リベルは大臣
リベルの弟と妹が生まれて半年ほど経った。
双子の名前は、弟がフラー二、妹がルミニーである。
ゴウンとムウンがそれぞれ案を出しあい、今回はどちらもムウンの出した名前で決まった。
リベルの名前をつけるときには力が入りまくって教会にまで相談に行ったゴウンだったが、それだけに今回は最初からムウンの考えた名前にしようと考えていた。
一方でムウンは、せっかく双子なのだから揃って双子らしい響きの名前にしたいと思い、ペアで用意した幾つもの案から、フラー二とルミニーを選んだのである。
2人目からは親も多少冷静になる。
それが逆に作用して、3人目辺りから適当とも思えるような名前を子供につける親もいるが、きちんと子供のことを考えて名前をつけたゴウンとムウン。
その様子も、天使はきちんと見ていた。
――さすがノーラ・ノーラ様がリベルの両親にと選んだ2人ね。もしリベルの感性が歪むような、無駄にキラキラした名前を付けようとしたら、どうやって誘導しようかと思っていたけど、いらない心配だったわ。
などといった一幕も、もう半年前のことである。
この間5歳の誕生日を迎え、今ではすっかりお兄ちゃんの顔となったリベル。
今日も双子のそばを離れない。
その横にはリアもいる。
リベルが双子のそばにいたがるため、自然とリベルの家で過ごすことが増えていた。
もちろん、ふたりとも大きな声や物音で赤ん坊やムウンの昼寝を邪魔するようなことはしない。
気遣いを覚えたお兄ちゃんとお姉ちゃんだった。
「リベル〜、リア〜、そろそろお昼ご飯にしましょうか」
「あ、お母さんおはよう」
「フラー二とルミニーを見ててくれてありがとう。ふたりともお腹空いたでしょう?」
「ごはん手つだう」
「わたしも」
今日はリアの両親は夕方まで農園から戻らないため、リアはリベルの家で昼食を取ることになっている。
「じゃあ2人ともお願いね。私は朝のお肉スープを作り足すから、リベルとリアはサラダとパンをお願いね」
「「はーーーい」」
今ではリベルはサラダ大臣だ。
レパートリーも増え、今日ある野菜からサラダに使えるものを選び、組み合わせることもできるようになった。
ただし、包丁で切るのはまだ任されておらず、今でもムウンの役割のままである。
リベルの指示でムウンが切る、故にリベルがサラダ大臣。
「お母さん、今日はだいこん入れよう」
「あらいいわね。さすがリベル、今年の初物だからきっと甘くておいしいわね」
「うん、ひさしぶりのだいこんサラダ、たのしみ~」
「じゃあ切るわね。何かけて食べたい?」
「んーーーーっと・・・、スープにすっぱいのいれたやつ」
「お酢ね。じゃあお肉スープを少し分けて煮詰めておくわね」
「リベルすごーーい」
母親と対等に料理の話をするリベルの姿に感動するリア。
帰ったら自分も家で料理の手伝いをしようと決意する。
そしてふたり並んで野菜をちぎり、パンを並べたら、
「「「いただきまーす」」」
食べればもちろん
「「「おいしいね」」」
みんな大満足のお昼ごはんだった。
もちろん食べた後はみんなで食器を洗ってお片付け。
子供ながらにちゃんとわかってるリベルとリアであった。
そして。
――いつか私も一緒に食事できたらいいのに。まあ無理なのは分かってるんだけどね。
今日はちょっと黄昏気味のエイミースであった。