依頼をこなそう
「奴隷って……自分が何を言ってるのか分かってるのか?」
ミューは俺の言っている事が理解していないかの様に首を傾げる。
「戦力、労働力、用途豊富で絶対に裏切らない僕ですよ?」
「奴隷の売買は昔に廃止になった筈だろ」
「今でも闇市で売りさばかれてますよ?」
「確かにそういう話題は偶に聞くけど、検挙されたら売った側は当然、買った側も逮捕されるだろ」
まさか、占い師だから浮世離れしてるとかじゃないよな?
「確かにそうですね」
あれ? 引き下がった?
「ではまずは三人でパーティを組んで、依頼をこなしていきましょう。やり続けていけば自ずと道は開けるはずです」
ようやく占い師らしい事を言ったな……。彼女の言う通り生きて行く為にも、依頼解決の仕事で生計を立てて行かないとな。
「分かった。ありがとうミュー」
「ミューちゃんありがとね。それでお代は……」
「今日はタダでいいですよ。その代わり……」
ミューが指と指を絡めて、上目遣いで一言。
「また来てくださいね」
可愛い。
「そうだ、ウチくる?」
館を出て数分後、シオンが唐突に言い出し彼女は続けて言い続ける。
「宿屋なんだけどさ私、久しぶりにコーディくんとお風呂入って、一緒に寝たいって思ってたし」
「確かに昔はよくやっていたよな」
「二人共、私がいるの忘れてない?」
セリカが不服そうに見つめる。
「セリカちゃん、いいでしょ?」
「う~ん羨ましい」
「幼馴染とかいなかったのか?」
「いえ、男の友達はいなかったから。いじめっ子とかをブッ飛ばしてたら誰も寄り付かなくなって」
子供の頃から腕っぷしはあったんだな。そう感心していたらシオンが話題を元に戻す。
「それでさっきの事だけど……」
確かに彼女の言う通り、今の俺に行く当てはない。だったら今は厚意に甘えさせてもらおう、一日一宿の仕事は明日から返していくんだ。
「いいよ。積もる話もあるしな」
「やった! 行こ行こ!」
「私も行くよ!」
シオンが俺の手を掴んで走り出し、俺とセリカも走り出した。