18.諸悪の根源
後ろで扉が開く音がした。
「ザールッ!そこに居ったのか!サリー、サンドラまで...!」
「アリスは人間に殺されたんだ。」
「なんじゃと!?」
「なのですっ!?」
「「...!?」」
「そうだよ、醜い人間に殺されたんだ。」
俺らはいつも通り迷宮の一層で魔物を倒していたんだ。ルークの死があって、もう絶対に仲間を失いたく無いと思って、慎重に慎重に、戦ってたんだよ。
するとどうした?迷宮の中で地響きの様な大きな揺れがあって、全員倒れたんだ。
私達は、地震かも知れない、迷宮が崩れたら危ないと言って、外に出ようとしたのよ。
でも、人一倍優しかったアリスは、怪我人が居るかも知れないって、下の階層に走って行ったの。
アリスは少しだけ回復魔法が使えたんだ。
俺らも仕方がないから着いていった。すると、さっきの揺れは地震じゃなく、魔物の暴走だったのさ。十階層で発生したらしいが、もうニ階層までいろんな魔物が上がって来ていた。
なんとか逃げようと死に物狂いで、周りの事なんてかんがえずに行動する醜い生き物達が俺らを押し退けて行くんだ。
そんな中でもアリスは怪我人を探して、回復魔法をMPが切れる寸前までかけてあげていたわ。
そうすると、もう直ぐ後ろに魔物の大群が迫ってんだよ。回復した怪我人と共に上に上がろうとした。
そしたらな、さっき魔法かけて助けた冒険者の一人がアリスを下へ突き落としたんだよ。
囮が居ないと俺らが殺されるっつってな。
そこから俺らは何をするにも無気力になったさ。人間は助けても平気で裏切る。こんな奴等を命を懸けて魔物を倒して助ける意味はあるかって思ったさ。
「その後は、お前らが見た様に、金の為、安全の為に冒険者としてやってきた。」
「もう何も考えたくないの...辛い思いもしたくないの...」
「わかった!?もう私達に関わらないで!この世界に絶望したのよ!!」
「お前らの高尚な信念は良いと思うぜ。だがいつか俺らの様に絶望する事になる。」
「一週間、普通にやり過ごせばいいの....もう何も聞かないで....」
加害者だと思って居たが、三人は被害者だったんだ。
変わってしまった三人の様に、この世界にはもっと同じ様な被害者が居るのかも知れない。
突き飛ばした冒険者も、もしかしたら善人だったのかも知れない。
そんな状況に追い込んだのは、魔物の暴走、魔物が原因だ。ミーヤの村が潰されたのも、竜の魔物の仕業。
魔物を生み出したのは....?
「魔王って...何者ですか....」
「伝承の本じゃ。これに魔王が出てくる。読むが良い。」
三人で覗き込み、本を読んだ。
「神話〜魔神誕生〜 著・トト」
何万年も前から、この世界には、沢山の神々が存在しました。神は生まれ、消え、生まれ、消えを繰り返し、人間の生活と密接に関わる神だけが栄えてきました。
中でも、私達をお創りになった人神、獣人をお創りになった獣神は、我々に加護と呼ばれる福音をお与えになり、我々が繁栄するにつれ、大きな力を得ました。
神々が生まれ、消えて行く中、一柱の神が生まれました。
その神は、人間の悪の心や憎しみから生まれました。その名を魔神。最初は小さく、何も害のない神でした。魔神はいずれ消えて行くだろうと思われていました。
その頃天界と呼ばれる、神々の住まう場所では、人神と獣神が対立していました。
それに呼応する様に、地上でも、人間と獣人が対立していたのです。
地上での争いの中で、人々の心に憎しみや、悪い心を持った人間や、獣人が生まれました。
すると、魔神は人々の心を養分に力を吸収し、蓄え、どんどん力をつけていきました。
その力は天界のどの神よりも強くなってしまったのです。
魔神に危機感を抱いた天界の神は、人神と獣神の争いを終わらせて、皆で魔神を封印する事にしました。
神々は力を合わせて魔神を封印し、封印した神聖な力を宿すペンダントを、地上の聖域に隠しました。
しかし、封印される寸前、魔神は自身の半身に自身の魔力全てを込め、切り離し、地上へ飛ばしたのです。
その切り離された半身が魔王です。半身とは言え、魔神の邪悪な魔力を全て受け継いだ魔王は、魔神を復活させる為、世界に災厄を振り撒き、人々の悪の心を育てています。
しかし、神はそれを許しませんでした。神々は地上の民に加護を与え、神に選ばれし、優れた五人が魔王を封印しました。
しかし、悪の心を養分とし、魔王は何度も姿形を変えながら復活するのです。約一千年毎に一度魔王が復活し、魔物を生み出し、災厄を振り撒きます。
もし魔神が力を蓄え終われば、この世界を滅ぼすでしょう。
「これ、ミーヤ読んだことあるのです!獣神様の神話ですが、そこにも魔神は悪い神だと書いてあったのです。」
「そうじゃの。色々な神話にも、魔神が魔物や魔王を生み出し、魔王が又魔物を生み出して居ると書いてある。」
「ですが、学者は空気中の魔力から生まれると言っていますよね?」
「それは正しいのじゃ。だが、意図的に空気中の魔力を濃くしたり、自然にでも濃くなれば、魔物は生まれやすくなる。恐らく魔王はそれを利用して魔物を生んでいるのじゃろう。」
「ほりゃ、神話に興味があるならやろう。他の本も自由に読みに来るが良い。」
「ありがとうございます。」
獣神は本当に居る事から、神話は史実に基づいているんだろう。少しはフィクションが入ってるかもだけど。
こう言う話を読むのは好きだし、時間がある時にでも頭に入れておこう。
「また来させて貰います。」
「うむうむ。」
「おじゃましたのです。」
「お邪魔しました。」
帰り際、村長は私達に向かって言った。
「あいつらの事を頼んでも良いじゃろか...根は良い奴らなんじゃ。」
「はい。」
「本当か...ありがとうのぉ。」
その時の村長の顔は、安堵そのものだった。
外はすっかり真っ暗になっていた。少し肌寒い。ギルドが取ってくれていた宿に戻って、今日のパーティ会議だ。
ステータスウィンドウ
名前 ナーフ
年齢 15歳
職業 魔法使い
レベル 12→13
スキル <器用Ⅹ><料理Ⅴ><魔力操作Ⅱ><魔力適正Ⅱ><鑑定Ⅱ><隠蔽Ⅰ><速度上昇Ⅱ>
称号「守護者」
ステータス
HP 97/97 +10
MP 193/193 +20
攻撃力 84 +7
防御力 75 +6
素早さ 90 +10
精神力 200 +23
名前 ミーヤ・ムーシャ
年齢 7歳
種族 獣人
レベル 6→10
職業 無し
スキル
[New!]<短剣術Ⅱ><速度上昇Ⅰ>
称号「特異体質」「獣神の加護」
ステータス
HP 135/135 +56
MP 95/95 +40
攻撃力 160 +59
防御力 56 +17
素早さ 136 +60
精神力 60 +40
ミーヤはもうナーフに追いつきそうな勢いで成長している。「特異体質」のお陰?成長期なのかも知れない。
因みに私は成長してませーん。なんでーなんでー?
成長が激しいミーヤも、獣人なのに、何故か防御力だけあまり上がってない。
うーん...謎だ。前見た奴隷のライオネルは防御力が高い傾向にあったと思うけど...
「どうしてでしょう?防御力が上がらないのです...」
「うーん...ていうか、ミーヤなんか大きくなってない?」
「なのです?」
「確かにー。十歳位に見える。」
「嬉しいのです〜。」
嬉しいのです〜とか呑気な事言ってる場合じゃない位大きくなってなる気がする...恐るべし称号パワー...
「今日の議題はズバリあの三人についてだね。」
「どうするのです?」
「腹割って話すしか無いでしょー。」
「火に油を注ぐだけだと思うよ?あんなに怒ってたんだし...」
「ナーフの強みは頭が良く回って、計画を練れる所だと思う。いつも指示を出してくれるし、助かってる。でも、理屈だけが全てじゃ無いでしょ?」
「でも...関わって欲しくないって言ってたじゃないか。」
「私は、話したいよ。あの三人と。世の中には悪い人ばかりじゃないって教えてあげたいよ。」
「それは僕もだよ...」
「私もなのです...」
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パタン
部屋の扉を静かに閉めた。
「ねぇ....私達….」
「サンドラ、俺らはもう良いだろう。皆んなで決めたじゃないか。」
「そうよ。仲間の事だけを考えればいいの。」
「それが一番、悲しく無い。」
読んで頂きありがとうございます!(*'ω'*)
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