仲間が出来ました
「え。えぇ⁉」
とんでもないことを言い出したぞ!
「貴方が面倒を見てくれるのですか?」
「え⁉ ええっと……」
神父も聞いてくるし何て言えば……。
「コーディくん、面倒云々の前にミューちゃんに話さないと」
「ああ、そうだったな」
「どうかしたのですか?」
「いえ、ちょっと知り合いに会ってもらおうと思いまして」
「そうでしたか。彼女の事、大事にしてあげて下さいね。でないと……」
夜道に気をつけろ的なか? そんな事はしないから自信を持って言った。
「大丈夫です。彼女は守りましょう」
「……素晴らしい心掛けです。皆さまに慈愛のご加護を……」
俺達の為に祈ってくれる神父にお辞儀をして俺達は教会を後にした。
「で」
喫茶店でテーブルを囲んで話をする事になり、視線三人分を受けても問題の人物は特に気にした様子を見せずにサラダを食べている。
「何で俺が面倒を見ると話したんだ?」
「ん~、直感? この人になら全幅の信頼渡してもいいかなって」
セリカといい、俺の周りの人不用心すぎないか?
「あのな、お互いに知らないのに簡単に渡すなんて言うな」
「何だったらあのまま奴隷になっても……」
「冗談でも、行っていい事と悪い事がある」
怒気が篭ったのが自分でも分かったが、それでも彼女はマイペースを崩さない。
「とにかく、その様子なら社会復帰なんて一瞬だし俺達に関わる必要が無いだろ」
「ね~、お願いしますよ~。ご奉仕もするし、腕に自信もあるし……損はさせませんから~」
食い下がってくるな……ん?
「腕に自信がある? 奴隷なのに?」
「魔物の露払いをやらされた時もあるんですって」
何だか聞いている内に怪しく思えてきたな……そもそも捕まっていたのになんでこんなに余裕でいられるんだ?
「アンタ……何で余裕なんだ? もう少しで人生奪われていたんだぞ?」
「キミ達ってミュリゼリアの遣いでしょ?」
「ああ、元はと言えば、アンタを助けて欲しいって依頼を受けたのが始まりだが……」
「そこ、ワタシはミュリゼリアを信頼していたから。絶対に助かるって確信していたからココロは余裕一杯でいれた訳」
う~ん……。
「二人はとても信頼しあっていたんだね」
「私もそれっていい事だと思う!」
何故か二人もアリシアナの事を称賛しているし……。
「彼女、いい子ですよ」
「うわ⁉」
突如、耳元から囁き声が聞こえ、飛び跳ねて後ろを見るとミューが立っていた。
「ミュー……いつの間に?」
「買い物に出かけていたら皆さんが話している所を見ましたので……」
「音もなく近づくなよ……」
「確かに、私も気配を全然感じなかったよ」
俺の向かい側に座るシオンも感心している。シオンの言う通り気配察知には自信があったつもりだが、簡単に近付けられるなんて……もしかして彼女、只者では無い?