四人で過ごす夜
「ここが私達の宿で……」
宿屋でシオンの案内を黙って聞くアリシアナ。
二人はアリシアナに友好的で、二人に押されて渋々仲間にしたが飄々とした態度といい謎が多い。
今、最後尾を歩いている事もあってか、楽し気な三人を後ろから睨みながらそんな事を考えていた。
「コーディさっきから顔が恐いよ」
「ああ……」
俺から一番近かったセリカが声を掛けてきて俺はそれに応対する。
「まだ信用してない?」
「ああ、不自然な気がしてな……」
「そうかな?」
「そもそも、二人は何ですぐに仲良くなれたんだ?」
今の一番の疑問点だ。セリカは分からないが、シオンが俺以外の事でおねだりしてくるなんて珍しいからな。
「う~ん……勘?」
「女の勘って奴か?」
「そんな所!」
不本意だがこれ以上聞くとしつこく思われそうだし、この話題はここで終わらせよう。
「ベッド割りはセリカちゃんと一緒でいいよね」
「ワタシはいいよー」
向こうも終わったみたいだな。
「それでワタシは何すればいい?」
やる気になっているなだったら……。
「俺と一緒に夕飯を作らないか?」
「おお、嬉しいね。いいですよーっと」
「そういう事だ。二人は風呂なりなんなりしててくれ」
それだけ言うと俺はアリシアナを連れて、共有キッチンに向かった。
昨日の一件で報奨金もたんまりだからな。今日の夕飯はステーキサンドにサーモンを使ったバター焼き、焼きりんごだ。
「ワタシ料理とか得意だからさ、何なりとお申し付けちゃってもいいよ」
「じゃあその都度その都度に言うからな」
今は牽制だ。タイミングは中場だな。そう決めて俺は料理に集中する。
サーモンは橙色の身が魅力な魚だ、それに牛を使ったバターはかなりレアだからな魅力×レア。これで不味いなんて考えられない! 焼きりんごはシンプルでメジャーなデザート、けれどそれ故に最高の調理方法、味付けが一人一人異なってくる。三人には何が合うか分からないから、取り敢えずシンプルに丸焼きに砂糖塗しでいこう。
「おっ焼きりんごですかー」
「好きなのか?」
「勿論、赤いデザートキングだからね。ちなみにワタシとあの二人の好きな味付けは、丸焼きの砂糖塗しだよー」
「いつの間に知ったんだ?」
「さっき話してる時に教えてくれた」
いつの間にそこまで……。二人に先を越された感覚がして妙な敗北感を受けていると、アリシアナが話しかけてくる。
「んじゃ、ワタシの腕前見せますか」
ここらで出るか……。
「本当に料理が上手いんだな」
「まー、奴隷落ち前は料理人目指してましたから」
「何で落ちたんだ?」
「んー