ> [New!]<突進Ⅰ>

 称号

 「慈愛神の加護」「舞神の加護」

 ステータス

 HP 8/20 +8

 MP 5/10 +5

 攻撃力 12 +5

 防御力 9 +3

 素早さ 10 +3

 精神力 20 +8


 スキルが爆裂に増えているし、HPと精神力もかなり上がった。


 このステータスが伸びると、強くなっていく仕組みか。


 これからもこんな奴らと戦うの...?嫌だーー!


 襲いかかってくる動物もいるなんて聞いてない。


 MPは、レベルアップにより5だけ回復したようだ。


 さっきの石と、兎を引きずり歩く。


 何処か良い隠れ場所はないかと周囲を探すと、丁度良い洞窟があった。


 幸運だった。


 「ここで寝よう。」


 絶対首がバキバキになる。だが、あんな兎に攻撃されるよかましだ。

 

 中はひんやりとして気持ちいい。草や木で入口を隠せば、敵も見つけられない筈だ。


 「鑑定」


ステータスウィンドウ

 名前 鈴木国子

 年齢 15歳

 レベル 2

 スキル

 <鑑定Ⅱ><言語取得Ⅹ><舞神Ⅰ><舞姫Ⅰ><危機感知Ⅰ><痛覚遮断Ⅰ><耐久Ⅰ><突進Ⅰ>

 称号

 「慈愛神の加護」「舞神の加護」

 ステータス

 HP 1/20

 MP 5/10

 攻撃力 12

 防御力 9

 素早さ 10

 精神力 20


 ステータスを開き、じっくりとスキルの効果を読み込む。


 まず突進だね。

 <突進Ⅰ>

・敵に突っ込む。


 敵に突っ込む、だけだ。これじゃ何もわからない。


 鑑定がレベルⅡだから、とか?


 ならば.......


 「鑑定鑑定鑑定鑑定」


 そこらの植物や、生き物を鑑定しまくる。

 

 <薬草>

・傷を癒す


 <魔石>

・魔物からドロップする石


 新しく発見した物が二つあった。他は前世でも見知った植物達だった。


 「魔石はさっきの兎から落ちたやつか。あの兎は魔物っていうのね。」


 薄い紫色で、綺麗だったので拾っておいた。


 傷を癒すため、むしゃむしゃ薬草を食べてみる。すると、体の痛みが少しマシになった。


 HPも僅かに回復していく!


 「凄い!まだまだ生えてるから、摘んでいこう!」


 適当な葉っぱと木の蔓を合わせて、小さな鞄を作り、その中に入るだけ詰め込み、魔石も入れておいた。


 らんら〜ん。なんか楽しい。


 無くならない様に気をつけながら大量に摘んだ。


 森の恵みに感謝!


 その後も鑑定をしまくった。10個ほど鑑定したところで、


 ピロン♪


 <鑑定Ⅱ>が<鑑定Ⅲ>にレベルアップしました。


 「おぉ〜!」


 これにより、より詳しい効果がわかるようになった。


 <危機感知Ⅰ>

・攻撃を加えられた時、当たる前に認識できる。


 <突進Ⅰ>

・敵に突っ込む。一時的に加速し、素早さの二倍の速度で突進する。消費MP1


 <耐久Ⅰ>

・自身の耐久力を5%底上げする。消費MP毎秒1


 <痛覚遮断Ⅰ>

・痛覚を感じにくくする。


 今のところ、使える攻撃手段は<突進Ⅰ>だけだ。


 さっきの兎も鑑定してみる。


 <下位兎( レッサーラビット)

・兎種の中で最も弱い。食物連鎖の底辺にいる。


 さっきの兎、最弱なの!!?


 最弱に大分苦戦した気がするけどね。これは先が思いやられるぞ。


 待てよ?一つ効果が分かっていないスキルがあった!


 「そうだ!!」


 ずーっとスルーしていたが、神様から一つスキルを貰っていたのだった!字面だけで選んだスキルなので、どんな効果かは知らないけど。


 (<舞姫>なんて強そうな名前!敵を一瞬にして殲滅できるスキルかもしれないな!)


 強くなれるスキルだと予想してわっくわくで鑑定を発動させた。


 ドクンドクン


 チラッ


 <舞姫Ⅰ>

・速く踊れる様になる。スキルレベルが上がる度、素早さにバフがかかる。Ⅰ→1.2倍、Ⅹ→4倍 消費MP 毎秒1


 ガビーン


 ()()()()()()()()()()()のスキル.......


 全く役に立つ未来が見えない!!絶対に選択を間違えてしまった感がある。


 なんだこのゴミスキルーーっ!!!


 スキルを選ぶ際、勇者や魔王、賢者といった、明らかに戦闘に適してそうなスキルもあった。こんなに危険だと知っていれば、そっちを選んだのにっ.......


 今更言ってもどうにもならない事はわかっている。分かっているが....


 ミスったーっ!!絶対ミスったー!!


 (まぁ、トップダンサーになるときには役に立つスキルだ....落ち込まず、気を取り直して行こう.......)


 やっぱり自分はこの森で最弱なのでは?


 第一の目標に、トップダンサーより、子供達の依頼より、最低限強くなる事が設定されたのだった。


 しょうがないしょうがない!子供達もわかってくれる筈!


 それに、依頼を達成させたいならもっと強くしてから送らないとダメだよな。


 本当にその通りだ。あの二人は私を本当に生きさせる気が有るのか??


 ゴミスキルを選んだのは私だけど。二人は強そうなスキル選ばせてくれようとしてたけど。


 誰も頼れる人が居ないとなると、自分で生き残る道を考えるしか無いだろう。それにはスキルや攻撃手段が必要になってくる。


 <耐久Ⅰ>は、命に関わるスキルのようなので、出来るだけ優先してあげていきたい。

まだ、明確な上げ方がわからないのでどうにもならないが。


 もしや、敵に攻撃されないと上がらない...?


 まさかね....へっへっへ


 そんな、嫌な想像をしていると、最初は無かったスキルが増えている事に気づいた。


 「あれ?」


 <舞神Ⅰ>

・$&@硪*¥=%。#+*(/


 文字化けしていて、効果が読めなくなっている。


 「んーーー?」


 最初らへんに見逃したやつか?


 そうこうしているうちに、日が暮れ始めた。森は段々薄暗く、不気味になっていく。


 夜は魔物が出てきても見えないから外にいるのは危険過ぎる。


 洞窟に入って、暫くは月を眺めていた。今が何時かわからないが、せいぜい8〜9時にしかなっていないと思う。少しも眠く無い。

 

 踊れば丁度良く眠くなってくるだろうか。毎晩踊るのが習慣になっていたので、踊らないと気持ち悪い。


 一曲くらい踊ってから寝るか。


 可哀想だし<舞姫Ⅰ>も使ってやろう。心なしかスキルも嬉しそうだ。


 「<舞姫Ⅰ>」


 まだ一度も使われて居なかった<舞姫>を使って、1.2倍速のダンス。今回はランバダを踊ってみる事にした。一人で踊るランバダ程寂しい踊りはないな。


 (って...あ...れ....?)


 強烈な眩暈がした後、そのまま地面に倒れこんだ。立ち上がれない。


 (なにが......起きて......)


 そこで私の意識は途絶えた。


 


読んで下さりありがとうございます!

良ければブクマ、☆、宜しくお願いします。( ^ω^ )ノ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ヒットポイント表示逆転してる MP使って無いwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ