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リベル教会に行く の1

エクレール領では、子供は6歳になった年に街の教会で礼拝を行うのが慣例になっている。

6歳を迎えた子供の礼拝は毎月の6日と決まっており、今日はリベルが両親とともに礼拝に行く日。

まだ小さいフラー二とルミニーは遠出できないので、リアの家で預かってもらうことになっている。


リベルもリアも出来れば一緒に行きたかったが、ここは我慢。

リアは今日は双子と一緒にお留守番。礼拝は来月の6日に行くことになった。

もちろん当日の天気次第だが。


さて、最近は毎月街に行っているリベルだが、ムウンとは行ったことがない。

なので今回が初めて。しかも両親と一緒のお出かけなのだ!

話を聞いた昨晩から、もううっきうきのリベルである。

そしてもちろんエイミースもうっきうきだ。ちょっと知り合いには見られたくないであろう表情で、リベルの後ろをついて回っている。


「じゃあ兄貴、すまないが二人の面倒を頼む」

「義兄さん、義姉さん、二人をよろしくお願いします。フラー二、ルミニー、ちゃんと叔父さんと叔母さんの言う事を聞いておとなしくしてるのよ」

「「はぁい」」

双子は揃って手を挙げて元気よく返事をする。

ちなみにフラーニが挙げたのは右手、ルミニーは左手だ。だからどうと言う訳ではないが。


「ああ。二人ともいい子だから何の心配もいらないよ。リベル、今日はたくさん甘えといで」

「帰ったらどんなだったか聞かせてね。来月は私の番だから」

「うん、分かった。じゃあ行ってくるね」


今日はいつもと違って荷車は無し。

そして、3人とも今日のためにムウンが用意したお洒落な服を着ている。

最近はリベルの家にも毎回来るようになった例の商人から、良い生地を買うことができたのだ。

その資金にはリベルの絵の収入も含まれている。

リベルは家計を助ける親孝行な6歳児なのだ。


そのリベルを真ん中に、左右それぞれの手をつなぐゴウンとムウン。

3人とも幸せそうだ。そしてリベルは珍しく落ち着きがない。

「リベル、今日は疲れても荷車が無いぞ。まだ街まで遠いから少し落ち着いて歩こうな」

「はーい!」

返事はするがあまり変わらないリベルの様子に『帰りは背負(おぶ)って歩くことになりそうだ』と覚悟を決めるゴウン。頼れる父親である。


そうして街道を歩き続け、ようやく街に着くリベルたち。

今ではすっかり顔見知りになった門衛に挨拶する。

「おや、リベルじゃないか。今日はお母さんも一緒なのかい」

「こんにちは門衛さん。今日は6歳の礼拝に来ました」

「そうか、リベルも6歳になったか。おめでとう」

「はい、ありがとうございます」


リベルの挨拶を両親は都民証を見せながら嬉しそうに見ている。

その両親に向かって、

「確認オーケーだ、入ってよし。しかしいつも思うがしっかりした子だな。親として鼻が高いだろう」

「ええ、良く手伝いもしてくれるし、助かってるよ」

「まったく、うちの子もこれくらいしっかりしてくれたらなあ」


門衛のボヤキを聞きながら3人は街に入る。

街は今日もいつもどおり活気に溢れている。


「さて、まだ少し時間があるな。どうするか」

串焼き屋台の親父が『来るか?』と身構える!

「あなた、久しぶりだから雑貨屋さんに挨拶していきたいわ」

「そうか、そうだな。じゃあそうしよう」

親父、肩を落とす。残念!


そうして3人は雑貨屋に向かって歩き始めた。

周囲の邪魔にならないよう、リベルはムウンとだけ手をつないで。


「うーん、ここに来るのはずいぶん久しぶりね・・・こんにちはー」

「いらっしゃ・・・ムウンじゃないか!いや久しぶりだねぇ!元気にしてたかい」

「ええ、久しぶりね。いつも私の小物を置いてくれてありがとう」

「何言ってるんだい。あんたの小物は大人気でこっちこそ助かってるよ!それで今日はどうしたんだい?まだそれほど日が経っていないけど。」


「今日はこの子の6歳の礼拝よ」

「そうかいそうかい。それでそんな綺麗な格好してるんだね。随分と良い生地の服じゃないか」

流石布を使った雑貨も数多く取り扱っているだけあって、実に目敏い。

「ありがとう。リベルにとっては一度のことだから、奮発して良い生地で作ったの」


「あんたが作ったのかい。そりゃ仕立てがいいわけだ。良かったなリベル、こんないいお母さんはなかなかいないぞ」

「うんっ!」

母親を褒められてとても嬉しそうなリベル。


「さあ、もうそろそろ行ったほうがいいんじゃないかい」

「あら、もうそんな時間?じゃああなた、リベル、教会に行きましょうか」

「そうだな。じゃあ今度は次回の卸しで来るよ」


「おや、まだゴウンが来るのかい?」

「ああ、下の子たちがまだ小さいからな。残念だろうが当分は俺だ」

「何言ってるんだい。あんたみたいないい男が来るならそれはそれで大歓迎さ。リベルも可愛いしね。さあ早いとこ行った行った。遅れちまうよ」



そうしてリベルたちは、6歳の子供とその親たちが集まる教会に到着した。

そう・・・その神の使徒とともに。


下の☆☆☆☆☆で評価してくれたら嬉しいです。まだ誰もしてくれてないので(涙)


カクヨムで「神様はお客様ですか?」やってます。「うちの勇者」とゆるーくリンクしてますので、よかったらご一緒にいかがですか?


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