計画を立てよう
そうか、彼女がミューが言っていた人物か。
俺は知らないふりをしつつ屈んで、檻の中のアリシアナを見る。
「へぇ……可愛いね。して、お値段は?」
「新品、生娘、これだけでも十分価値はありますからね。しめて298万でしょうか」
何故中途半端なんだ。どちらにせよ今の俺達には手の届かない金額だ。
「お値打ち……と言いたい所ですが、今日は手持ちが無くてね……」
「それは残念ですね」
「出来ればキープとか……出来ますか?」
「それでしたら、一日ごとに十万加算していきますが……」
まあ、踏み倒してしまえば実質タダだしな。
「分かりました。決まり次第、持っていきますね」
そう言って、笑いながら三人で闇市を出たのだった。
「またのお越しをお待ちしております」
「どうでしたか?」
闇市から撤退して占い屋に来た俺達はミューに内情を語った。
「見つけて後は、壊滅だけだと……」
「あのさ、前に聞きそびれたんだけどさ」
セリカがミューに聞く。
「何で紹介状を持っていたの? あのローランって人は誰?」
「まあ職業柄ですからね、ちょっとお借りして……」
「急いで解決させよう」
そのローランって人が盗まれた事に気づいて、俺達が名を騙っている事に気づいたら大変だ。
「ていうか、あの場で大暴れすれば良かったんじゃないかな?」
「いや、用心棒や魔物をけしかけてくる可能性がある。それに店主の実力も分からない」
「無いのではないでしょうか?」
「人は見かけによらないだろ」
全員で腕を組んで考えて、俺に一つのアイデアが降りた。
「そうだ、警備団」
「え?」
「警備団を応援に使うんだ」
「どういう事?」
セリカが聞いてくるので俺は一から雪系をする。
「まず一人は警備団の駐屯地に向かってくれ。そこで騒ぎが起きているから来て欲しいと頼む。二人は、闇市に行って店主から鍵を奪う。そこで誰か一人が奴隷を解放して連れて逃げる。闇市から飛び出した所を警備団の人に話して突撃させる。これで客が反抗した結果、たまたま通りがかった警備団の人に御用となるって訳だ」
「私はコーディくんがいいって言うならいいよ! それで配役は?」
「俺が鍵奪いと戦闘に回る」
「だったら私も!」
「いや、危険だし俺一人でやる」
「え~! お揃いが良い!」
「セリカは解放担当だ。一番足が速そうだしな」
「確かに私は速いけど……いいの?」
「ああ任せる。それでシオンは呼び出し担当……」
「待って下さい」
三人の話に入って来たのはミューだ。
「どうした?」
「今回の一件は私が持ち込んだもの、無償でやってもらう訳にもいきません」
「いや、こっちは好きでやってるんだ。無理をしなくていい」
「いえ、お手伝いをさせて下さい。私が呼び出しに回ります」
「だから……」
「本当⁉」
断ろうとした俺を止めたのはシオン。
シオンは目を輝かせながらミューに近づいてもう一度聞く。
「私も一緒に戦って良いの⁉」
「ええ、一人でも限度がありますからね。コーネリアさんの手伝いしてあげて下さい」
「やった! ありがとう、ミューちゃん! お揃い♪お揃い♪」
本当に俺と一緒になると嬉しそうだな。
「作戦は明日だ。今日はもう英気を養おう」
そう言って俺達は占い屋を出るのだった。