表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/36

まずは勇者を探そう の2

交差点。それは知る限り最も勇者遭遇率の高い場所。


あるときは「たまたま」小さな子供を助けるため、あるときは「たまたま」前方不注意のトラックに遭遇し、あるときは「たまたま」体調が悪く赤信号に気づかない。


「来た・・・」

そんな交差点で、早速勇者に出会うチャンスがやってくる。

どことなく疲れたような顔をした高校生男子が信号待ちをしていると、その横を少女がボールを追いかけて車道に飛び出した。


そこに運悪く大型トラックが通りかかり、気づいた少女が道路の真ん中で小さな体をこわばらせる。

それを見た高校生男子は、おそらく今まで一度も出したことがないであろう速度で飛び出して女の子を突き飛ばし、そして・・・


「消えた・・・」

目の前で消えた。

運転手が急停止したトラックから降りて少女に駆け寄る。

周りで目撃した人たちも少女のもとに集まり、無事な様子に胸をなでおろす。

顔をこわばらせながらも立ち上がり周囲に笑顔を返そうとする少女。


そして誰一人として消えた男子高校生には意識を向けない。

目の前で一人の人間の姿がいきなり消えたというのに。

まるで最初からそこには少女しかいなかったかのように。


「これは一体・・・」

つぶやきかけて気づいた。

「だれかに先を越されたのか」


そう、これが召喚の現場なんだろう。

彼はたった今他の世界に召喚されていったんだ。


きっと今頃はどこかの白っぽい部屋で呆然としているところに召喚した神あたりが説明を始めるところだろう。

それともどこぞの王城の一室で魔術師や王女たちに囲まれているのだろうか。

説明もなくいきなり召喚とは何て荒っぽい。


こうなってはどうしようもない。

せめて彼を召喚したのがまっとうな相手であることを願うだけだ。



その後いくつかの交差点をめぐり、3回ほど交通事故現場とそこにいた勇者候補に遭遇したが、すべて目の前で他の世界の・・・たぶん神や魔術師たちだろう・・・にかっ攫われた。


天照さまの言っていたとおり、本当に日本の若者は男女問わず異世界から大人気らしい。

こんなこと私が言えた義理ではないが、この地で若者の人口減少が起きていないか心配になってくる。


だめだ、交差点は競争率が高すぎる。

他のスポットに行こう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ